舞桜

□時にはマジになっちゃうぞ
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平「桜いるかー?」

『いませーん』

平「いんじゃん!!」

廊下から聞こえてきたのは平助少年の声

『入っていいよー。何か用?』

平「あぁ。あのさ桜宛にこれが届いてたんだけどよ」

“はい”と渡されたのは何重かに重なった紙…えーっと

『文?これ』

平「そーっぽいぜ。俺が朝起きて屯所の門の所に通りかかったら置いてあったんだよ」

『でも私、こっちに文貰うような友達いないけどな…』

平「俺も最初はそー思ったんだけどちゃんと宛名書いてあるしさ、一応届けた方がいいのかなって思ってよ」

『んー…まぁ貰っとくよ。わざわざどーもね』

平「おう!そんじゃ俺行くな…っと…もうひとつあった!!」

『もうひとつ?』

平「土方さんがさっき呼んでさぜ?なんかすっげぇ怒ってたけど…桜なんかしたのか?」

あー…うん

『思い当たる事が多すぎてわかんないや』

平「どんだけ問題起こしてんだよ…ま、ちゃんと行けよー」

『平助少年代わりに行ってきてよ。金平糖三粒あげるから』

平「安っ!!つーか嫌だよ!!俺が怒られんじゃん!!」

『慣れてるでしょ?』

平「いや、慣れてるけどよ!!…って違ぇよっ!!桜が行かないと意味ねぇだろ?!」

『大丈夫だって』

平「何だよその自信…兎に角!!俺は伝えたからな!!じゃっ」

『あっ、待てコラ!!』

って…行っちゃった
つーか何したっけ…?全く覚えてないや

『まぁ巡察の時間が来る前に行っとくか』

平助少年から受け取った文を机の上に置いて部屋を出た

『しっかし蒸し暑いなぁ』

この前までじめじめしてたはずなのに…何だこの暑さは。一二話前まではまだ梅雨だったよね?小説って便利だねぇ、一瞬にして時期が変えられる

『つーかこの時代、クーラーも扇風機もないなんて…死ぬ』

神楽ちゃんなんて昼間は目がすわっている状態だ。夜兎にとってはきついよなぁこの炎天下

『それに袴暑いし…皆よく我慢できるよね。平助少年や永倉さん原田さんにいたっては別だけど』

そー言えば…

『斉藤さん…あの襟巻き暑くないのかな?見るたびに思うけど…汗ひとつかいてないし』

もしかして暑さを感じていないとか?…まっさかねぇ?

『いくら斉藤さんでも暑さは感じるはず……おっと。ここだっけ?土方さんの部屋』

考え事している間についちゃった

『ひっじかったさぁーん、私でぇーす』

暫くすると

土「入れ」

と聞こえてきた

『失礼し……ましたー』

土「待てやくそ餓鬼」

グワシッ

ヒャーッ鬼のお出ましだ…

『土方さん…私の頭がパーンなりそうなんで…離してください』

土「もとからてめぇの頭はパーだろうが。まぁいい、座れ」

やっと手を離してくれた…
いってぇよ土方、豆腐の角に頭ぶつけて死ね

『何か用ですか?私これから巡察が「どこにやった?」はい?』

いや、何をだよ

土「俺のとこから盗んでっただろ?」

『そんな価値の無さそうなもの盗みませんよ』

土「価値がねぇってどういうことだ!!…はぁ……本当にとってねぇんだな?」

『んなもんに興味ないですよ。何か無くなったんですか?』

私が質問すると黙ってしまった。何だこの人

『ま、何でもいいですけどね。つーか何で私が盗んだと思ったんですか?』

土「総司が言ってたんだよ」

『沖田さん?』

土「あぁ…今回もまた総司がとってったんだろうと思って総司のところに行ったんだ…だが持ってないときた。んで総司がこう言ったんだ、“桜が持ってる”ってな」

『はぁぁあ?何ですかその話…知りませんよそんな物。濡れ衣ですよ。騙されたんじゃないですか?』

土「あり得るな…すまねぇことしたな」

『ま…いいですよ別に。そんで探しているものって何ですか?手伝いますよ』

土「あぁ…こんくらいの大きさのやつで紐で束ねてある物なんだが…」

手で大きさを表す土方さん
…てかどっかで見た大きさだな…

『色は?』

土「白だ」

白ねぇ…こんくらいの大きさの白くて紐で束ねてあるやつ…


ーっ!!
あれか…ニヤリ

『わかりました。見つけたらすぐに知らせますねー、じゃ失礼しましたー』

土「頼む…間違っても中身は見るなよ」

『はいはい』

腕を頭の後ろで組出ていった。少し離れたところで私は大声で…

『梅の花ァァア一輪咲いても梅は梅ぇぇぇええええ!!』

そのあと土方さんの怒号が聞こえてきたのは言うまでもない。
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