蜂蜜果蜜

□蜜四滴
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『遅くなりまし……た?』

「遅いでー」

「待ちくたびれたわ!!」

「お、あれが噂の美人隊士か」

「ええ体しとるやん」

「オメーはそればっかか」

………なんか…すごい面子が集まってる。ひよ里と平子隊長以外直接会ったことないよ。

八番隊副隊長さんに九番隊隊長さんに七番隊隊長さん。それから十二番隊副隊長に五番隊隊長。

山じいが隊長と副隊長には私がここに来た理由を話すからと、名前と顔は前数日に教えてもらったことがある。…でもさ、

……私、場違いじゃね?

「桜はよ来んかい!!まだ待たせる気か!!」

『え、あ…うん』

私はひよ里に半ギレ状態で言われて、空いている矢胴丸副隊長と六車隊長の間に座った。そして座った瞬間私に集まる痛い視線。

…神様。私は何かしでかしてしまったのでしょうか。

「やっと主役も来たところで始めるぞォ〜」

『主役……?』

これは何の冗談でしょうか。

「乾杯の音頭頼むわラブ」

『ちょっ…平子たいちょ―』

「そんじゃー、桜ちゃん五番隊入隊を祝して!」

「「「かんぱーいっ!!」」」

すみません。誰か私の話を聞いてください。

ぼーっとしてる私に向かってひよ里がグラスを前に出してきた。

「何呆けとんのや。はよグラス前に出せ」

『いやね、その前に』

カチンッ

「桜ちゃんおめでとう」

『誰か』

カチンッ

「おめでとーさん」

『説明を』

カチンッ

「まぁ…頑張れよ」

『して』

カチンッ

「桜チャンおめでとうさん」

『くれませんか。つーか説明しろ』

カチンッ

困惑しながらその場の流れにのせて一通りの面子とグラスを合わせた。

「何や。聞いてへんのか」

『聞いてたらこんな困惑してない』

「真子ィ!説明してやれ言うたやろが!!」

「桜チャン恥ずかしがり屋さんやから正直に言うたら来ィひんかったと思うでー」

『誰が恥ずかしがり屋さんだ』

平子隊長はお酒を口に運びながら“じゃあ”と聞いてきた。

「本当のこと言うたら素直に来たか?」

『来るばずないでしょう…あ、』

「ホラなァー。恥ずかしがり屋さんや」

『〜っ!!……』

だぁーっ!!もう!!最近この男のペースに簡単にのせられる!!悔しい!!何でも分かってるような顔しやがって!!!!

私は八つ当たりに手に持っていたグラスを机にドンッとおいた。

「あんま怒ると体に悪いでー」

『あんたがその原因でしょ…』

なーんか…調子狂うな…

「そんな顔しちゃ美人がもったいねーぞ」

『だから別に美人じゃ…』

「俺は七番隊隊長愛川羅武だ。よろしくな」

…ここの人たちはどうやら人の話を聞かないらしい。

『よろしくお願いします…』

こんな状況でもちゃんと挨拶をする私は偉いと思う。

そう思いながら飲み物を飲もうとした。

って…これお酒じゃん。別に飲めないことないと思うけど、飲もうとすると近藤さんうるさいんだよなぁ。それに警察が法を侵しちゃヤバイしね。あれ?意外と私真面目?

そんなことを思いながらジュースを頼もうとしたとき、

サワッ…

『ひゃっ!!』

「思っとった通りええ声で鳴くな」

『いっ!!今!!!!てゆーかどこ触って!!!!』

ナチュラルに尻を触られた。

月ノ瀬桜、はじめての体験でございます。

「どこって。尻やけど?」

「当たり前みてーに言うんじゃねーよ。このスケベ女」

「スケベやない!興味津々なだけや!!」

「それを世間的にはスケベって言うんだよ」

ななななっ…何なんだこの人は!!今ナチュラルに尻触ってきたぞ!?みんな当たり前みたいな顔してるけど。えっ?まさかこーゆーキャラなのか?え?

