真撰組物語

□【ミツバ篇】
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【羊の数えるの自体に夢中になったりして結局 眠れないことも多い】


『なんでダメなんですか』

土「ダメなもんは駄目だ」

おはようごさいます。朝っぱらから土方さんと口論している桜です。その口論の理由とは…

『こんなに可愛いのに。ねぇ?』

「「にゃあ〜」」

土「にゃーじゃねェよ。だめっつったらダメだ」

『石頭』

私は今ダンボール箱に入った二匹の猫を土方さんの前に置いている。今朝拾ってきたのだ。

土「なんとでも言え」

『土方さんの石頭石頭石頭石頭石頭土方死ね石頭石頭「何度でも言えとは言ってねェ!!」

土「つーか どさくさに紛れて土方死ねっつったろ」

『さぁ?何の事だかさっぱり』

土「誤魔化すな」

『誤魔化してないですよ。ねぇー?』

「「にゃぁん」」

『ほら』

土「ほら、じゃねーんだよ。オメーらも一々返事すんな」

返事したって別にいいじゃん。土方のケーチバーカニコチン野郎ォ。こんなに可愛くて大人しいのになんで買っちゃ駄目なんだよ。

土「こんな男所帯で危険な職場で猫飼うわけにもいかねーんだよ。つーか近藤さんの許可貰ってないんだろ?それなら尚更駄目だ」

『だから、私が責任もって面倒見るって言ってんじゃないですか。それに近藤さんなら…「俺が何だって?」急に出てこないでください』

近藤さんはいつの間にか土方さんの隣に座っていた。

近「俺がどうとか言ってなかったか?」

土「それがよォ 桜が猫を飼うってきかねぇんだよ。どうにか言ってくれよ」

「「にゃあ〜」」

近「まだ子猫だな…うーん…俺も飼ってやりたいのは山々なんだが…」

近藤さんはダンボールに入った二匹の猫を見ながら言う。
むー…近藤さんならオッケーしてくれると思ってたんだけどな。こーなったら………奥の手だ。

近「可哀想だがもとの場所に『近藤さん』ん?」

私は近藤さんの前まで歩み寄った。

『猫 飼わしてくれるんなら、今度お妙さんの玉子焼き近藤さんにだけあげます』

近「猫の名前何にする?」

土「近藤さんちょっと待てェェェ」

『やった。近藤さん大好きです(嘘です)』

近「そうかそうか!!俺も桜ちゃんが大好きだぞ!首輪は何色にする?」

土「騙されてるゥゥ!!見ろ!(嘘です)ってなってんだろ!そいつに騙されるな近藤さァァァん!!」

私の作戦勝ち。

近「まぁいいじゃないかトシ。何かあったら俺が責任をとる」

土「…はぁ…好きにしろ」

『やった。ありがとうございます土方さん』

土「ちゃんと面倒見ろよ」

『分かってますよ』

私は自分にダンボールを寄せながら言う。

近「なんて名前にすんだ?ごり子?ごり男?」

土「近藤さん これ猫だから」

『ゴリラ関係は却下。何で猫の名前にごり子?ごり男?』

土「猫だって分かるように マヨ太とかマヨ次郎とかあんだろ」

『マヨ関係も却下。猫だって余計分かんなくなってます』

土「マヨが却下ってどういうことだ!!なんなら他にいい名前あんのかよ!」

『んー……じゃあ』

私は指をさしながら

『こっちの白いのがチロルでこっちの黒いのがチョコ。合わせてチロルチョコ。面白くないですか?』

土「面白さ中心で考えんな。なんだよチロルチョコって。他にもっとまともなのねぇのか?」

『えぇ……あ!じゃあ、ウメとノリなんてどうですか?』

近「おぉ!可愛いじゃないか」

土「まぁさっきよりはマトモだ『梅茶漬けと海苔茶漬け 略してウメとノリ』よし、チロルチョコでいこう」

『あ、そーですか?』

可愛いと思ったんだけどなぁ…総悟なら絶対お茶漬けの方選ぶよね。

『あれ?そー言えば総悟は?』

私は時計を見て時間を確認する。現在10時。

近「おぉ!!そうだったそうだった。総悟に客だ。すまないが桜ちゃんとトシで起こしてきてくれないか?」

土「客ねェ……ったく まだ寝てやがんのか。行くぞ桜」

『はーい。……チロルとチョコも行く?』

「「にゃぁん」」

返事だけはしっかりしてるね。連れてくか。
私はダンボールから二匹を出して自分の両肩に乗せた。まだ子猫だから余裕で乗せれる。

土「何やってんだ。さっさと行くぞ」

『はいはーい』

私はチロルとチョコを連れて土方さんと総悟の部屋へ向かった。
まぁ隣なんだけどね。
廊下を出て左へ曲がるとすぐ総悟の部屋だ。土方さんが障子に手をかけて勢いよくあけた。

