彼女のバスケ

□第5Q
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「何?結局全面使うの?」
「ゴールぶっ壊した奴がいんだってよ!」
「はぁ?……うお!マジだよ!!」


荷物を持ち、全面側のコートの方へと動く。


「確かにありゃギャフンっスわ。
 監督のあんな顔初めて見たし」

クツクツと楽しそうに、面白そうに黄瀬が笑う。

「人ナメた態度ばっかとってっからだつっとけ!」

そう、黄瀬に言い返す火神。

『……火神くん』
「あ?」
『ゴールって……いくらするんですかね?』

カバンを置きながらそう問うと、「え!?あれって弁償!?」と、火神は驚き冷や汗をかいた。



準備も終わり、試合が再開される。



「やっと出やがったな……」

不敵に笑う火神の目線には、黄瀬が立っていた。

「スイッチ入るとモデルとは思えねー迫力出すなオイ」
『……伊達じゃないですよ。中身も』



「「「キャアア黄瀬クーン!!」」」


黄瀬が出てきた瞬間に、歓声の声をあげる女子たち。
中には泣き出す子までいた。


「うおわ!?なんじゃい?」
「あーあれ?アイツが出るといつもっすよ。
 ……てゆーか、」


馴れたように笠松は言い、


「テメーもいつまでも手とか振ってんじゃねーよ!!」
「いてっ!スイマッセ―――ンっっ」


うらあっと、黄瀬へと飛び蹴りを決めた。



「シバくぞ!!」
「もうシバいてます……」
「てゆーか、今の状況分かってんのか黄瀬―――!」
「いてっいてっ」
「あんだけ盛大なアイサツもらったんだぞウチは〜〜」


ガッガッと肩パンをしながら、笠松は黄瀬に言う。


「キッチリお返ししなきゃ失礼だろが!」




―――――
――――
―――
――






「あ!!」


火神へスクリーンがつき、黄瀬へとボールが渡った。


「こっちもアイサツさせてもらうっスよ」
「……!!」



「おおっ!!!」



ガシャンッと、勢いよく黄瀬はダンクを決めた。

周りからは歓声の声が聞こえるが、黄瀬は笠松に「ぶっ壊せっつったろが!!」とシバかれていた。


「女の子にはあんまっスけど……」


すました顔で黄瀬は言う。


「バスケでお返し忘れたことはないんスわ」
「っ上等だ!!テツナ!よこせ!!」
『っはい!』


名前を呼ばれ、手に持っていたボールをタップさせ、火神のもとへとボールを投げる。



「んおっっ やべ!」
「〜〜〜〜!?」



突然現れたテツナへと、「さっきからどっから出てくんだ」と驚く笠松。


「おお!!」


火神がダンクを決め、


「こっちも全開でいくぞ!!」


そうして試合は進んでいった。
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