真撰組物語

□少年はカブト虫を通し生命の尊さを知る
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【少年はカブト虫を通し生命の尊さを知る】


『あ〜さっぱりしたぁ〜』

なんと桜ちゃんは今お風呂上がりなのです。あ、夜じゃないっスよ。昼間だから昼間。昨日は遅番で朝方までずっと書類整理だの巡察だのしてたのよ。んでお風呂入って今から寝るとこ。今日は非番だからね。

『あ。部屋に戻る前に、近藤さんに書類確認してもらわないと…』

確か何枚か局長のハンコいるやつあったんだよね。んー…でも前に土方さんに「局長のハンコォ?んなもんやるから自分でおせ」って言われてもらったんだっけ。駄目だよねコレ。このハンコ一つで真選組が潰れかねないんだよね。

『まぁ…近藤さんに聞いた方が手っ取り早いか』

私は濡れた髪をタオルでふきながら局長室へ向かった。
局長室の前まで来たけどなんか話し声が聞こえる…ここは引き返すべきか。いいや。私はそんな面倒な事はしたくない。お構いなしに突撃だ。

スーッ

『近藤さーん桜ですけど、書類のハンコの事でお話が………………ないです。失礼しました』

松「何でおじちゃんの顔見てにげるのかな〜?」

『いや、ちょっといきなりだったんで心の準備ができていなかっただけです。すんません』

びっ…びびったー。近藤さんの部屋あけたらヤクザがいたんだもん。ヤベーよ。風呂入ったばっかしなのに冷や汗かいちゃったよ。

『お話し中でしたら失礼しますね。つーか失礼させてください』

近「いいや、丁度よかった!!桜ちゃんにも聞いてほしいんだが…いいか?とっつぁん」

松「もちろんだ」

『…マジですか』

しぶしぶ近藤さんの隣に座る。つーか私寝巻きなんだけど。髪の毛びしゃびしゃなんだけど。風邪引くわコノヤロー

近「桜ちゃん。実は今日とっつぁんは俺達に仕事を持ってきたんだ」

『松平さん直々に?』

松「そーだよぉう」

へぇー…珍しいな。ま、栗子ちゃんの彼氏騒動みたいな内容じゃなきゃいいけど。

『で、その仕事内容は何ですか?』

松平さんが直々に来たんだからデッカイ仕事だよね。あ!ヅラを潰しにいくとか?それなら楽しいかもね。まだ会ったことないし…それとも護衛とかかな?

近「将軍のカブト虫探しだ『ふざけてんのか』いやコレ真面目な話ィィ!!」

将軍のカブト虫って…確か瑠璃丸だっけ?てゆーか…将軍のカブト虫で真選組が動くなんて…なんか、うん。自分も真選組だけど同情するわ。

松「まぁそんな事言わねーでよ。実は将ちゃん、自分のカブト虫の瑠璃丸を逃がしちまったみーでな。見つけてこいって幕府から命令が来たのよ俺んとこに。そんで暇そうな真選組にこの仕事を持ちかけたんだ」

『暇そうなって…そんなに暇じゃないですからね警察。てゆーかそんなの他でやってもらえばいいんじゃ…』

松「もしもお偉いさんに頼んで見つかなかったら責任とれねーからなぁ。真選組だったら切腹ですむだろ?」

『そんなんで切腹したかありません』

近「まぁもう引き受けちまったんだ。桜ちゃんも協力よろしく頼む!」

…まぁ警察庁長官からの命令だし、拒否権はないけどさ…警察が大人数でカブト虫探しって…どんな絵面だよ。

『まぁ…やりますけど。それいつからやるんですか?』

近「明日からだ」

『了解です』

松「じゃ、よろしく頼まァ近藤。もしも見つからなかったらオメーら切腹しろよ」

そういい残して出ていった。

『…近藤さん』

近「…何だ?」

『私ぶっちゃけ、カブト虫ごときで切腹したくありません』

近「それは皆同じだと思うぞ」

『……ですよねー。明日のために体力温存してきます』

そう言って立ち上がると近藤さんが

近「そー言えば何か俺に用があって来たんじゃないの?」

『あー…』

なんだっけ?…書類のハンコだっけな確か。もうめんどくさいから土方さんの机の上においとこ

『やっぱやなんでもないです。土方さんに押し付けてきますから』

近「そうか!…ん?トシに押し付け『そんじゃー失礼しましたー!』桜ちゃん?!」

パタンッ

…ヤッベ。近藤さんの前で土方さんに仕事押し付けるって言っちゃった。まぁバレないよね、うん。つーかバレても大丈夫だよね。だって総悟なんて始末書全部土方さんにやらせてるし。…最近私もやらされてるけど…てゆーか昨日の書類…半分は総悟の始末書だったな。

『…兎に角早く寝よう。寝不足で倒れそうだ』

その時向こう側から土方さんが歩いてきた。

『土方さーん』

土「…桜か」

『その様子だと、将軍のカブト虫の話松平さんから聞いたみたいですね』

土「あぁ…さっきとっつぁんが帰り際に話してった…ったく、なんで将軍のカブト虫で真選組が動かなきゃなんねーんだよ」

『ホントですよ…そー言えば。隊士どれくらい連れていくんですか?』

土「それはまだよく分かんねーが、逃げ出したカブト虫見つけんのはそう容易くねェ。20人は連れていくと思うぞ」

『…大の大人が20人でカブト狩りすんですか、笑えますね』

土「全くだ」

想像するだけでバカらしくなってくる。むさ苦しいおっさんどもが子供たちにまざってカブト狩りすんだよ?どごの変人どもだってな。

『あっ。そう言えば、また苦情来てましたよ』

土「またかァァ!!」

『はい。「ウチの子が“カブト取られたぁあ”って言ってるんですけど、どうしてくれるんですか?それでも警察ですか?」って似たような内容の苦情が13個くらい』

土「コレぜってぇ総悟だろ!!屯所内でアイツしかこんなことしねーだろ!!これで合計27回目の苦情だァァ!!」

『今日もサド丸つれて出ていきましたよ。ニヤニヤしながら』

土「あァァア!!総悟に非番やるんじゃなかったァァ!!」

『確か…今日辺り神楽ちゃんの定春28号を天国に旅立たせちゃいますと思いますよ、総悟のサド丸21号で』

土「よろず屋んとこのチャイナ娘か…面倒事にやりそうだな」

『なりますよね、確実に』

はぁ…原作では泊まり込みだったし、絶対疲れるよね。そこに銀さんたちも絡んでくるとなると…うっわ!!めんどくさっ!!

『…じゃあ明日に備えて寝てくるんで、朝まで起こさないでください。カブト探しで体力つきて死にたくないんで』

土「そー言や桜 非番だったな。まぁ総悟への苦情がこれ以上増えなきゃ朝までゆっくり寝れるわな」

『…増えないようにお祈りしてから寝ます』

そう言って自室へ戻った。

『はぁ…魔の2日間が始まる』
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