ぬくもり
□第3話
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「……姫。サクラ姫」
『はぁ…はぁ……』
「少し休みますか?」
あれから私達は山の中へ逃げた。外へ出るは愚か、滅多に部屋から出なかった私にとって初めての山道は厳しかった。
私は木を背もたれに座った。
『ミンスは…死んじゃったかな……私も…死ぬのかな。ハクもスウォンに…殺されて…』
「あんなクソッタレにやる命なんて持ち合わせてねェですよ」
『死なないでよ…ハク……絶対死なないでよ……死んだら…許さない…から…』
―――ハクside―――
眠ったか…
姫さんは涙をこぼしながら静かに寝息をたてている。
滅多に泣くことがない姫様。俺は皇后様が亡くなられて以来姫様の涙は見たことがなかった。
そんなこいつを…
「……まだ信じられねェな…」
イル陛下が死んだなんて。
「姫を独りにして…しょーもねー王様だよ」
昔っから見てきた。汚れや痛みなど知らない姫だった。
「陛下どうすればいい…?」
俺にはあの頃がまだ昨日の事のようですよ。
イル陛下、今もどこかで俺らを見ておいでか…?
貴方の心残りは俺が守る。
そして必ず、
貴方の城へ戻ります。