Short Story

□月に溺れて
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「ナミさん…好きだよ……」


彼は熱に浮かされたように言葉を紡ぐ。
それだけで嬉しくて、幸せで。

いつまでも彼の傍にいたい。
誰よりも彼に愛していてほしい。


自他共に認める現実主義な私が、あなたとの永遠を信じている、なんて言ったら、あなたは驚くかな。それとも、私の大好きな笑顔を見せてくれるのかな。

勿論、そんな事は素直じゃない私には絶対に言えないけど。いつか今日の彼みたいに思い切り酔っ払って本音を打ち明けてしまいたい、なんて思う。
酒に呑まれるような真似はみっともないと思うけど、それ以上に伝えたい想いがあるから。


「サンジ君……好きよ」


彼の指に自分のそれを絡める。すると、彼は指に力を込めた。離れないで、と言うように。それに応えるために、私も指に力を込めた。


室内でも輝く彼の髪。
それはまるで夜空に浮かぶ月のよう。

今はただこのまま、感情に任せてこの時間を過ごしたい。彼と二人きりの、この時間を。
静かな夜は、まだ長い。



End.

 
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