蜂蜜果蜜

□蜜壱滴
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数日前に私がいたのは平賀源外のからくり堂。

でも今、目の前に広がるのは木・木・木。

三つ合わせて森ってか。

『じゃねーよ。ここどこだよ。知らねーよ。自問自答だよコレ』

そう言いながら真っ暗な森で一人ボーッと立ち尽くす。

いやー…マジでここどこかな。三日間歩き回ってるけど人っ子一人いやしないんだけど。もしかしもしかしなくてもてこれは迷子ってやつか。

『ハハ…泣ける』

てゆーか…前にも似たようなことがあったような。どっかのピエロ野郎に飛ばされた時と似たような感じなんだけど。まさか……またあれか?

いや…もう…コレ冗談なしで泣けてくる。三日三晩休まず歩いて…お腹はすくし、足疲れたし…人はいないし…人はいないし人はいないし……

『これ絶対あの時と同じパターンだな』

でも今回はピエロの変な飴で飛ばされた訳じゃないし……つーか、

『そもそもこーなったのはあのバカ三人のせいだったね』


―――三日前―――

『は?今なんて?』

「だーから、源外のじーさんが造った…あ〜…何だっけ」

「荷物転送装置だ」

「…の、実験台になってくれって言ってんだよ。ったく、何度も同じこと言わすんじゃねーよ」

『それはこっちの台詞だ。何度も面倒事に巻き込むなって言ってんじゃん』

こいつは偉そうに何を言ってんだ。頭もパーだから髪も天パなんだよ。

『つーかそれ荷物を転送する機械なんでしょ?何で人間の私が転送させらんなきゃなんないの』

「荷物は転送できたんだとよ」

「だがな、まだ生き物を転送したことなくてな。試してーからこうして銀の字をよんだんだけどよ。やりたくねーって駄々こねやがんだ」

そう言って変な機械をガチャガチャといじる源外さん。

「ったりめーだろ。何で俺がわざわざ転送されなきゃなんねーんだよ。オメーの頭を転送させて頭冷してこい」

「この前タダで原チャリ直してやっただろーが!!つーかこれまでも何度もタダで色々してやったじゃねーか!!」

「だぁーから!こうやって代わりの奴用意したろーがよ!ホラ!!これで貸し借りなし、チャラだろ!!」

『あのさ、代わりの奴って何?ただ巡回してただけなんだけど。限りなく無関係なんだけど。つーか源外さんさ、警察の前で堂々と機械いじくってっけどあんた指名手配犯だからね』

「こまけーこと気にしてんじゃねーよ嬢ちゃん」

『別に細かくねーよ』

あんた数年前に江戸もろとも幕府ぶっ壊そうとして失敗してるからな。

「俺は人間でも転送できるかどうか知りてーだけなんだよ。いいからさっさと決めやがれ」

『ねぇ何でこいつ偉そうなの。私ただ巻き込まれただけなのに、コレおかしくない?』

「大丈夫、お前ならやれるさ。パパは信じてるぞ」

『こんな天パ身内にいねーよ』

「んじゃーママでも従兄弟でも隣に住んでるオヤジでもいーから取り合えず行ってこいって。俺やりたくねーし」

『取り合えずの意味分かんないし』

そして訳の分からない言い合いをすること数分。くだらないと思い始めてきた時、神楽ちゃんと新八がやってきた。

「あ!桜ネ!!」

「え、桜さん?ホントだ。お久しぶりです」

「なになに。新八君に神楽さん。銀さんに挨拶なしでこいつにはすん「何してたアルか?」被ってるっつーの!!」

銀さんのことはお構いなしに私に近寄ってくる神楽ちゃん。そしてそれを苦笑いで見送る新八。

『このポンコツの「荷物転送装置だ」…の、実験台になれってさ。人間でもできるか試したいんだと』

「え…そういうのって、まずは虫とか鳥とか小さな生き物から試すもんなんじゃないんですか?」

「めんどくせーから別にいいだろ」

「よくねーよ!!」

『つーかこれ万事屋の依頼でしょ?私関係ないじゃん。そろそろ帰りたいんだけど』

「待てよ!!お前は俺たちを見捨てて帰るっつーのか?俺達と仕事とどっちが大せ『仕事』言い終わってないんだけどォォ!?」

『ぜっっっったい、やりたくない。失敗したらどうなるか分かんないし。あ、アレ。新八の眼鏡で試してみたら?本体眼鏡なら生き物同然でしょ』

「生き物じゃねーし!!つーか本体は僕だし!!」

「いや、その眼鏡はダメだ。地味すぎる」

「地味すぎるってなんだァァァ!!」

『なら、そこら辺にいる虫でも捕まえて地道にやればいーんじゃないの?つーことで帰るわ』

いつまでたっても解放されないと思った私は無理矢理話を終わらせからくり堂を出ようとした。だが銀さんに止められて転送装置がある方に引っ張られてった。

「往生際がわりーんだよ。別にいーじゃねーか。減るもんじゃねーし。なぁじーさん?」

「ああ、失敗したとしても死ぬくれーだろ」

『すごい減るけど。命まるごと無くなるけど。あんたら私の人生にピリオド打つ気か』

「ごちゃごちゃうっせーなぁ…ホラ、いいからそこ立て」

グイッ

そう言って銀さんは私を転送装置の上に立たせた。

『ちょっ…いい加減にしろよ天パ』

「心配すんな嬢ちゃん。ここのランプが光るかどうかだけ確かめるだけだからよ。これが光るとひとまず転送できるぞっていう知らせなんだ」

『…わかった。わかったから、間違ってもその隣にある“転送”って書いてあるボタンだけは押さないでくださいよ。絶対ですからね』

「わーってる。俺を誰だと思ってんだ」

『指名手配犯』

「いい加減見逃してくれよ。頭のかてーガキだな」

それ以外に何があるっつーんだよこのハゲジジィ。変な真似したら直ぐ様この機械真っ二つに斬ってやっからな。

そう言いながら何かガチャガチャいじりながらランプが光るのを待つ源外さん。

「つかねーじゃねーかよじーさん」

「やっぱり流石に人間は無茶だったか…チッ。また直さねーとなんねーじゃねーか」

『そん時はどうか別の人間を使ってください。それじゃー本当に私帰r「このボタン何アルか?」

ポチッ

…………はい?

“何やってんの”と言おうとしたが、時すでに遅し。瞬きをした次の瞬間には私は白い光に包まれていた。そして眩しくて目を閉じそうになった時、私は目を細目ながらこう思った。










コノヤロー…覚えてろよテメーらァァァァァァ!!!!!!
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