ぬくもり
□第4話
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グゥゥゥゥ
『…………』
「あ、サクラお腹空きました?何か持って来させますね」
チリンチリーン
やっぱりお腹空いちゃった……そりゃあ夜ご飯食べなかったし当たり前だよね…
「でっかいぐぅだな」
『うるさい』
そしてすぐに夜食が部屋に運ばれてきた。
私の大好きな鶏粥だ。
私はまだ湯気のたつ鶏粥をスプーンですくって一口食べた。だがしかし、
『…なんか………まずい』
びっくりするほどまずかった。
「そうかまずいか…」
すると、私がずっと待ちわびていた声が上から降り注いできた。
『父上!』
「それ私が作ったんだよ」
『どうして父上が…?』
「どうしても気になってサクラの様子を見に来たんだ。そしたらサクラが夜食を欲しがっていると聞いて。今まで会いに行けなかったおわびにサクラの好きなもの作ろうと思ってね」
お仕事忙しいのに…私のためになれないお料理して…
「料理日誌にあった通りに作ったんだがなぁ」
『…………』
パクパク…パク…
「あれ?まずいんじゃないのかい?」
『すっごくまずいけど、美味しい』
父上の愛が籠っているものは全て暖かい。
『あー…治っちゃったね』
「残念そうだな姫さん」
『少しだけ残念』
私は空を見上げながら言った。
「私も残念です」
「姫さんの隣で寝られないからか?」
「サクラの隣はいつでも寝れますけど…私はずーっと、あのまま三人で風邪ひいて寝てたかったです」
そう言ったスウォンの目は少し寂しげだった。
「別に…風邪ひいてなくても簡単だろ。一緒にいることくらい」
「そうですね」
『スウォン、ハク。明日は何して遊ぼっか』
ずっとずっと…遊びに来てね。
あれ…?誰もいない。
次の瞬間スウォンとハクは消えていて誰もいなかった。広い空間に私ひとり。
だけど遠くで父上の姿を見つけた。
『…あ…父上!父上…』
ユラ…ドサッ
『…………』
だが父上は私の言葉を返さず、血だらけになって倒れた。そしてその先には…
ピチョン…
『ス…ウォン…?』
――っ
『っ………』
夢…?…そうだ……
ハクはどこ?いない…いないっ…ハクがいない!!
私は立ち上がり徐に辺りを探した。
ガサッ
『っ!!』
後ろから物音がした。私はびくつきながら後ろを振り向いた。
「起きてましたか」
ハクが……いた…
「すみません。飲み水を汲みに行ってたんで…」
ハクがいた……ハク…ハクはいる…けど………
私の目からまた涙が溢れた。
もう、三人で見上げたあの空は
どこにもない