舞桜
□時にはマジになっちゃうぞ
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『あめ』
沖「目」
『めだか』
沖「亀」
『眼鏡』
沖「寝覚め」
『…飯』
沖「死に目」
『…………めす』
沖「進め」
『……………………目力すごいよね土方さん』
沖「それは少し強引だと思うよ。“ん”で終わっちゃってるし」
『だって沖田さんが“め”で終わるのばっか出すから』
あれから直ぐに沖田さんと会い巡察に出掛けた。かなり暇だったのでしりとりをしていたんだけど…こいつ強い
「沖田組長も桜さんももう少し真面目にやってください!最近不逞浪士が活発に動いているんですから」
直ぐ後ろにいた田中くんに怒られた…あれ?田中だっけ?田口だっけ?まぁいいや
『不逞浪士が活発に動いているって初耳なんだけど』
沖「朝土方さんが言っていたでしょ。聞いてなかったの?」
『聞いていた。たけど右から左に抜けていった』
沖「それ世の中では聞いていなかったって言うんじゃないの」
『そうとも言うかもしれないね』
沖田さんは軽くため息をつきながら私を横目で見る。
…そんな目で私を見るなァ!!しょーがのいでしょ?!元からこの性格なんだから!!もう救いようがないことは自分でもよーくわかってるわ!!つーか何だこれ!!自分で言ったのに落ち込んできたんだけど?!うっわぁ…マジ自分バカだな……あはは…もう開きなおっちゃお。
『あは…あははははは』
沖「桜ちゃん、隊士のみんながおびえるからそれやめてくれる?」
『おびえるってなんだよコノヤロー。こちとら自問自答してたところだったんですよー』
沖「暇だね 桜ちゃん」
『ほっとけェ。………つーかさぁ』
私は沖田さんから顔をそらして後ろをチラッ見た。
『誰かにつけられてるよ』
沖「気づいてたんだ」
『沖田さんも気づいてたのか…チッ』
沖「何で舌打ち?」
『これで沖田さんが気づいてなかったら私の方が上だと思ったの。なのに気づきやがって…クソ』
沖「本当に性格悪いよね」
『お褒めの言葉どーも。で、どーするの?コソコソとまだ下手な尾行してるんだけど。やるならもっと上手くやりゃーいいのに』
腕を頭の後ろで組みながら沖田さんを横目で見る。沖田さんはチラッと後ろを向いてからまたすぐに前を向く。
沖「新選組をつけてくるなんて…なんて無謀なことをするんだろうね。見たところ浪士だし」
『数はー…三人…いや 四人かな』
浪士なら尚更…何でこんな真っ昼間から新選組つけまわしてんだろ?もしかして…新選組のファンとか!!…んなわけないですよねぇー。しかも…
『ずっと私と沖田さん見てるよね。バリバリ私らだけに殺気ビュンビュンとばしてきてるよね〜モテるわねぇ』
沖「ほんとだよね〜」
『どうしますか沖田君』
沖「ここで片付けるにはちょっと場所が悪いかな月ノ瀬君」
『そうですよねー、…これって私と沖田さん抜けるってことできちゃったりする?』
沖「普通なら土方さんにお説教くらっちゃうところだけど、事情が事情だから大丈夫だと思うよ」
『じゃー隊士のみんなはこのまま巡察、私と沖田さんは脇道にそれてアイツらをこっちに誘導するってことで』
沖「それでいいね」
私と沖田さんは目を合わせると、少し後ろにさがって訳を後ろの隊士に小声で話した。その隊士は私達の話を聞いて静かに頷くと後ろを振り向いてどんどん伝言していった。最後まで伝わったのを確認して私は少し大きな声で
『じゃー後はよろしく!!私と沖田さんは用事が終わったら屯所にむかうからー!』
沖「じゃ 行こうか桜ちゃん」
『了解りょーかーい』
そして私と沖田さんは脇道にそれて行った。