真撰組物語

□*万事屋よ永遠なれ
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気がついたら見知らぬ墓地にいた。

…そう墓地にいたのだ。それも銀さんの墓の前に。

「待たんかいやぁぁぁぁぁぁ!!なっなっなっなんじゃこりゃアアアアアア」

『………銀さんいつ死んだの?』

「死んだ覚えねーよォォォ!?完結編って本当に銀さん完結してんだろうが!!劇場番だからって何ハシャイで勝手なことやってんのォ!?」

『あー…完結おめでとう?』

「嬉しくねーよ!!普通こういうのは煽るだけ煽って大丈夫なパターンじゃないのォ?ナルトだって死すって言ってたのに生還してただろうが!ヤマトだってさらば言ってたのにキムタクになっただろうが!」

『ごめん。そのネタわかんない』

「ふざけやがって!こういつ原作の根幹に関わる話は一回集英社通せって言ってただろうがサンライズ!!オイ、映画泥棒どころの話じゃねぇーよ!!」

そして何かブツブツ言ってどこかへ行こうとする銀さん。だが直ぐに立ち止まった。

『銀さん。ここどこだか分からないのにどこに行こうとしてんの?』

「…ここ…どこだっけ」

『私が知るか』

「あれ…俺たちさっきまで劇場にいたよな…?こ、これ……いやいやいや…いやいやいやいや!いやいやいやいや!」

『いやいや煩いんだけど』

「そんなわけないっぜぇ!アレだよあれ!3D映画!最近の3D技術は目覚ましいもんがあるからさぁ!!いや凄い迫力だなぁ〜」

『…いい加減現実逃避やめたら?』

「んー?現実逃避なんかしてないよー?銀さん現実だけみて生きてきたからねぇ?今3D映画ってこんな感じになってんの?何か飛び出すどころか中に出されちゃったよ〜大丈夫なの映倫的にぃ?」

バッチリ現実逃避してんじゃんか。

「いやホント凄い臨場感?団子なんかもほらぁ」

何処までもノンストップなこの男、坂田銀時はお供えものの団子を手に取り口の中へ放り込んだ。

お供えものに手を出すなんて、なんて罰当たりな。

「食べられそうなくらいリアルでぇ〜」

モグモグモグモグ…ゴクンッ

「…………」

『美味しいですかーお供え泥棒さーん』

「お、美味しいよ〜…つか…食べられるんだぁ…」

そう言う銀さんからは大量の汗が流れ出てきた。

「いやいやいや、団子くらい食えるよそりゃあ!だって3Dって元々3つの団子の意だからね。そんなんだったからね大丈夫だ。これは絶対3Dだ」

『どんな意味だ』

「ホラお前も食ってみろよ!」

『はぁ?そんないつお供えしたか分からない団子なんか食えるモゴォッ!!』

こいつ…口のなかに突っ込みやがった!!

「ど、どうだ?」

モグモグモグモグ

『…食べれますけど』

「ほ…ほらなぁ!?」

『え、何が?』

こいつますますバカになってんだけど。大体銀ちゃんの中で3Dは3つの団子って意味で団子くらい食べられるって言うなら成立してんじゃん。

そう思っていると、こちらに近づいてくる足音が聞こえた。私と銀さんは目を合わせて慌てて銀さんのお墓の裏に隠れた。さっき頭突きをくらって倒れている映画泥棒も忘れずに。 そして足音は銀さんのお墓の前で止まった。

「おやおや…」

「『っ!』」

私達はその声の主が誰なのか直ぐにわかった。

「あいつの供え物がなくなってらぁ…銀時、あんたみたいな罰当たりがまだこの世にいたんだねぇ」

お登勢さんだ…

「あんたも昔私の旦那の供え物盗み食いしてたっけねぇ。まさかおんなじ目に遭うとは…これも因果応報ってやつかねぇ。早いもんであんたが死んで5年」

…えぇー…やっぱりこれ銀さんのお墓だったんだ。

そう思っていると映画泥棒がゴソゴソと動き出した。私と銀さんは映画泥棒を押さえつけた。

「この町もあんたがいた頃とはすっかりかわっちまったよ。今のこの町見たらぁ…あんたは一体なんて言うだろうね?」

そう言い終わるのと同時に、私の目にはターミナルが半分に崩れ落ちている様子が入った。あんなにあったビルも崩壊状態でボロボロだった。

一体どういう……

「あんたのいる世界が地獄なのか、あたしらのいる世界が地獄なのか…今じゃわかりゃしないよ。それでも皆生きてるよ。あんたの死を受け止めて、それぞれがそれぞれの道をさ。だからそっちで元気にやりな」

