真撰組物語
□*万事屋よ永遠なれ
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≪劇場内での映画の撮影・録音は犯罪です。法律により10年以下の懲役、もしくは一千万円以下の罰金。またはその両方がかせられます≫
私の頭に響き渡るのは映画館に行く度に聞かされる映画マナーのお約束。そして私の目の前でパトマイムを踊るのは映画泥棒ことカメラ男。
なぜ私がここにいるのか。別に映画を観に来た訳じゃない。私は自室で大音量DVD派だ。観に来た訳じゃないということは…
『銀さん、映画泥棒ってこんな間近で見るとめっちゃイラつくもんなんだね』
銀「特にパントマイムがイラつくな」
今ので分かっただろうか?つまりこの男が原因だ。仕事を紹介してくれと言われ映画館の仕事を紹介したら何故か私まで巻き込まれた。勘弁してほしい。
つーかどんだけ仕事の依頼来ないんだよ。それでよく今まで生きてこれたな。
≪NO MORE 映画泥棒≫
あ、映画泥棒捕まった。……とおもったらまた何か始まった。
「まだやる気か。オイ桜行くぞ」
そう言って紙を束ねた脚本のようなものを渡してきた。私はそれを受け取って、
『任せて』
そして映画泥棒の背後に忍より腕を振り上げた。
スパーンッ!
「っ!!」
映画泥棒の頭にクリティカルヒット。
すっごい良い音した。機械だからかな?
「こいつちょっと喝入れてくるわ。お前先に準備しといてくれや」
『私ただの付き添いなんスけど』
「そう、その付き添いが一番信用できる。神楽と新八だけにしたら何やらかすか分かんねーだろ。主に神楽が」
『…なんか納得できたからいいや』
神楽ちゃんに任せたら映画館ぶっ壊れそうだもんね。壊したもの弁償する金ないもんね。その気持ちよくわかるよ、総悟のせいで。
私は銀さんと映画泥棒を見送り神楽ちゃん達がいる下に降りた。
「銀ちゃんはー?」
『映画泥棒シメにいった』
そう言って私は新八から貰った仕事内容が書いてある紙を取り出した。
とりあえず……怪しい動きしたやつは取っ捕まえて、他の客の迷惑になったやつは追い出す…と。随分と大雑把だなぁオイ。
そう思いながら読み進めていると、さっきまで隣にいた神楽ちゃんがいないことに気づいた。
あ、ヤベ。
そして次の瞬間、映画泥棒と一緒にビデオカメラをもった銀ちゃんの上に新八と神楽が飛んできた。
「「なにお前まで映画泥棒してんだァァァ!!!!」」
ドゴォッ
『…何やってんのあの人』
さっき映画泥棒シメに行ったんだよね?なのに何で数分たった今お前までが映画泥棒になってんだよ。ほら、新八めっちゃツッコんでるよ。
私は哀れんだ目で見ながら最前列の空いている席に座った。
付き合ってられん。万事屋ワールドにはついていけない。
そう思ってたら三人が最前列まできた。すると神楽ちゃんが映画鑑賞のマナーを語り始めた。
つーか神楽ちゃん。高杉のファンをクズ野郎扱いしちゃダメだよ。アイツ厨二でも人気あるんだから。
でも、途中わけ分かんない説明や余計なことは混ざってたけど大体説明できてた。
だからと言って…
『これは要らないな』
私の手元にあるのはセルガ風フィルム。女の人が三角木馬に乗ったブタ野郎をムチで叩いているやつ。
激しくいらねぇ。
そう思っていると客から文句が飛んできた。
「うるせェー!どうでもいいからさっさと本編始めろー!!」
「こんなもん誰がいるかァ!!」
そう言うとお客は手元にあるゴミやらなんやら色々投げてきた。
ちょっ…私にも当たるんだけど。
ガツッ
『誰だ今私に当てたやつ。しょっぴいてやらァ!!』
「桜さん落ち着いて!!」
「オイ待て、アレ映画泥棒が!!」
そう銀さんのいう方を見ると映画泥棒が逃げようとしていた。
「テメェ待ちやがれ!!」
私達は今にも出口の向こうへ行こうとしている映画泥棒に向かってダッシュした。そしたら神楽ちゃんが特上のキックをお見舞いしてくれた。
ガゴッシャァァン
神楽ちゃんと映画泥棒は出口を抜けたその先にある壁に突っ込んでいった。そして案の定壁に大穴をあけた。
「今更悪あがきしやがってぇ」
「神楽ちゃん。警察へつれていく前に盗撮した中身確認しといた方がいいんじゃないかな」
ブンブンブンブンッ
『いや、首ふっても駄目だから。つーか私が警察だし』
「オイ、待てお前ら。おそらく中身はポルノだぞ?んなもん確認したら良い子が観てるスクリーンにとんでもねーもん映ることになるぞ。3D映画になっちゃうよ。お客さんの何かが飛び出しちゃうよ」
「オイ、お前の脳漿3Dにしたろか」
「ここは大人の俺に任せておけよ。ちょっとやそっとじゃ3Dにならないから」
そう言いながら銀さんは映画泥棒を起き上がらせる。
「じゃ、こっちに来てもらおうか」
『ちょっと待て。左手に持っている箱ティッシュは何だ』
「3Dになる気満々じゃねーか!!初っぱなからどんな下ネタぶっこんできてんだァァ!!」
私と新八のツッコミをガン無視し、銀さんは男子トイレに入っていった。
んな下ネタ叩き折ってやる。
『あのバカ引きずり戻してくるから二人は中に戻ってて。よろしく』
そう言って私は小走りで男子トイレの中に入っていった。そしたら丁度銀さんが何かのスイッチを押したらしかった。
「げっ…」
『早く戻る…よ?』
何をしたの?と、聞く前に、私と銀さんは映画泥棒のビデオカメラから発せられる光に包まれていた。
この瞬間思った。
ああ…また面倒事に巻き込まれた、と。