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□十五夜の夜に
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「伊月ー団子できたー?」

家の縁側から日向が声をかけ、台所へ近づいてくる。

「うん、出来てるよ。今を持ってくとこ」
「お、そうか。じゃ俺持ってくわ」
「え、俺が持っていくのに…って行っちゃったよ」

伊月は少し呆れながらも嬉しそうな表情を浮かべ縁側へ向かった。



「おっし、準備満タン」
「そうだね、団子も作ったしにススキも飾った。完璧だね」

2人はそう言うと縁側に腰をかけた。
コオロギやキリギリスなどの鳴き声を聞きながら無言で月を眺める。

しばらく無言が続いた。
でもその時間は決して嫌なものではなく心地よい時間だった。



「…なあ、伊月」
「なに?」

伊月は月から日向へ目を向ける。

「…来年もこんなふうに月、見ような」

そっと指を絡められる。
月を見たままの日向の顔は少し紅くなっていた。

「…うん。来年も再来年もこの先ずっと一緒にみようね」

指を絡めかえし、ふふっと微笑む。微笑んだ伊月をちらっとみた日向の顔はより一層紅くなった。







END
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