そう言ってお登勢さんはこの場をあとにした。そして私と銀さんは顔を見合わせ青くした。

『……町を見に行こうか』

「…だな…」



















「……………」

『……………』

これは……酷い…

私と銀さんは町へ出た。でも見るものすべては崩壊してるか半崩壊状態だった。

「3D映像でも……映画でもねぇ…じゃあこの世界は…何なんだ」

「紛れもない現実です。いや現実では少し語弊がありますねぇ」

……映画泥棒喋れたんだ

私らの後ろをトコトコついてきてると思ったらいきなり喋った。

「銀時様、あなたにとってはいずれ来るべき現実と言った方がよろしいでしょうか」

「お…お前喋れたのォォォ!?え、ちょっと何?てっきり魔女宅のパン屋のおやじみたいにジェスチャーキャラでいくのかと思ったら突然何訳わかんねぇことしゃべりだしてんのォ?」

『あ、私もそれ思ってた。つーか以外と紳士っぽい声してた』

「銀時様、桜様、残念ながら映画泥棒でもおソノさんの旦那さんでもありません。私はあなた方をこの世界に呼び出すためにある方につくられた時空間伝送装置、通称時間泥棒。要するにタイムマシンです」

「『(○_○)』」

「つまりこの世界はあなた方が先程までいた世界の5年後の姿。いずれあなた方は世界が辿る全てが終わった未来の姿です」

「…こ…ここが…江戸の5年後の世界…全てが終わった…俺達の未来…」

『……マジかよ』

「驚きになられるのも無理はありません。でもあなた方だけではないのです。このように世界はすっかり荒廃し見る影もありません。総人口の三割ましにたえ四割は別の星に移り住み、こうして今完全に捨てられた星になってしまいました。あの方はそんな世界を変えるためにあなた方をこの時代へ呼び出したのです」

そう映画泥棒…じゃなくて時間泥棒が言い終わると銀さんは時間泥棒の胸ぐらをつかんだ。

「あの方って誰だよ。俺達の世界に一体何が起こったっていうんだよ!」

『…ちゃんと説明してくれなきゃ分かんないし納得できない』

「………」

「オイっ何とか言えよ」

スポンッ

……ん?すぽん?

ちょいシリアスぎみだった空気に不似合いな音がなった。卒業証書入れる筒の蓋をとったときみたいな。

そして気づいたときには時間泥棒の首が綺麗に抜けていて後ろ方向に勢いよくローリングしていた。

ガッガツッガシャッゴロゴロゴロッ

『…首もげt』

グワッシャンッ!!

…プラス…バイクにひかれた。

「どうやら私の役目は…これまでのようです」

「ええぇぇぇぇ!?」

『えぇー…』

「ちょっと待て!役目って何ィ?今のところ人を勝手にこんなところに連れて来て勝手にぶっ壊れただけだけど!?嫌がらせしかしてないけどー!?」

何てはた迷惑なタイムマシンなんだ…

「道案内はしました」

『された覚えねーよ』

「あとは…あなた方次第です」

「ほぼ丸投げじゃねーかー!!ステーキ食いに行ったら牛1頭出てきたような話だよォ?未来を変えるって一体どうすりゃいいんだ!」

『つーかあんたが壊れたら私らはどうやって帰ればいいの?』

「そーだ!オイ!!ポンコツ!!」

銀さんはキレながら首なし時間泥棒を支える。そんな時間泥棒が何かを私たちの前に出してきた。首が外れたせいか声に雑音が入って聞き取りにくい。

「こ…れを額に」

「ん?」

『何これ』

「あなた方は…本来この時代に存在してはならない異物。この鼻く…装置をつけておけばあなたと認識されることはありません。これをつければ別人になれます」

そう言って銀さんの額に鼻くそだいのものをつけた。

「今鼻くそって言わなかった?」

『私はいいの?いや、鼻くそおでこにつけられるのも嫌だけど』

「あなたは大丈夫です…多分」

随分曖昧だなぁ…

「ねぇ鼻くそって言ったよね?「くれぐれも自分の素性を知られてはなりませんよ」

あ、誤魔化した。こいつ機械のくせして誤魔化した。

どうも銀さんは鼻くそが気に入らなかったのか額についた装置をはずそうと手で額を擦る。

「まずは…源外様をお探しください。力になってくれるはず……」

「オイ待て。俺らをこんな時代に二人置いてくつもりか!」

「銀時様…桜様…あなた方は一人じゃありませんよ。確かに世界は変わり果ててしまったけれども…どんなに世界が…時代が変わろうと……変わらぬものも………ある…きっと…その手で…み…らぃ…を……」

そこで時間泥棒の言葉は途切れた。時間泥棒はパキパキッと音をだし動かなくなった。

「オイ!しっかりしろ!オイ!!オイ!!!!」

『……壊れたねこりゃ』

「さ……最悪だぁ………」

『同意』

ホントこれ…どうすんだ。
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