Short Story
□親愛なる君へ
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たまに、夢の中で笑っている君を見る。
触れると、儚く消えていく君。
残されたおれは悲しくて。
それでも、夢の中でもいいから君に触れたくて。
いつからだろうか。
君を想う度、微笑みすら切ないんだ。
あぁ、君に会いたい。
君に会いに行こうか。
そんな事出来やしないのに。
「サンジ君!」
振り向いた先には、仁王立ちをしている君。
寝ているはずの君は少し怒っているようで。
どうしたの、と聞いてみる。
「こんな夜遅く…っていうか、もう朝になるっていうのに、寝もしないで何してるの?」
君の事を想って眠れずにいました、なんて言えるわけもなくて。
曖昧に笑うと、君を尚更怒らせてしまって。
「いくら化け物並みに強くても、ちゃんと寝なきゃだめでしょ!」
もしかして、君はおれの心配をしてくれているのだろうか。
そんな事を思って、心が温かくなる。