蜂蜜果蜜

□蜜十二滴
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五番隊に来てからもう一ヶ月がたとうとしています。

そして、そんな今日は…

「それでは、よろしく頼むよ皆。くれぐれも霊術院生の前で恥じるよう行動は慎むように」

そう。なんと今日は霊術院の生徒さん達を護廷十三隊の各隊舎を案内するのだ。

でもさ…

「あの浮竹隊長…何故このメンバーなのでしょうか?」

それ。藍染さんの言う通り面子が珍しい。

三番隊隊長のローズ隊長。四番隊隊長の卯ノ花隊長。五番隊副隊長の蒼純副隊長。八番隊副隊長のリサさん。十三番隊隊長の浮竹さんと海燕さん。そして私と藍染さんと隊長の三人。

隊長格全員いるならともかく、この面子はなんか違和感が…

「それはだな…やはり良い印象を与えたいからな…勝手ながら俺が選ばせてもらった」

「どーりで厳つい奴等がおらんはずやな。この面子やったら見た目はええもんなー」

「リサ、ホンマのことでも厳つい言うなや」

いや、でも厳ついのは本当でしょ。七番隊とか隊長と副隊長揃って厳ついからね。

リサさんの言葉に苦笑いをこぼす浮竹さん。

「ははっ…まぁそういうことでよろしく頼む」

浮竹さんの合図で私達はそれぞれに別れた。できるだけ同じ隊か近い隊舎の人たちと組むと言うことで、私は藍染さんと平子隊長と組むことになった。

そして院生達が待つ場所へ移動した。人数は七人〜十人程度。それを見るなり隊長は…

「めんどくさっ。何で俺が行かなあかんねん。惣右介と桜チャンだけでええやんけ」

「駄々こねないでください。これも仕事ですよ」

「ガキのお守りが何で仕事になんねん」

隊長はそう言っていかにも面倒くさそうな顔をする。隊長はこの話を聞いてから乗り気ではなかった。今日、言われた時間になっても行きたがらなかった隊長を、私と藍染さんが引っ張ってきたのだ。

私もぶっちゃけ嫌だけどさ。仕事なんだから仕方ないでしょ。

『さっさとやればすぐ終わりますから。行きますよ』

そう言って私は嫌がる平子隊長の背中を押す。そして院生達の目の前に立った。

ザワザワザワザワ…

「はい、静かに。今日護廷十三隊の隊舎を案内する五番隊副隊長の藍染惣右介です。そして彼女が第三席の、」

『月ノ瀬桜です』

「そして…あそこのちょっと離れた所にいるのが…」

そう言いかけて藍染さんは隊長のいる方を見た。

……なにアレ。めっちゃ面倒くさそうな顔してんだけど。帰りたいオーラめっちゃ出してんだけど。すっげー興味なさそうな感じなんだけど。

私と藍染さんは目を合わせて院生達に見えないように後ろを振り向いた。

『…どうします?あれ』

「…あれが護廷十三隊の隊長って…思われたくないね…」

『ですよね…恥さらしです。もういっそのこと…通行人A辺りにしときますか?』

「そうだね…」

意見がまとまったところで私達は院生達の方を向いた。

「あそこにいるのは通行人Aですので別に気にしなくていいですよ」

「えっ…でもあの羽織って…」

『ただの、通行人です』

「でも僕あの人知ってます。五番隊隊長の「通行人Aです」え!?」

「通行人って…どう見てもあれ…平子隊長じゃ『通行人Aです』えぇ!?」

『どこからどう見てもただの通行人Aです。ね、藍染さん?』

「月ノ瀬君の言う通り、あんな面倒くさそうな顔をした人と僕達は全く関係ないですよ。さあ、行きましょうか」

『そうですね。時間もったいないですし』

私達がそう言うと、院生達は納得していないような顔をしながらも頷いていた。















「そしてここが四番隊です。四番隊は主に負傷者の救護をしています。この護廷十三隊の中でも特殊な隊で、戦いの際には欠かせない隊となります。四番隊隊長の卯ノ花烈隊長は総隊長に次ぐ長期在位年数を誇ります」

『怒らせると護廷十三隊一怖いので気を付けた方がいいですね』

「そうだね…」

あれから八番隊と二番隊と七番隊と三番隊をまわってきた私達。院生達は何処へ行くにも目を輝かせて色々質問をぶっかけてくる。

結構疲れんな……えっと…一番隊と十番隊と十一番隊は行っちゃダメだから…あとは五、六、九、十二、十三番隊まわれば終わりか……まだまだじゃん。

そう思っていると、院生達がざわめきはじめた。何だと思って振り返ってみると院生達はチラチラと、後ろからついてくる平子隊長を見ていた。

「……あの人何もしてないね」

『浮竹さんにチクりますか』

「もう総隊長でいいんじゃないかな?」

『一発山じいに喝入れてもらいます?』

私と藍染さんは心底呆れた。そして私は隊長の方へ向かった。

『ちょっと隊長、いい加減にしてくださいよ。院生達に怪しまれてますよ?』

「つまんないんやもん」

『もんとか遣っても可愛くありません。どんだけマイナスイメージぶちまければ気がすむんですか』

「ええやんか別に。早めに現実見せといた方がええやろ」

『よくない。ホラ、前来る』

「そんなケチケチ言うなや、ケチ」

『そのうるさい口裂いてやりましょーか?』

私が嫌がる隊長を前に連れていこうとするなか、藍染さんが苦笑いをしながら説明する。

「えー…あれは通行人Aではなくて……一応僕らが所属する五番隊隊長の平子真子隊長です」

「コラァ惣右介ェー。一応てなんやねん一応て。歴とした隊長やぞ」

『なら駄々こねないでください。何で髪は真っ直ぐでパッツンなのに性格はそんな捻くれてんですか』

「別にええやんけ…ほっとけや」

『ほっといたら仕事しないじゃないですかバカ』

「…そして五番隊で唯一隊長に暴言を言えるのは彼女だけです……」

『そんな要らない説明しないでください』

暴言って…藍染さんも裏では色々言ってんじゃん。

私はそう思いながら平子隊長を前まで連れていく。

「別に俺いらんやんか」

「本当は隊長が説明するんですよ。じゃあ次行きましょうか」

『ほらシャキッと立って。次は自分達の隊舎ですよ』
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