短編


□桜
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ふわぁ


万事屋にある小さな窓を開けると舞っていた桜が部屋に入ってきた。


「(綺麗だな…)」


銀ちゃんと出会ったのは、桜が舞っていた頃だった。


「(一人で桜の木の下に立って見てたっけ)」


思い出を振り返ってみると沢山の出来事があった。


喧嘩した日もあった


何時間かすればなおってるけど…


銀ちゃんの方をチラ見するとスヤスヤとソファーの上で眠っている。


「あ」

風が強いからか、銀ちゃんの頭の上に花びらが乗っていた。


それを取るためにゆっくりと歩く


起きないようにそっと取ったはずなのに


「ん…名無しさんちゃん?…」


目をこすりながら起きてしまった。


「ごめんね、花びらが付いてたから…」


「んーんー、いいよ、ありがと」


「もう少し寝てていいよ?」


「じゃぁ、来て」


銀ちゃんは頭を掻きながらあたしの手を引っ張って寝室に連れてった。


「どうしたの?」


「ん、おいで」


銀ちゃんは布団に入り、空いてる方をポンポン叩いている


「何?」

布団の上に座ると腕を引っ張られ、銀ちゃんに抱きしめられる形になった。


「ぎ、んちゃん?」


「名無しさんちゃんあったけぇ」


銀ちゃんはあたしをギュッと抱きしめたまま夢の世界へと入って行った。


「おやすみなさい」


桜が舞う頃

本当は銀ちゃんが起きたら花見をしているみんなの所に行こうと思ったのだが


行くことなく、二人抱きしめあって眠っていた。


花見もいいけど


こんな桜の見方も


いいかもしれません。


END
 

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