Short Story

□それはやっぱり君でした。
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分かった、とナミさんが高らかに言ったのは、しばらくしてからの事だった。
いつの間にか料理に集中してクイズを出した事を忘れていたおれは危うく、何が?と聞く所だった。自分から出したのにそんな事を言ってしまえば、ナミさんが怒るのは目に見えている。


「その答えは?」
「サンジ君が私を好きだから、でしょ?」


勝ち誇ったように言う彼女に、おれは面食らった。その表情は吸い込まれそうな程に魅力的だった。


「正解でしょ?」
「……うん、正解。よく分かったね」
「分かるに決まってるでしょ。私を誰だと思ってんの?」


勝気な瞳をおれに向けてそう言う彼女は気高く美しくて。思わず抱きしめたくなる衝動に駆られた。それをごまかすように料理に集中しようと試みる。


「ナミさんにゃ敵わねえな」
「私に敵うと思ってたわけ?」
「いや。ナミさんに惚れた時から、ナミさんにゃ敵わねぇと思ってるよ」
「……バカ。急に真面目に言わないでよ」


拗ねたように言うナミさんの顔は赤くなっていた。普段は強気な彼女でも、恋愛事が絡むと一気に少女のようになる。
それは、おそらく今まで恋愛とは無縁の人生を送ってきたからだろう。

だから、おれはナミさんの反応の一つ一つが愛しくてたまらねぇんだ。
今まで感情を抑え込んできた彼女が、ようやく感情を曝け出せる事が出来るようになったから。

 
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