Short Story

□月に溺れて
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だからよ、とフランキーが前置きをする。


「ウソップがこいつに無理矢理にでも酒を呑ませたわけ、分かるだろ?」


フランキーの諭すような言葉に、私は小さく頷いた。
ウソップが彼を酔わせて寝かせたのは疲れている彼を休ませるためだという事は分かっている。それが分からない程、私は子供じゃない。


「それにしても、彼は本当にナミの事が好きなのね」


ふふっ、と笑いながらロビンが言う。思わず顔が熱くなる。顔が赤くなっている事は確認しなくても分かる。


「な、な、何で……!!」
「だって、そうでしょう?酔っ払っているのに、彼は迷わずナミの所に行った。まるで『傍にいたい』と言うように。余程好きじゃないと、そんな事はしないでしょう?」


ロビンの言葉に、私の心臓は早鐘を打つ。
もしかして、本当にロビンの言う通りなのかな。少しでも傍にいたいと思ってくれたのかな。


ねぇサンジ君、目を開けてよ。
あなたの瞳に私を映して。
あなたの声を私に聞かせて。


「どうやらお邪魔みたいね」
「そうだな。二人っきりにしてやるか」


ロビンとフランキーの言葉を皮切りに、みんなはダイニングを出て行く。最後にダイニングを後にしたロビンは、意味深な微笑みを残していった。

 
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