蜂蜜果蜜
□蜜八滴
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―――平子side―――
「惣右介ェー今日桜チャン見たか?」
「いえ見てませんけど…おかしいですね。いつもなら五分前にはもう執務室にいるのに…」
何や、珍しいな。寝坊か?
平子は首をかしげながらソファーに深く腰かける。今日の朝、仕事の時間になり執務室に来てみればそこにはいつもいる彼女の姿がなかった。
「昨日遅かったんか?」
「確か残業はありませんでしたよ。月ノ瀬君はまっすぐ女子寮に帰ったようですし」
「単なる寝坊か。何やってんねんアイツ」
「僕様子見てきましょうか?そろそろ出社時間から30分ほど立ちますから」
「そんなら俺が見てくるわ。惣右介は先に仕事始めとけ」
お前が女子寮行ったら騒ぎになりおるからなァ。
平子はそう言うと執務室を出ていった。それから瞬歩を使い、桜の部屋の前まで来た。
何や…えらい静かやな。やっぱまだ寝とんのか?
「桜サーン!お仕事のお時間ですけどォ〜?起きてますー?」
シーン……
……無視かいコルァ。
平子はもう一度襖に向かって大声を出した。
「もしもォ〜し!!もう仕事始まってんやけどォ〜?仕事放棄ですかァー?減給するぞコラー」
シーン……
え、減給て単語出しても起きてこんのか?いつもならすっ飛んで来んのに。
うーんと唸りながら平子はその場で悩んだ。そしてしばらく考えてから襖に手をかけ開けた。
「桜チャン入んでー……って、やっぱ寝とんのかい」
襖を開けた先には、布団にくるまり寝息をたてている桜がいた。平子は彼女に近づき布団の横にしゃがんだ。
「もうお仕事始まってんやけどォー。いつまで寝とるんですかァー」
『……………』
「…オイ。どんだけ仕事したないねん。俺かて眠いんやぞ。それなのに嫌々仕事してんねんぞー。ホラ、隊長サン見習いー」
『……………』
「……ホントは起きてんやないか?そうやろ?」
『……………』
「…月ノ瀬桜サーン?ええ子やから起きよなぁ〜?」
『……………』
下手に出てやっとるのに…俺も人の心持っとるから傷つくことやってあんねんぞ。
平子は引きつった顔をしながら彼女がくるまっている布団をめくろうとして、手をかけようとしたとき、平子はあることに気づいた。
……桜チャンの呼吸…おかしないか?
平子が思った通り、桜の呼吸はおかしかった。寝てるとは思えないほど激しく肩が上下しているようだ。
平子は一気に布団をめくった。
バッ!!
そこには顔を赤くして苦しそうに呼吸をする桜の姿があった。
「っオイ!桜!!」
『はぁっ……はぁっ…はぁっ…』
呼び掛けるが返事はない。平子は彼女の頬とおでこに手を当てた。
「熱っ!!熱出とるやんけ!!」
何でまた…!いや今はそれよりも…
平子は途中までめくった布団を全部めくった。そして彼女を抱えた。
向かう先は――