short@


□お礼はこっちで
1ページ/2ページ


▽帝光時代




「ありがとうございましたー」




コンビニを出る背中に店員からの声がかかる。辺りは日が沈み、地平線は紫がかっている。

「青峰っち、どうぞッス」
「あ、おん」

黄瀬はにこにこしながらアイスを手渡す。
受け取りながら少し不信に思い眉を寄せる。

「んだよ気持ちわりーなー」
「ええ!ひどいッスー」

せっかくいつものお礼にアイス奢ったのに、とかブツブツ文句を言いながら拗ねる黄瀬。
やれやれと呆れながら歩き始めた。

「ちょ、おいていかないで!」

わたわたと後を追いかける。
アイスを持っているからか上手く走れていない。

「あ、そうだ」

くるっと青峰が振り返る。
そんな仕草もかっこいい。

(…かっこいいな)

そんなことを思いながら憧れと敬愛の眼差しで見つめる。

「…おい、黄瀬」
「あぁ、ごめんなさいッス」

ぼーっと見つめているうちに青峰は黄瀬の目の前まで来ていた。
そして顔を近づけると唇にキスをした。

「っ?!青峰っちなにするんスか!」

生暖かい感触が唇が離れると黄瀬は驚愕し手で口を覆い顔を赤らめた。

「なにってキスだけど?」

唖然としている黄瀬に不敵な笑みで返す。

「ばっ…ばっかじゃないスか?!俺をからかって楽しいんスか?!」
「さぁな、ほら帰るぞ」

わーわーと抗議する黄瀬を放ってすたすたと歩き始める。

「ちょ、待って、あー!アイス溶けちゃったじゃないスか!アホ峰っちー!」

後ろから黄瀬の叫ぶ声が聞こえる。

(からかうためにキスなんてするかよ。それぐらいわかれ、バカ黄瀬)

嬉しいような物足りないような感情を抱きつつアイスをかじった。







END
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