真撰組物語

□少年はカブト虫を通し生命の尊さを知る
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近「桜ちゃん、こっちのハチミツがいいかな?それともこっちのいい香りのする高級な花のハチミツがいいかな?」

『どっちだってかわりませんよ』

あれから総悟への苦情で夜中の3時に起こされた桜でーす。今なら総悟を撲殺できる自信があります。今は林のなかで将軍のカブト虫をさがしている。近藤さんにハチミツを塗ってほしいと言われて来てみたが…

近「う〜んどっちにしようか迷うな」

『迷う価値なんてないんでさっさと決めてください。そしてさっさと私を寝かせてください』

近「…よし!!ミックスだ!!両方入れた方がカブトもよってくるだろ!」

『…カブトっつーか、人も寄り付かないと思いますけどね』

バケツにハチミツを大量に入れてハケデで近藤さんの体にハチミツを塗りたくる。
うん、めっちゃ黄色になった。つーか金色になった。なんか無駄に輝いてる。

『はい、塗り終わりましたよ。動くとカブト寄ってこないんで動かないで下さいね』

近「わかった。ありがとうな桜ちゃん!!」

『はいはい、どーいたしまして』

近藤さんは両手を広げ片足立で微動だにしなくなった。
そんな近藤さんを眺めて数分間。近藤さんの後ろに銀さんたちが通りかかった。声をかけようとしたけど…見て見ぬふりをしてスルーされてしまった。

『つーかその先、土方さんがマヨネーズを木に塗ってんじゃなかったっけ?』

立ち上がって銀さんたちを目でおっていると土方さんがいた。タバコをくわえマヨネーズが入ったバケツに片手にハケで木にマヨを塗っている。
シュールだ!!実にシュールだコレは!

『つーか土方さんにも無視してるし』

まぁこんな変な人みたらスルーするよね普通。全身ハチミツだらけのおっさんとマヨネーズを木に塗りたくっている鬼の副長。異常な光景だよね。
それからまたしゃがんで近藤さんを眺めていると、ズドンッと大きな音がした。

近「何だ?今の音は」

『さぁ?』

近藤さんと二人で首をかしげていると土方さんがやって来た。

土「今のでけー音何だ?」

『あっちから聞こえましたよね。行ってみますか?』

それから他の隊士も引き連れて音がした方に向かった。その先にはカブト虫の着ぐるみを着た総悟が倒れていた。

土「オイ何の騒ぎだ」

『あ』

総悟の近くには銀さんたちがいた。

近「あっ お前ら!!こんな所で何やってんだ?!」

新「何やってんだって…全身ハチミツまみれの人に言う資格があると思ってんですか?」

近「これは職務質問だ。ちゃんと答えなさい」

銀「職務ってお前。どんな職務についてたらハチミツまみれになるんですか」

土「お前に説明するいわれはねー」

近「カブトムシとりだ」

土「言っちゃったよ」

『なんかもうちょっとこう…』

銀・新・神「カブトムシとりぃ?!」

銀「オイオイ 市民の税金しぼりとっておいてバカンスですかお前らは?馬鹿んですか?!」

近「こいつは立派な仕事だ。とにかく邪魔だから、この森から出ていけ」

カブトムシとりが立派な仕事なら私は真選組を今すぐやめたいです 近藤さん。
その時神楽ちゃんが総悟を指差してこう言った。

神「ふざけるな!私だって幻の大カブトをとりにここまで来たネ!定春28号の仇を討つためにな!!」

沖「何言ってやがんでィ。お前のフンコロガシはアレ 相撲見て興奮したお前が勝手に握りつぶしただけだろーが」

『あれ?総悟のサド丸がやったんじゃないの?』

沖「違ぇーよ」

あれー…寝不足だからかな?記憶がごちゃ混ぜだ。つーかそんな細かいところまで覚えてねー。

神「誰が興奮させたか考えてみろ!誰が一番悪いか考えてみろ!!」

スパンッ

銀「お前だろ」

近「総悟。お前また無茶なカブト狩りをしたらしいな」

『苦情増えるから止めて。ホントマジで』

沖「マヨネーズでカブトムシをとろうとするのは無茶じゃないんですか?」

近「トシ お前まだマヨネーズでとろうとしてたのか。無理だと言っただろう。ハニー大作戦でいこう」

それも不可能に近いと思う。

土「いや マヨネーズ決死行でいこう」

沖「いや なりきりウォーズエピソードVでいきましょーや」

近「いや 傷だらけのハニー湯煙殺人事件でいこう」

『どれもクズに等しい作戦だ』

近藤さんたち3人が何の作戦でいくか話し合っているとき、近くにいた平隊士が望遠鏡をのぞきながら叫んだ。

「あ゛あ゛アレ局長見てください!!」

望遠鏡が向いている先を見ると一本の木があった。そのど真ん中にはテラテラ光るカブトがいた。

「カブト虫です!前方まっすぐの木にカブト虫が…」

それを合図に皆走り出した。取り合えず私は後ろから山崎さんと新八と3人でゆっくり歩いてった。

ドドドドドドッ

土「待てコラァァ!ここのカブト虫には手を出すなァ!!帰れっつってんだろーが!!」

銀「ふざけんな!一人占めしようたってそうはいかねーぞ!カブト虫はみんなのものだ!いや!俺のものだ!」

土「クソッ オイ奴らにアレを渡すな!なんとしても先に…」

ガンツ

土「ぶっ!!」

神楽ちゃんが土方さんの頭を踏んで木にいるカブトに向かってジャンプした。

神「カブト狩りじゃあああ!!」

もう少しで届きそうな時、総悟が神楽ちゃんの足首を掴んで地面へ叩きつけた。

沖「カーブト割りじゃああ!!」

ゴォン

そんな総悟を後ろから銀さんが木へ向けて踏み潰した。

銀「カブト蹴りじゃあ!!」

ドゴッ

近「ワッハッハッハッハ!」

銀「!」

木上を見ると近藤さんがよじ登っている姿があった。片手をあげて頭の上でポーズをとっていると

近「カーブト……!」

ズルッ

ハチミツで滑って地面へ頭から急降下した。

ドゴッ

近「割れたァァァ!!」

あぁ…あれは痛い。普通なら頭割れるよ。
そんな近藤さんの上では土方さんと銀さんが木によじ登って、お互いに殴って蹴って相手の邪魔をしていた。

銀「カーブト…」

バシッバキッ

土「言わせるか!カーブト…」

銀「俺がカーブト…」

…何やってんだか。
するとそこで正常じゃない目をしている総悟と神楽ちゃんが木の下へ並んだ。

土・銀「ん?」

神・沖「カー ブー トー 」

銀「…オイちょっと待て」

土「俺達 味方だろ…俺達…」

木上で冷や汗を流す土方さんと銀さん。だが、そんなのお構いなしに神楽ちゃんは足で総悟は刀で、銀さんたちが登っている木の下を叩きおった。

神・沖「折りじゃァァァァァ!!」

ゴシャッズズゥンッ

銀・土「ぎゃああああ!!」

木が折られて私と新八と山崎さんの目の前を飛んでったカブト虫。

山「いっちゃったね…」

新「いっちゃいましたね…」

『飛んでっちゃったね…』
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