蜂蜜果蜜

□蜜二滴
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―――三ヶ月後―――

『山じぃー昨日の夜渡された書類片付けたよー』

「随分早かったのぅ。ほれ、そこへ置いとれ」

『誰かさんがスパルタだったからね。余計な腕が上がった』

あっという間に三ヶ月がたった。私は三ヶ月の間一番隊舎に完全に缶詰めだった。そして山じい直々のスパルタ口座に耐え抜いた私。

よく死ななかったと思うよ。心の底から。土方さんが優しく思えてくるほどに。

ソファーに座りながら苦痛の過去を振り返っていると、部屋の扉が開いた。

「山じいいるかぁーい?」

「お、桜じゃないか!」

『あ、京楽さんに浮竹さん』

入ってきたのは八番隊隊長の京楽春水さんと十三番隊隊長の浮竹十四郎さん。一ヶ月くらい前に山じいに紹介されてたまに話しに来る。

「貴様らは…また来たのか」

「別にいいじゃないか。ボクらだって息抜きに桜ちゃんとお喋りしたいんだよ」

『その前に仕事してくださいよ…』

「桜、今日は人気の和菓子屋の和菓子を持ってきたぞ!『どうぞ座ってください。お茶入れてきます』

「これ桜!」

私は山じいの言葉を無視し、京楽さんたちを招き入れた。そしてお茶を入れて二人の前に出した。

「お、すまないね。桜はどれが食べたい?」

そう言って和菓子がつまった箱を私の前に差し出した。

『んー……じゃあこのピンクの花のやつで』

「相変わらず可愛いもの選ぶねぇ君は」

『いや、基本食べれれば何でもいいです。山じいも食べる?あ、血糖値上がるか』

「この小娘が…大きなお世話じゃ」

いやいや。あなたの体を案じての言葉ですよ?別に楽しんでないから。別にスパルタ口座のストレスを発散してる訳じゃないから。

そう言い訳をしながら浮竹さんに貰った和菓子を口へ運んだ。

あ、美味しい。てゆーか浮竹さんが持ってくるお菓子って大体美味しいんだよね。

「そう言えば山じい、そろそろ約束の三ヶ月でしょう?これからどうすんのさ」

「まさかこのまま一番隊に置いておくおつもりですか?」

そうだった。三ヶ月は山じいのとこで色々勉強するってことだったけど、その後のことは何も聞いていない。

『それ私も知りたい』

私は最後の和菓子を食べ終わるとお茶を飲みながら山じいの方をチラッと見た。

「それならもう決めておる。今言えることは、一番隊以外の隊に移動してもらうこととなる、ということだけじゃ」

「えぇ〜もう決めちゃったの?」

「俺や京楽に話がいってないと言うことは、十三番隊と八番隊以外ということになるな…」

「あーぁ…ボクのところに欲しかったんだけどなー」

「是非とも十三番隊にと思ったんだが…」

『まぁ残念でした。またの機会を〜』

「本当にいい性格してるよね…」

『それはどーも』

目の前で駄々をこねる京楽さんを軽く流す私。もうこのやり取りも慣れたもんだ。

最初は必要以上に絡まれて大変だったな…

「ほれ、もうそろそろ仕事に戻れ。隊長がいつまでもこんなところで油を売ってるもんじゃない」

『山じいが本気で怒らないうちに早く帰った方がいいですよ。その被害に合うのは私ですから』

「桜ちゃん本音駄々漏れだよ…」

「でも彼女の言う通りだ。早く戻らないと副隊長たちがかわいそうだ」

浮竹さんの言葉に“そうだねー”と返した京楽さんはお茶を飲み干し立ち上がった。

「それじゃあまたね桜ちゃん」

「次は一番隊舎の外で会おう」

『はーい、また』

パタンッ

軽く手をふって出ていった二人。

『あの二人が来ると一気に騒がしくなるな…』

「そう言いつつおぬしは楽しそうじゃったぞ。数少ない会って話せる人じゃろう。大切にせい」

『それは分かってる。でも今日か明日辺り私は別の隊に移動っしょ?』

「そうじゃ。だからその時まで名一杯一番隊の書類整理をやっておくことじゃな」

そう言って私の目の前に山のような書類をおいた。

こんの…クソジジィ…

『……ボソ)性格悪…』

「んむ?何か言ったかの?」

おまけに地獄耳かよ…

『何でもねーよ…チッ』

「相変わらず口が悪いのぅ…」

『それこそ大きなお世話だ』

私はそう言い残し、大量の書類をかかえて奥の部屋へ引っ込んだ。

チッ…最後の最後に面倒な仕事押し付けやがって…いずれ仕返ししてやっからな。

そう思いながら私は書類に手をつけた。
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