真撰組物語

□人生は試験だ
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【人生は試験だ】


山「お願いします!!俺を…俺を攘夷浪人の仲間に入れてもらえないでしょうか?」

何故こうなった。

現在月ノ瀬桜は地味だけが取り柄の山崎さんと一緒に、頭の悪そうな人間のカスに等しいクソムシどもに向かって頭を下げているところです。

『じゃ山崎さん、お元気で』

山「はいストーップ」

ガシッ

『離してください。セクハラで訴えますよ。それともParent Teacher Associationに訴えましょうか?』

山「ぺ、ぺあ てぃーちゃー?えっ?何それ!?」

『ペアレント ティーチャー アソウスィエイシャン。それぞれの頭文字を取って略されたのがPTAです』

山「へぇ…そうだったんだ。今の今まで知らなかったよ〜…じゃなくて!!」

一瞬納得したような顔をして、私の肩においてあった手の力を緩めた山崎さんだったが、すぐに我にかえった。

山「今日は俺達、副長命令で密偵に来てるんだから真面目にやってよ!」

そう……私が現在進行形で山崎さんと一緒に、地下都市アキバNEOにいるのは我等が副長、土方コノヤローの命令が原因。
なんでもこのアキバNEOに桂一派が潜んでいるらしい。私達はなんとしてでも桂小太郎に近づき、幹部どもの所在をつかみ攘夷浪士を一網打尽にする。これが土方さんからの命令。

『真面目にって…この格好している時点で真面目も不真面目もないですよ』

私の今の格好を説明しよう。攘夷浪士たちに怪しまれないように私は男物の着物を着て、髪の短い桂を被っている。そしてさらしまで巻いている。つまり、まとめると男装だ。

なんで私がわざわざ男装してまで密偵に……チッ…死ね土方コノヤロー。

「さっきからコソコソと何をしている。桂さんのところに案内してやるからついてこい」

山「あ、はい!」

『えぇ…』

山「えーじゃない!行くよ!!」











桂「ハイじゃ、これから面接を始めます」

山「……………え?」

桂「ハイ履歴書出して」

ハイ、本日二回目。何故こうなった。

私達はしたっぱ浪士たちに案内されるがまま桂小太郎のもとまで来た。

山「………え?…あの……攘夷志士って面接通らないとなれないんですか」

桂「密偵、間者への警戒だ。素性も知れぬ輩に背中を預けて戦う事はできぬ」

山(なんだよそれ。なんでテロリストに面接があるんだよ)

(知りませんよ。原作がこうだから仕方ないんですよ)

山(原作とか言わないでよ桜ちゃん)

山「す…すいません。履歴書は…忘れました。でも国を憂う心は誰にも負けないつもりです」

桂「いや、そんなんいいから履歴書」

こいつはどんだけ履歴書に拘りをもってんだ。

桂「あのさァ、ハッキリ言わせてもらうけど君達常識あるのかな。普通さァ就活っていったら履歴書持ってくんの当たり前でしょう。リクルートスーツで来んのが当たり前でしょう。何しに来たの君達?」

山(就活!?就職活動なのコレ!?)

(みたいですね。それよりこの長髪ウザいんで殴っていいですか?大丈夫、一瞬ですから)

山(何も大丈夫じゃないから!!一瞬でもダメ!)

桂「別にこんなん言うのウチだけじゃないからね。どこの会社でもおんなじ事いうからね言っとくけど」

山((会社じゃねーだろ))

桂「それから君達。俺が座りなさいって言う前に勝手に席についたよね。普通は面接官が“座りなさい”って言ってから席につくんだよ」

山「す…すいません」

お前はいつから面接官になったんだよ。お前の職業は攘夷浪士だろーが。

桂「どこの企業も欲しがる人材ってのはやっぱり常識を持ってる人なんだよ。学歴会社なんていうけれどもね。仕事なんてやってれば、そのうち覚えていくからね誰でも」

ペラペラと私たちに説教じみたことを言う桂。その時…

「ご主人様 お帰りなさいませ」

言うのが遅れたが、ここはメイド喫茶だ。つまり私達は、テロリストの面接をメイド喫茶で受けていたということだ。

桂「ご主人様じゃない、桂だ」

山(オメーに言われたくねーよ!!なんでメイド喫茶で面接する奴に説教されなきゃならないんだ!!)

(もう嫌だ。帰っていいですか?帰っていいですよね?つーか帰らせろ)

山(いや、俺も帰りたいよ)

桂「まァとにかくだ。攘夷志士といえど常識は必要だ」

「ジャンケーンポン」

あの、テロリストの面接といえど、面接中にメイドとあっちむいてホイをする人に常識だどうだ言われたかねーよ。

桂「既存の常識をぶち壊すのが革命家。だからこそ革命家は誰よりも常識をしっていなければいけない」

「あっち向いてホイ」

パァンッ……ポタポタ

その革命家がメイド相手にあっちむいてホイで負けてビンタくらって鼻血出してるんスけど。つーかメイドさんの腕力ハンパねー。

桂「そのへんの事、君達も攘夷志士になるなら肝に銘じてほしい」

山(!?…あれ?もうダメかと思ったんだけどなんか…イケるんじゃないかコレ?)

桂「じゃあ面接はこれで終わりだから」

山(面接といってもホント顔合わせ位の意味だったのかな。そうだよな。テロリストに面接なんてそんなおかしな話ある訳ないもんな)

桂「オイ、彼らを」

「いくぞ」

山「あ ハイ」

『…………』

山(よかったァ〜なんとか潜入に成功したようだ)

隣で山崎さんは安心したような顔をしている。

山崎さん……今喜ぶだけ無駄ですよ。

それから私達はしたっぱ浪士にどこかへ案内された。
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