スパーンッ

沖「土方の死体が4016体」

総悟はいつものアイマスクをつけながら布団で寝ている。そう、寝ているはずだ。

沖「土方のバカの死体が4017体。土方のあんちきしょーの死体が4018体。土方のクソったれの…」

土「ひつじを数えろォォォォォ!!」

『土方さん 刀しまって』

総悟は土方さんの怒号で起きたのか アイマスクをつけたまま体を起こした。

沖「あれ?もう朝か…全然眠れなかったチキショー」

土「眠れるわけねーだろ!んなグロテスクなモン数えて!!」

沖「すいやせん。わざわざ起こしに来てくれたんですかィ 4019号と10352号」

土「誰が4019号だ!!」

『ねぇ総悟。10352号ってなに?前にやってたよな。つーか何で土方さんより私の方が桁多いの?』

沖「…日頃の感謝を込めて『嘘つくな』

そんな感謝 焼却炉で炭になるまで燃やしてやるよ。

土「さっさとツラ洗って着替えろ。客だ。桜も総悟と一緒に行け」

『あ、はい。分かりました』

土方さんはポケットに手をつっこみながら総悟の部屋を出ていった。
私も行くのか…めんどくさ。

『…ホラ 早く布団から出て顔洗う』

私は総悟の掛け布団を剥ぎ取った。その私を総悟はじっと見る。

『……なに?』

沖「その白いのと黒いの何でィ」

『あぁ…今朝ひろったの。名前はチロルとチョコ』

沖「チロルチョコ?お前ネーミングセンスねーのな」

『えぇ…可愛いじゃん……じゃなくて、さっさと起きる』

沖「口うるせェ女」

『まだ頭がお眠のようね。バズーカでその頭を覚醒させてやろーか?』

私がそう言うとしぶしぶ布団から出る総悟。

沖「着替えるから外出てなせェ」

『はいはいはいー』

私はテキトーに返事しながら廊下に出て障子を閉めた。それから5分としないうちに着替えを終わらせた総悟が出てきた。

『はやかったね。ホラ 次は顔洗いに行くよ』

沖「心の水道で洗ったから大丈夫でィ」

『総悟 心の水道なんて持ってたんだ。何処で売ってんのソレ』

沖「自分の心のショッピングモール」

『うん、もういいや。早く行こう』

くだらないから、さっさと切り上げて行こう。
私は総悟の後ろを歩く。すると隊士のみんなが隣の部屋をのぞいていた。

『何やってんだろ』

総悟は歩くのをやめてそこに立ち止まった。私はゆっくりとみんなに近づく。

「オイ 誰だ?あの別嬪さん。何しゃべってんだ?何笑ってんだ?」

「結婚がなんたらいってなかったか?」

「んだとォ!お妙さんという者がありながら局長の野郎ォ…」

『会話を盗み聞きするとはいい度胸ですね皆さん』

「「「ぎぃやあぁぁぁあ!!」」」

『その曲がった根性叩き直してやろーか』

「「「さーせんした桜ちゃんん!!」」」

勢いよく私の目の前で土下座するみんな。

「しーっ!!静かにしろバカ」

『そのバカに私も含まれてるんですか?そうなら殴ってもいいですか?』

「いいえ違います。桜ちゃんはこんなバカ共とは格が違います。だからホント…殴らないでください」

『ならいいです。で、何してたんですか?客間なんかのぞいて』

「あれッスよあれ!!桜ちゃんこっちおいで!」

あれって…?
私は手招きをしている隊士の隣までいって襖と襖の間から隣の部屋を見た。
……え

『あの人って…』

「そっか。桜ちゃんは知らないのか。沖田さんの姉上様のミツバさんだよ」

『あっ うん…知らないです』

いや 知ってるけど…もしかしてミツバさんの話来ちゃった感じ?…マジですか。

「えっ?沖田さんの姉上様?」

「あ あの毎月激辛せんべえ送ってくる…辛くて食えねーんだよアレ」

原「しかし似ても似つかんねェ。あんなおしとやかで物静かな人が沖田隊長の…」

山「だからよくいうだろ。兄妹のどっちかがちゃらんぽらんだと もう片方はしっかりした子になるんだよ」

『確かにそうですね』

山「バランスがとれるようになってんの世の中」

『バランスって大事ですね』

山「まったくだよ」

沖「………」

ガチャッ…

後ろから変な音が…
私は後ろを振り向くと無言でこっちを見てバズーカをかまえてる総悟がいた。

『…ちょ…総悟ストッ…』

ドカァァァァアアンンン!!

