彼女のバスケ
□第3Q
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「あれ?これって……」
ある日の部室。
日向が、「月バス」を見つけ、中身をパラパラとめくった。
「この号、黒子が帝光いた頃のじゃん?」
「あー。一人一人特集組まれてるよ。「キセキの世代」」
「黒子は……記事ねーな」
「6人目、しかも女選手なのに……取材来なかったの?」
ドアを開け、外でボールを持っていたテツナへとそう尋ねた。
『え?あぁ……来たけど忘れられました』
((((切ね―――――!))))
全員の心の声が一致した。
『というより、私への取材は全部、主将が消してたんですよね……』
「え?」
『あ、いえ。なんでもありません』
不思議そうな顔をする先輩たちへ、それに、と言葉を続けた。
『そもそも私なんかと5人は全然違います。あの5人は……本物の天才ですから』
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場所は変わり、誠凛高校前。
黄色い髪の1人の男子生徒が立っていた。
「おーここか誠凛。さすが新設校。キレーっスねー」
そんな彼を、顔を赤くさせた女子たちが見ていた。
「見てあの人、カッコイ〜〜」
「背も高……ってもしかしてあの人モデルの……」
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「っっ!」
「おっ」
「いや、まだだ!くらいついて……」
火神くんへとパスを出すと、ゴールへと彼は向かって行く。
途中でマークがつくが、それを難ともせず切り替えし、勢いよくダンクを決めた。
「はやっ……!!」
「うおお!!」
「ナイッシュー」
リングから手を離し降りてきた火神へと、全員が群がる。
「すげーなフルスピードからあの切り替えし!!?
・・
キレが同じ人間とは思えねー」
「もしかしたら「キセキの世代」とかにも勝てる……!?」
「あるかも、つかマジでいけんじゃね?」
「あんな動きそうそうねーって」
「むしろ超えてる!?」
そんな彼らを、少し離れた場所からテツナは見ていた。
『……』
『今の完成度では彼らの足元にも及ばない』
『とは言ったけど……、』
「あれ?黒子どこだ?集合って言ってんのに」
「あーもーたまにすげー困るよ」
「黒子ー!!出てこーい!!」
先輩たちの声にハッとし、慌てて集まった。
「「「海常高校と練習試合!?」」」
「っそ!」
改めて、どことの練習試合かを聞かされ、驚きの声をあげる。
「相手にとって不足なし!一年生もガンガン使ってくよ!」
「不足どころかすげえ格上じゃねーか……」
そう言う二年へ、よくわかっていない一年は「そんなに強いんですか?」と質問をする。
「全国クラスの強豪校だよ。I・Hとか毎年フツーに出とる」
日向の答えに、「えぇっ!?」とまたもや驚きの声を上げる。
―――海常、って確か……
「それよりカントク、帰ってきた時言ってたアレ、マジ?」
「アレ?」
「あれ、火神聞いてなかった?」
冷や汗をかきながら日向はリコへとそう聞くと、もちろん!と返ってきた。
「海常は今年「キセキの世代」の一人、黄瀬涼太を獲得したトコよ」
――――!!
「ええっ!?あの!?」
薄い笑みを浮かべ、テンションの上がる火神。
それをよそに周りは、黄瀬のやっているモデルについて話し出していた。
「カッコよくてバスケ上手いとかヒドくね!?」
「もうアレだな……妬みしかねぇ……」
「ヒクツだな!」
「アホ……」
リコが呆れた、溜息に近い言葉を吐き出し、ふと。
周りに大量の女子のギャラリ−ができていることに気づいた。
「何!?なんでこんなギャラリーできてんの!?」
「あーもー……こんなつもりじゃなかったんだけど……」
その声に、全員がステージへと目を向ける。
「……アイツは……」
「……!!」
『……お久しぶりです、黄瀬くん』
「「「黄瀬涼太!!」」」
「ひさしぶり。……スイマセンマジであの……え〜と……てゆーか5分待ってもらっていいスか?」
ステージにいたのは、「キセキの世代」の一人……黄瀬涼太だった。