真撰組物語

□“海へ行く”
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【原作無視〜オリジナル作品〜】


「夏だ!!」

「女だ!!」

「「「海だァァァァアア」」」

目の前で泣きながら喜ぶのは真選組隊士。

『土方さん。奴ら完璧に今回の目的忘れてますよ。遊ぶ気満々ですよ』

土「俺もう嫌だ。桜 副長やらねェか?」

『結構です』

私達がなぜ海に来ているかと言うと。ここ最近水着盗難や浮かれた野郎共がセクハラ行為をする事件が相次いで、松平さんに私達真選組が駆り出されたのだ。その他にも若い女だけを狙った暴行事件がこの海で続いている。どちらかと言うとこっちがメインだ。まぁ兎に角一般市民に危害を増やさないようにするために真選組がパシられたって訳だ。

土「オイ オメーら!!今回の目的忘れんじゃねーぞ!!今日は暴行事件の犯人を捕まえんのが目的だ!!その他にもパトロール中に一般市民に危害を加えた奴は片っ端から捕まえろ!二人一組か三人一組で行動しろ いいな!!」

「オイ!!ナンパしよーぜナンパ!」

「おっ!!ちょっ あそこのこたちとかよくね?」

「なぁ俺焼きそば食いてェ」

『土方さん。誰一人として聞いてません』

土「…桜」

『りょーかい』

私はバズーカをかまえた。

ガチャ…ドォォォオオオン!!












土「いいか!!今回の目的忘れんじゃねーぞ!!」

「「「らじゃぁぁあ!!」」」

『切り替え早いのはいいね』

アフロになりながら敬礼をする隊士。そしてそれぞれパトロールに行く。
さて、私はどうしたもんかな。

『土方さん 私荷物番してますね。刀持っていない女よりも男どもが行った方がいいでしょうから。つーか日焼けしたくないし』

そう。海に隊士服姿で刀をさしているのはとても不自然だから今日はみんな水着姿。もちろん刀はさしてない。万が一のために荷物と一緒にひとまとめにして置いてある。

土「日焼けしたくねーのが本音だろ。…まぁいいぞ。お前のパートナーもどっか行っちまったしな」

『総悟はさっき焼きともろこし買いに行ったきり帰ってきません。もうどーでもいいですよ』

土「今日は近藤さんもいねェしな…ま、アイツなら一人でも大丈夫だろ。お前もそんな格好だしな」

『…これはエロ親父のせいだ』

昨日松平さんから私宛に届け物が来た。中身を見たら…水着だった。それは黄色のビキニで下がヒラッヒラのフリルのスカートのやつだった。水着と一緒に手紙が入っていて
“これ着てってね”
と書いてあった。
いや マジでいい加減にしてくんないかな?そろそろ私も手やら足やら刀が出るぞ。

『まぁ…一応パーカーは羽織っときますけど…こんな格好でパトロールなんてしたくないんで大人しく荷物番しときます』

土「頼んだぞ。俺はあっちの方警備してくる。なんかあったら知らせろよ」

『りょーかいでーす』

そう言って土方さんは行ってしまった。私はビニールシートの上に座った。さっき神山がパラソルたててくれたから日影できて少し涼しい。真選組全員分の荷物が置いてあるからスペースはひろくて十分ゴロゴロできる。

『ゴロゴロできるけど…暇だな』

荷物番って言ってもただぼーっとしてるだけはイヤだな。…あ、

『そー言えば、山崎さん さっき本持ってたよーな…たしか…ここら辺に』

私はガサゴソと山崎さんの荷物をあさる。
んー…おっかしいな…ミントンしかないや…―!!

『あったあった!えぇー…なになに?』

私は山崎さんの荷物の中からとった一冊の本の表紙を見た。そこには…
“地味じゃなくなるための108つの方法”

『…山崎さん こんな本買ってたんだ。まぁ無いよりマシか』

暇潰し程度にはなるでしょ。
私は自分の荷物を背もたれにして本をめくった。
……意外と面白い。

…パラ

『…………』

パラ…………パラ

それから暫くページをめくる音だけがした。思ったより集中してしまった私は周りのことが全く気になっていなかった。私が“地味じゃなくなるための29個目の方法”に突入した時、光が当たっていた足元の方に影ができた。
…ん?総悟?それとも土方さんか山崎さん?
私は本から目をはなし少し上を見上げた。

「おじょーさん!一人?俺らと一緒に遊ばない?」

「お!これ当たりじゃね?結構可愛いじゃん」

…誰だ コイツら。
私の顔を覗き込むようにしゃがんでいる男が二人いた。見るからにチャラい。

「ね!ね!一人なんだろ?俺達と遊ぼうよ」

『………』

ウザい。

「バーカ 怖がられてんじゃん」

違います。断じて違います。

「え?俺がカッコよすぎて?」

「だったら俺の方がカッケーだろ!」

どっちも似たよーなもんでしょ。つーか調子のんなよ。

「本なんか読んでないでさぁ〜行こうよ!!」

「俺達と楽しいことしよーぜ」

…こういう場合は無視が一番。
私は男二人を冷めた目で一度見てから再び本に顔を向けた。
今いいとこなんだから邪魔しないでよ。

「えぇー!もー本は置いといて、一緒に遊ぼうよ〜」

「見るところ一人なんだろ?ほら行こうぜ」

グイッ

『は?えっ ちょっと 離してよ』

片方の男が私の腕を引っ張った。その拍子に山崎さんの本を落としてしまった。
折れたらどーしてくれんだ。やだよ私。こんな本買い直しに行くの。

「いーじゃんいーじゃん!何でも奢ってあげるしさ!!」

「一人でいてもつまんないだろ?お兄さんたちと遊ぼうぜ」

そしてますます私の腕を掴んでいるいる手に力を入れる男。

『結構なんで離してください。土方さんに怒られる』

「えぇ?男いたの?」

「でもほったらかしにしてんだろ?関係ねーよ」

土方さんは私の男じゃありません。気色悪い勘違いすんなバーカ。

「ほら 行こうぜ」

グイグイッ

いっ!…グイグイグイグイしつこいんだよ!!