「「「ぎゃあああああ!!」」」

パラパラ…

みんなは総悟が撃ったバズーカによって隣の部屋に突っ込んでいった。もちろん私もだ。

ミ「まァ相変わらずにぎやかですね」

近「おーう総悟やっと来たか。お?桜ちゃんもいたのか べぶしっ!!」

『黙れゴリラ』

私はボロボロになった身体を起き上がらせ、目の前で涼しい顔をしていた近藤さんを蹴った。

『オイ総悟。なに私まで巻き込んでんだコラ。ふざけんじゃねーぞクソガキ。ぶち殺すぞ』

近「いだだだだ桜ちゃん痛いよ………総悟 はやくこっちに…」

沖「すんません。コイツ片付けたら行きやすんで」

総悟は左手で山崎さんの首を持って持ち上げながら右手で刀を突きつけている。

ミ「そーちゃんダメよ。お友達に乱暴しちゃ」

総悟は1度ギロリとミツバさんを睨んで そして…

沖「ごめんなさいおねーちゃん!」

勢いよく頭を下げた。

山「えええええええ!!」

『…えぇー』

近「ワハハハハ!相変わらずミツバ殿には頭があがらんようだな総悟」

ミツバさんは総悟の頭を“よーしよーし”と言いながら撫でている。山崎さんはその光景をぽか〜んとなりながら私と一緒に見ている。
…分かっていたことだけど……えぇー…

沖「お久しぶりです姉上。遠路はるばる江戸までご足労ご苦労様でした」

山「……誰?」

『……知らない 総悟どこ?』

山「…知らない」

『…てすよねぇ』

近「まァまァ 姉弟水入らず邪魔立ては野暮だぜ。総悟 お前今日は休んでいいぞ」

近藤さんは私たちの前に来て二人の邪魔にならないようにグイグイと背中を押してくる。

沖「ありがとうございます!!ささっ…姉上!!」

総悟はミツバさんの手をとって立たせようとしていた。

ミ「ちょっと待ってそーちゃん。あの子は……?」

ミツバは立ち上がりながら私の方を見る。

近「そー言えばミツバ殿は桜ちゃんを知らないんだったな」

沖「アイツのことは後で話すんで……気になりますか?」

ミ「えぇ こんな所に可愛らしい女の子がいるなんて知らなかったわ。よかったらお話を聞きたいわ」

沖「…桜も来なせェ」

『…マジですか』

できれば自分 屯所でチロルとチョコと一緒に遊んでいたいです。

近「ミツバ殿が言うなら行って来るといい。トシには俺から言っておこう」

『…選択肢はないの?』





















沖「そーですか。ついに姉上も結婚…じゃあ今回は嫁入り先に挨拶も兼ねて?」

ミ「ええ しばらく江戸に逗留するからいつでも会えるわよ」

沖「本当ですか 嬉しいっス!!」

ミ「フフ 私もよ」

すみません コイツ誰ですか。
私達はあれから外に出て近くのファミレスに入った。総悟と私の向かい側にミツバさんが座っている。ついでに言うと 二つ隣のテーブルに原田さんと山崎さんがコソコソと座っている。

沖「じゃあ 嫁入りして江戸に住めばこれからいつでも会えるんですね」

ミ「そうよ」

沖「僕…嬉しいっス」

ミ「フフ 私もよ」

すみません マジでコイツ誰ですか。

原「プククッ 僕だってよォォォォ!!」

原田さん 聞こえてます。

沖「でも僕心配です。江戸の空気は武州の空気と違って汚いですから お身体にさわるんじゃ…見てください あの排気ガス」

窓の外の空を指差す総悟。ミツバさんは“え”と言いながら窓ごしに空を見る。

沖「桜」

『はい』

ガチャッ…ドォウゥゥゥウ!!

「「ぎゃあああああ」」

私はバズーカを総悟に渡して そのバズーカを総悟が原田さんたちに向かってぶっぱなした。原田さんたちの席から煙がたっている。

ミ「!まァ何かしら くさい」

沖「ひどい空気でしょ。姉上の肺にさわらなけらばいいんですが」

『あんま吸わない方がいいですよ』

誰でもあんなもん吸ったら身体悪くするわ。ミツバさんは尚更駄目だ。

ミ「病気なら大丈夫。そーちゃんの毎月の仕送りのおかげで治療も万全だもの。桜ちゃんも心配してくれてありがとうね」

『いえ…』

ミ「それよりもそーちゃんこそ大丈夫なの?ちゃんと3食ごはん食べてる?」

沖「食べてます」

土方スペシャルを侮辱しながらな。

ミ「忙しくても睡眠ちゃんととってるの?」

沖「とってます。羊を数える暇もないですよ」

土方さんと私の死骸数える暇はあるんだね。

ミ「みなさんとは仲良くやっているの?いじめられたりしてない?」

沖「うーん たまに嫌な奴もいるけど…僕くじけませんよ」

嫌な奴はお前だ。ホラ見ろ。バズーカでアフロになった山崎さんとボロボロになった原田さんがこっち見てるぞ。

ミ「じゃあ お友達は?」

沖「……桜が『私はただの部下です』

すると総悟が小声で話してきた。

沖「話合わせろ」

『私 正直者だから』

沖「嘘つけェ 腹黒女が何言ってんでィ」

『ドS男に言われたくない』

沖「お前だってドSだろィ」

『総悟と一緒のドSの分類にしないでほしい』

沖「それはそれでさァ」

『蹴るよ』

沖「やれるもんなら」

ミ「ふふふ…」

私と総悟が後ろを向きながら小声で話しているとミツバさんにクスクスと笑われた。

ミ「本当に仲がいいわね」

沖「そうなんです」

『オイ』

ミ「でも 桜ちゃん以外に年の近いお友達はいるの?」

沖「………」

ミ「あなた 昔から年上ばかりに囲まれて友達らしい友達もいないじゃない。桜ちゃん以外に悩みの相談ができる親友はいるの?」
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