Short Story

□future
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夢の話をしている彼は、いつも真っ直ぐ先を見ている。
その先に臨むものが何なのか、私は知っている。勿論、他のみんなも。


全てを呑み込む、青の海。
全ての海が合わさった、奇跡の海。

――“オールブルー”。


あるかも分からないものに夢を馳せ、その夢のために真っ直ぐに進んでいく。
そんな彼は、月よりも荘厳で、太陽よりも情熱的だ。

だから、私は怖くなる。


私にだって夢はあるし、夢は大事だ。
夢があるから、海賊になってこの船に乗った。仲間がいる、この船に。

だけど、彼の夢が叶った時。
その時を思うと、胸がずきんと痛むの。


勿論、夢を叶えてほしい、と思ってる。
でも、同じくらい、永遠に敵わなければいい、と思ってる。

矛盾してるわよね。
そんな事、自分でもよく分かってるわ。
でも、これが私の本心。

 
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