蜂蜜果蜜
□蜜十四滴
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「見て見て〜お部屋広いよぉー!!」
「今年は奮発したみたいやな」
「やるやんけ総隊長さん!」
「いい部屋じゃのう!!」
「皆さん、他のお客の迷惑になりますのでお静かに」
はい、皆さんこんばんは。今日はなんと護廷十三隊で慰安旅行に来ています。慰安旅行は毎年行っているようだが、今回はかなり良い旅館だったみたいで皆ハシャいでいます。
まぁ皆と言っても護廷十三隊全員で来れるわけないから一部の隊長格のみだけど。
今回の慰安旅行のメンバーは、女は卯ノ花隊長、リサさん、ひよ里、白、夜一さんと私の六人。そして男は平子隊長、愛川隊長、享楽隊長、六車隊長、浮竹隊長、ローズ隊長の六人の計十二人で来ている。
なんか…随分騒がしいメンバーになったな。つーか私以外隊長格だし、来なくていーんじゃなかったかな?
私は行かないで藍染さんと仕事してるって言ったのに、平子隊長が絶対駄目だ、お前も来るんだ、とか言い出して結局ついてきてしまった。
あのときすごい剣幕で駄目って言われたな…何でそこまでして私を連れてきたかったんだ?いや…若しくは……私と藍染さんを一緒にいさせたくなかった…?でも何の為に?
『……謎だ』
「何が謎なんや?」
『うわっ』
「うわって何やねんうわて」
いや…さっきまで目の前でハシャいでた人が後ろから声かけてきたら驚くわ。
「はよ荷物置けや。風呂行くで風呂」
『お風呂もう行くの?』
「女将さんの情報でな。夜行くと混むそうらしいから早めに行くんじゃ」
「せっかくですから皆で行きましょう。露天風呂もあるらしいですよ?」
『へぇー…露天風呂ですか…』
露天風呂なんて行ったことないや。でもどうせ混浴とかゆーオチでしょ。嫌だよ、混浴は。
私はそう思いながら手に持っていた荷物を置いた。
「ほなさっさと行くで」
『離れてくださいリサさん』
「何でや?別にええやんか」
『よくないから言ってるんです』
興味津々で私の着替えを間近で見てくるリサさん。それを全力で拒む私。
あんたはどこ行ってもその調子だな。
『いいから先に入っててください。じゃないと私帰りますよ』
「ぐっ…それは嫌や…」
そう言ってリサさんは大人しく脱衣徐を出ていった。私はふぅっとひと息ついてから服を脱ぎタオルを巻いた。そして脱衣徐を出て温泉へ向かった。
「あ〜さくらんやっと来たあ!!」
「何もたくさしてんねん。鈍いやっちゃっなァ」
『はいはい…鈍くてわるーござんした』
私はそう言いながらシャワー台へ行きお湯を頭から被った。
あつ……もうちょい温く温く…
てゆーか…女風呂と男風呂上繋がってんだ。あれ覗こうと思えば覗けるよね。銀さんとかマダオとかだったらやりそうだな……まぁ今日のメンバーでそんな馬鹿な真似する奴いないか。こっち卯ノ花隊長いるんだし。
そんなことを考えながら頭と身体を洗った。そして全身洗い終わったあと、湯船につかった。
チャポンッ
『あ〜……生き返る…』
「おっさんかっ」
『ひよ里うるさい…』
私が湯船につかると隣にひよ里が移動してきた。
おっさんみたいなこと言ってもしょーがないでしょ…ここ最近仕事仕事仕事でろくに休んでなかったんだから。平子隊長はめったに仕事しないし……もうあいつクビになればいーのに。
「疲れているようですね。第三席の仕事は大変ですか?」
『いや…隊長や副隊長の仕事よりずっと楽ですよ。でも肩凝りが酷くって酷くって…』
「よろしければ私があとでマッサージをしましょうか?こう見えて結構得意なんですよ?」
『あー…遠慮しときます…』
なんか…ちょっと……いや、かなり怖いんで……マッサージされてる最中バキボキッ!!とかいいそうだし…
「肩凝り酷いんやったらあたしが揉んでやったるよ」
『そっちは全力で拒否させてもらいます』
「何でや!」
『じゃーその怪しい手つきは何ですか』
リサさんは胸の前に両手を出して指先を怪しく動かしている。それも自信満々な顔で。
「これは胸を揉みくだすマネや!」
『そこは肩揉みじゃないのかよ』
もうこの人は救いようがない。救いようのないスケベだ。
私がリサさんのスケベ攻撃から逃げていると後ろから大きな声が聞こえてきた。
「儂は露天風呂の方に行くがぬしらも行かぬか?」
後ろを振り向くとそこにはタオルも巻かずに堂々と立っている夜一さんがいた。
全く恥じらいがないですね。なんかカッコいいよ。
「あたしはいいわ。寒そうやし」
「何や、行かへんのかリサ。ほんならうちは行ってくるわ」
「私もお供いたしましょう」
「あたしもいっくー!!」
「おぬしはどうする桜?」
『私は遠慮しておきます。四人で行ってきてください』
混浴はやっぱ嫌だし外寒いし。それに入り口のところだけガラス張りになってるからそっちの様子見えるし行かなくていいか今回は。
「そうか。じゃあ儂らだけでいくとするかのう」
「ろってんぶろ!!ろってんぶろ!!」
「オイ白!タオルぐらい巻けや!!露天風呂混浴やぞ!!」
ひよ里は白のタオルを持ちながら素っ裸で逃げる白を追いかける。その様子を“転びそう…”と思いながら見つめる私。
そして無理矢理タオルを巻かれた白は卯ノ花隊長と夜一さんのあとに続き露天風呂の方へ行き、勢いよく露天風呂に飛び込んだ。そしてまたそれを追うようにひよ里が飛び込む。
バッシャーンッ!!
