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□始まりのFanfare
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「ただいまッスー!」
黄瀬が事務所のドアを勢いよく開けて帰ってきた。
「おかえりなさい、黄瀬くん。今日もご苦労様です」
「黒子っち!ただいまッス!」
テツが黄瀬に近づき微笑みながらねぎらいの言葉をかける。
それが嬉しかったのか黄瀬はニヤついている。正直気持ちわりーわ、黄瀬。
「あ、そーだ!黒子っち聞いてよ!今日の仕事の話なんッスけどね!…」
笑顔で黄瀬は得意げに仕事の内容を話始めた。身振り手振りを使って話してるから時々テツにあたりそうになる。危ねえっつの。
(てか、ドアの前で話し込むとか邪魔になるだろ。誰か帰ってきてドア開けたらぶつか)
_バァァァン!!
「おい!黄瀬!お前最後まで運んでから戻れよ!まだ残ってただろーが!」
怒鳴りながらドアを蹴るように開けて笠松サンが入ってきた。
「黄瀬!どこだ!でてこねーとシバくぞ!」
お決まりの台詞を言いながら周りを見渡す笠松サン。眉間に皺を寄せて睨んでるっていう方が正しいな、こりゃ。
「あ、あの笠松先輩」
「うお!黒子?お前いたのか。相変わらず影薄いなー。てか、黄瀬知らね?」
「いえその黄瀬くんですけど…ここにいます…」
影の薄いテツに目を見開く笠松サン。
その本人のテツ申し訳なさそうななんとも言えない表情で見つめ返しながら指を差す。
「あ?ここって、ドアじゃねーか」
「その…笠松先輩が開けたドアと壁の間に黄瀬くんがいるんです」
テツはくるっとドアへ向かって歩いて行き、ドアを元に戻す。笠松さんもギョッと驚きテツに申し訳なさそうな怒っているような複雑な表情を向ける。
「〜〜ったー!なにしてくれんスか!先輩!」
さすさすと鼻をさすりながら涙目で抗議しながら黄瀬がでてきた。よろよろと笠松サンに近づく。
(人の開けたドアと壁に挟まれるとか昭和のギャグかよ)
「お、お前が仕事をサボったバツだ!自業自得!」
「俺の分は終わらせたじゃないッスかぁ!残ってたのは笠松先輩の分ッスよね?!」
「先輩の仕事が残ってたら手伝うのが後輩だろーが!」
「そんなの理不尽ッスー!」
ぎゃあぎゃあと黄瀬と笠松サンが喧嘩を始めた。笠松サンは時々肩パンやスネを蹴ってる。