「それにあたしのせいだけやないで!桜が意外にもええ身体つきしとるからや!!」

「理由になってねーよ」

六車隊長、それ正論。

「なぁ桜。この後あたしといいことしような〜」

サワッ

『っ!!だから勝手に触らないでください!!!!』

「チッ…流石に二回目は鳴かんかったか…」

『…………平子隊長、そっちに行ってもいいですか』

「ええでー。そっちおったら身ィもたんやろ。ひよ里、ラブそっちつめてな」

矢胴丸副隊長のセクハラにたえられなくなった私は、珍しく平子隊長に助けを求めた。

そう。私があの…あの!隊長に助けを求めるほどセクハラは酷かったのだ。

場所を空けてもらって移動しようと立ち上がると、袴の下から手を突っ込まれて足を直に触られた。

ゾワゾワゾワ〜ッ

「お〜若いだけあってスベスベやな」

『〜〜〜〜っ!!!!』

この人恐い!!!!!!!!

「ええ加減にせェよリサ!!桜ビビってんやんか!!拳西!リサから桜離しィ!!」

「…おらリサ。いい加減離せ」

ひよ里の言葉で六車隊長が矢胴丸副隊
長を離させてくれた。

マジ六車隊長神っ!!

心の中でお礼を言いながら急いで矢胴丸副隊長から離れた。

「あっ!何すんねん拳西!!めっちゃええ肌触りやったのに!!」

「え、マジで?」

「ホンマかリサ?」

「羅武も真子も何反応してんだよ!!」

『…………』

私はもう、何も聞かないふりをした。と言うか実際問題聞きたくない。

私はギャーギャー騒いでいる矢胴丸副隊長をよそに静かに平子隊長とひよ里の間に移動した。

「災難やったな。リサはああいう奴やからどーしようもないねん」

『……見た目とのギャップが…』

「あれでも八番隊の副隊長やねんぞ。それからリサの前では露出した服はやめときィ。自殺行為やで」

『これただの死覇装なんだけど』

「そんなら色気おさえろや」

『色気なんて生まれてからこの方出たことない!!!!』

「…そんな必死になることないやろ」

冷静にひよ里にツッコまれた。

いけないいけない…自分を見失ってた…。酒のにおいのせいかテンションが……

「そんで今リサを抑え込んどんのが九番隊隊長の六車拳西。いつもは副隊長の久南白もいるんやけど今日は来てへんみたいやな」

『…皆さんキャラが濃いことで…』

「特にリサはパンチ強かったやろ?」

『かなり効いたね。一発KOモンだよアレ』

そう言いながら、まだ六車隊長と言い合ってる矢胴丸副隊長を見る。

まさかスケベだったとは…しかも女に対して。

「まァ減るモンやないやろ」

そう言いながら酒を継ぎ足す平子隊長。

『減るんですけど。自分の中の大事な何かが減るんですけど。つーか私お酒飲めないんですけど』

「何や、飲めへんのか?」

「え!聞いてへんで!!」

そこで矢胴丸副隊長が反応した。

「酔った桜にあんなことやこんなことしようと思てたのに!!」

『…何をする気だったんですか』

「お前は本当にそればっかだな」

「桜ちゃん下戸なのか?」

『下戸というか…多分ある程度飲めると思いますけど、向こうじゃまだ飲んじゃいけない年齢なんです』

「へぇー。めんどくせぇ決まりだな」

「でも飲めそうな顔しとるから飲めるんとちゃう?いってみたらどうや」

ひよ里さん?あなたは私の話を聞いていたでしょうか。今私は法律的に飲めないと言ったはずですが?

「何事も経験やろ。飲んでみィ」

『平子隊長まで…』

「飲んでみ飲んでみ!!」

『…あなたは別の目的でしょ』

矢胴丸さん…あんたのそのギラギラの眼に私は恐怖を覚えるよ。

『立場的にもあれなんで絶対飲みませんよ』

そう言いきった、その時肩を叩かれた。そして振り向いた。

「隊長命令や」

『は?――っ!!』

そして口の中に何かを注がれた。そしてにおいですぐにそれがお酒だと分かった。私はそのままお酒を飲んでしまった。

ゴクゴクゴクッ…

っくそー!!このパッツンめ!!
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