『いい加減に…!!』

私が立ち上がってその男共に文句を言おうとすると、その後ろから…

沖「そんな女ナンパしたら後悔しますぜ」

『あ、総悟』

つーか、そんな女ってなんだよコラ。

「はぁ?お前誰だよ」

「俺達は今お取り込み『どこ行ってたの?土方さん怒ってたよ』被ってる被ってる!!」

沖「岩の陰で昼寝してた」

『昼寝すんならここですればいーじゃん。どーせ土方さんパトロール行っていなくなるんだし』

沖「あ、その手もありやしたね。で コイツら誰ですかィ?桜の友達?」

『はぁ?ふざけんな』

私は男二人を見ながら

『こんなチャラい友達私にはいないから。見るからに頭悪そーだし』

「「あぁ?」」

『そろそろウザくなってきてたから追い払おうと思ってたの。そしたらそこにアンタが登場してきたわけよ』

沖「へぇー」

『つー訳でコイツらのことよろしく。サボってたんだからこんくらいのこといーでしょ?』

沖「イヤだねェ」

『ケチ総悟』

沖「お前よりケチじゃねーやい」

『どーだか』

「オイ!!俺らのこと無視すんな!」

「ほら行くぞ!!」

片方の男が総悟の方をつかんでもう片方の男が私の手首を掴んだ。その時私達がとった行動とは

沖「『触んじゃねーよ』」

バギッドゴッ

「ぐぁ!!」

「いっ!!」

男二人を殴り飛ばした。
言っとくけどパーじゃないから。グーだから。拳だから。もちろん総悟もグー。

「なっ、なにしやがんだ!!」

「女だからってチョーシのりやがって!!」

二人の男は頬をおさえながら立ち上がった。私はその男共の前に立った。

『調子のってんのはオメーらだろ。これ以上なんかすんだったら“私の読書タイムを邪魔した罪”で取っ捕まえるぞ』

そう言って私はパーカーのポケットから警察手帳を取り出して二人に向けて見せた。

「し、真選組?!」

「この女が?!」

『女で悪かったな』

目を丸くして私を見る二人。
そんなに驚くことかよ…。
すると後ろから総悟が私の頭の上に肘をおいた。

沖「生憎これは俺の玩具なんでねェ。コイツ連れていきたきゃ今すぐ土方の死骸持ってきなァ」

『総悟 肘痛いんだけど。つーか玩具じゃないし』

つーか土方の死骸って…んな無理難題。てか、それできたら私をコイツらに売るつもり?

「ま、まてよ!!聞いたことあるぞ!!」

「なっ 何がだよ!」

「警察のくせに町をボロボロに破壊して暴れまわっている二人組…それは黒髪の背の小せぇ女と栗色の髪をしたベビーフェイスの男…」

「それって!!…こ、コイツらのことじゃ…ま、まさかな…」

男二人は私達を交互に見た。

沖「やーい。背の小せぇ女ァ」

『やーい。ベビーフェイス野郎ー』

「「コイツらだァァァア」」

大声を出したかと思うといきなり男二人は正座をして砂浜に頭を擦り付けた。

「すんません!!すんません!!すんませんしたァァァア」

「この通りです!!ホントさーせんしたァ!!」

「「許してくださあああいっ!!」」

そして風のようにどっかに行ってしまった。

『あぁ…逃がした。ま、いいか別に。つーか私らどんな噂流されてんだよ』

町中でバズーカぶっぱなして破壊してんのは総悟だけなんですけど。私じゃないんですけど。

沖「日頃の行いでさァ」

『それは総悟だけでしょ』

私は落とした山崎さんの本を拾い上げてパンパンとはたいて砂を落とした。そしてもとの場所に戻って座った。

『あーあ 少し折れちゃった。山崎さんに謝っとかなきゃなぁ』

私は折れたページをさすりながら言う。総悟は“変な本”っと言いながら私の隣に座る。

沖「桜はパトロール行かなくていーのかィ。土方さんに怒られやすぜ」

『私は荷物番。土方さんにも許可もらった』

沖「土方さんは桜に甘すぎるんでさァ」

“そーなの?”と言いながら私はさっきまで読んでいたページを探す。
…あ、あったあった。
私は荷物によっかかりながらまた本を読みだす。

『………』

パラ……

その隣で総悟は眠そうにあくびをした。私は本から少し目をはなして総悟を横目でチラッと見た。

『…寝てないの?』

沖「昨日遅番」

へぇー遅番だったんだ。しかも今日は海に来る準備で早起きだったしね。
総悟は眠たそうな目でぼーっとしている。
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