黒猫。

□黒猫が五匹
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『なんか臨也さんの隣歩くのヤダ』

臨「いきなり何ていうことを言うんだい?」

私達はあれから池袋へ来た。ここで仕事があるらしい。そして何故か私も連れてこられた。

『二人して真っ黒嫌だなーって』

臨「それを言うなら、桜が着ていたセーラー服だって真っ黒だったよね」

『あ…そっか。ならいいや』

臨「いいんだ」

『面倒だから』

臨「君らしい答えだね」

そーですか。私のことをよくご存知のようで。

私は心のなかでそう答えた。そして歩きながら周りを見渡した。

建物が全部大きい…てか人の量がハンパない。わー、私絶対都会に住めないや。あ、これから住まなきゃなんないのか。

臨「そんな物珍しそうにキョロキョロしちゃって可愛いね」

『黙りやがれです』

臨也さんは軽くははっと笑いながら顔をのぞいてくる。すると…

臨「あ、」

『…?』

臨「ちょっとこっち」

臨也さんは何かを見つけたような様子で、私の腕をひっぱった。そしてその先には…

臨「やあ」

制服姿の男の子二人がいた。一人は金髪のチャラそうな少年。もう一人はその逆で大人しそうなフツーの少年。臨也さんは金髪の男の子に向かって手をふった。

臨「久しぶりだね、紀田正臣君」

…え?この変人、新羅さん以外に友達いたの?うわー…てゆーかこの男の子可哀想だな。

臨「その制服来良学園?あそこに入れたんだおめでとう」

正「ええ、おかげさまで」

臨「俺は何もしてないよ」

そう言って臨也さんはにこっと笑った。

それを見て胡散臭い顔だなぁーって思ってたら、掴まれてた手を少しきつめに握られた。

この…エスパー変人男が。

正「珍しいっすね、池袋にいるなんて」

臨「ちょっと友達と会う約束があってね」

友達…この人の中の法律では自殺の手伝いをする相手も友達の分類に入るそうだ。

私はくだらないといった顔ではぁっとため息をついた。すると金髪の男の子と目があった。

え…なんかすごい顔青いけど大丈夫?この人。汗も尋常じゃないくらい流れてるんだけど…。

臨「あぁこの子?この子は月ノ瀬桜。ちっちゃいけど君達の一つ歳上だよ」

『ちっちゃいは余計です』

臨「怒っちゃった?」

『おじさんから見たらどーせ私は小さいですよ』

臨「ねぇ怒ったんだよね?そうなんだよね?」

『え?俺のこと好きかって?嫌いですよバーカ。てゆーかいい加減手離してください、これヤダ』

臨「………で、そっちの子は?」

私がそっぽを向くと、臨也さんは諦めたのか静かに手を離して話をかえた。すると金髪の男の子は焦ったように前に一歩出てきた。

正「こいつはただの友達で…」

臨「俺は折原臨也、よろしく」

帝「あっいや…僕は竜ヶ峰帝人です」

正「っ!!」

『……?』

竜ヶ峰…帝人君?が自分の名前を名乗ると、隣にいた金髪の男の子…えーっと?紀田正臣君だっけ?その子が小声で“ばか帝人っ”と顔を更に青くして言った。

なんか…臨也さんに怯えてる?

そう思ってじーっと紀田正臣君を見ていると一瞬目があった。でもすぐ焦ったように目をそらされた。

えっ?私が怯えられてる感じ?つーか睨まれた?………とりあえず話が終わるまでどっか行ってるか。

この何とも言えない嫌な空気を避けるべく、私は臨也さんのそばから離れた。臨也さんは気づいてない。

『あ、じゃが●こ安い』

お店の窓には“SALE”と書いてある紙が貼ってある。

あー…でもサラダしかないや。私チーズ味好きなのに。

私はじゃが●こがズラッと並んでる前にしゃがんだ。奥に一個でもチーズ味がないかと。

正「あの…いーんスか?連れの女の子…」

臨「桜?…ってアレー。いなくなってる」

帝「あのー…あそこにいるのじゃあ…」

臨「ああ……まったく。本当に行動が読めないんだから…。桜ー戻っておいでー」

…?あ、臨也さんに見つかった。

名前を呼ばれた方を見ると臨也さんが手招きをしていた。私は大人しく臨也さんの元へ戻った。

臨「何見てたの?」

『サラダ山からチーズが出てこないかなーって。でもチーズもバターもなかったです』

臨「…何それ、じゃが●こ?」

『うん。それより話はもういいんですか?』

私がそう問うと、臨也さんはポケットから携帯を取り出して時間を確認した。

臨「もういいよ。時間もあるしそろそろ行くよ。奴が来ると面倒だしね」

そう言うと臨也さんは私の手をとって歩き出した。

…って。何当たり前みたいに手ェつないでんだ。てゆーか帝人君たちに挨拶してない。

私は顔だけくるっと後ろを向いて二人に手をふった。だが…

『……えぇー』

臨「どうかした?」

『いや…帝人たちに手ふったら正臣君にだけ無視された』

臨「初対面で嫌われた?」

『やめてくださいよ。臨也さんじゃあるまいし』

臨「…ここ数日で俺のメンタルすごい強くなったと思う」
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