『あーあー…飛び込むなよ…』
「こんな広い風呂はじめてやからハシャいでんやろ。寒いのに元気やな」
『全くもってそうですねー…ってリサさんも普段足出してるじゃないですか』
「あれは別にいいんや。ファッションなんやから」
『あ……そうですか』
よく分かんないッスわ。我慢してまで丈短くするもんじゃないでしょあれは。第一に死覇装は仕事着なのに。まぁ…個人の自由か。
私はそう思いながらより深くお湯につかった。ギリギリ鼻が出ている状態だ。
そしてチラッと外を見てみると白が露天風呂で泳いでいた。
やると思った……行儀悪すぎだろ白さんや。別に他にお客さんいないから良いけどさ。でも六車隊長がいないとすぐ好き勝手やんだから。いや…六車隊長がいても同じか。
あ、ほら。卯ノ花隊長が笑顔のまんま怒ってる。微笑みながら怒ってるよ、こえー。
ホント皆さん元気ですねー。私は身も心もボロボロですよ。もう肩凝りがひどいババァですよ。地味に腰だって痛いわ。デスクワークが増えたからかな…座りっぱなしで体中が痛いんだ…。ほぼ毎日仕事で休む暇なかったしなぁ。ここで疲れを癒していこう…
私はそう思って目を閉じた。
あぁ〜……気持ちぃ〜……疲れがお湯のなかにとけてくみたいだ…
そして私がお湯のなかでリラックスしきっている時。事件は起きた。
サワッ…
『ひょわっ!!』
「やっぱ生は最高やな」
『何当然みたいな顔してんですかっ!!』
そう…ヤツが、また私の尻を触ってきたのだ。それも今回は服を着ていない。つまり、生だ。
「やっぱ桜の身体が一番触りごごちええな…若いからか?」
サワサワッ
『やぁぁぁぁぁぁああああっ!!!!!!』
なっ!なんて遠慮がないやつなんだ!!!!以前よりも危険度が増してる!!!!
私はすぐさまリサさんと距離をとった。
ジャバジャババシャッ
「何で逃げるんや!!」
『自分の身を守るためだ!!』
私は温泉の一番端の辺りまで逃げた。すると隣から声が響いてきた。
「何騒いどんのやァ〜?静かにしろやァコラァ〜」
こ、この声は平子隊長!!
私は男湯の壁をドンドンと叩きながら声を張り上げた。
『たっ隊長助けてください!!変態が…!!女湯に変態が出ました!!!!てゆーか痴漢ですっ!!!!!!』
「何ィー?痴漢て「変態でも痴漢でもないわ!!ただ興味津々なだけやっ!!」リサか…」
『いやァァァ!!こっち来ないでくださいスケベ女!!!!』
「来るな言われると近づきたくなるのがあたしや」
し…しまった!この人はこーゆー性格だった!!
「コラァリサァ〜。桜チャンに痴漢行為すんなやボケェー。俺かてまだ触ったことないんやぞー!」
『誰にも触らせる気ねーよ!!!!』
「何や真子、羨ましいんか?そうやろうなー。桜と一緒の風呂入れるのは女の特権やからなー!!」
『そんな特権知るかっ!!!!』
どいつもこいつもォーッ!!なんでここには馬鹿と変態しかいないんだ!!!!
「リサちゃ〜ん?あんまし桜ちゃんいじめちゃダメだよ〜?」
「うっさいわ!あたしと桜のスイートタイム邪魔すんなや!!」
『スイートタイムって何?スイートタイムって何!?ホラータイムの間違いじゃないですか!?』
「いや、あたしは楽しいからスイートタイムで当たりや」
『じゃー私にとっては恐怖ですからホラータイムです!!!!』
なんだよスイートタイムって!!!!こんな身の危険を感じてる時間をスイートなんて呼ばねーよ!!!!何処の星の常識だコノヤローッ!!
「もう何でもええわ!ええ子やからこっち来ィ…楽しいことしよなぁ〜」
『その前にその如何わしい手つきの手を引っ込めろ!!』
「別に胸揉むだけや。減るもんやないやろ」
『あんたの思考回路はどうなってんだ!!!!』
「コラリサァー!ほんまにええ加減にせぇよ!!桜チャンは俺のなんやから!!!!」
『あんたの思考回路もどうかしてる!!一辺風呂の底に沈んで頭リセットしろ自意識過剰!!!!』
「邪魔すんやな真子ィ!!えーからこっち来ィ!!そっちから来んのやったら…っ!!」
ザバァッ!!
『イヤァァァァァァァァァァアアアアアア!!!!!!』