黒猫。
□黒猫が一匹
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今日は朝から最悪だった。
まず寝坊した。時計を見たら7:38だった。ここでおかしいのはお母さんも起きてなかったこと。
『いつまで寝てんだコラー』
と言ったら、
「Zzz」
しか返ってこなかった。
うん、もう知らねー。
当然のごとく朝ごはんぬき、弁当もなし。制服に着替えてダッシュで駅へ向かった。なんとか電車へ乗り込むと…
「次は○○〜○○〜」
はい、電車乗り間違えたー。遅刻決定イェーイ。
もう焦ってもどうしようもないから私は鞄からスマホを取りだして、日課の星座占いを確認することにした。
【12位 おひつじ座 おひつじ座のあなた!今日は散々な一日になります!!家から一歩も出ずもやしっこになりましょー!】
『…………』←おひつじ座な人
まぁ…こんな日もあるさ。
【ラッキーアイテムはラッキョウ】
…どんなラッキーアイテム?華の女子高校生に一日ラッキョウを持って過ごせと?
私は心のなかでツッコんでから静かにスマホを鞄の中へしまった。これ以上
みてたらイライラ度が上がってしまう。
あー…早く次の駅に着かないかな…。さっさと電車乗りかえて学校行かなきゃ……いや、もう行かなくてよくない?遅刻してまで学校なんか行きたくないし、第一に面倒。面倒なのは一番嫌い。
『よし帰ろう』
私は電車に揺られながら小さくそう呟いた。そして流れていく景色をボーッと見た。
その時私の鞄の中からブーブーッとバイブ音が聞こえてきた。電話だ、誰から?と思いながらスマホを取りだした。
画面には“千春”と表示されていた。千春とは私の一番の友達、……だと思う。
千春とは毎朝待ち合わせをしている。この日のようにどちらかが遅れると必ず連絡を入れることにしている。
普通はすぐ出るべきなんだろうけど…………千春怒ってるだろうな〜、出たくないな〜。あの子普段は大人しいけどその分怒ると怖いからなー…
そんなことを考えている間も電話は鳴り続けている。
これ…出るまで切らないつもりだな。
そう思った私はマナー違反かもしれないけど、嫌々電話に出た。
『もしも―《今どこ!?》もしもしくらい言わせてくれてもいーんじゃ?』
《そんなのどーでもいい!!》
『はいはい……寝坊しました。今どこかは分からない。あえて言うなら学校と逆方向に向かってるね』
《まさか…その年で電車乗り間違えたの?》
『そんな哀れんだ声出さないで。流石の私でも傷つく』
《もっと傷付いて反省しなさい》
あれ?なんか今日はSだね。
『反省します、はい反省したー《ぶっ飛ばすよ?》スミマセンデシター』
《とにかく早く来てよね!先生は誤魔化しといてあげるから》
『いや、その必要ない。このままサボるわ。学校にはあとで連絡入れるし』
《せんせぇー!桜が今日学校サボる―『はい、ストーップ』なぁーにぃー?》
この娘は…
『行くから…全速力で行くから…』
《りょーかい、待ってるね〜》
プツッ―――
……大人しく…学校行きますか。千春が先生にチクる前に。
【まもなく○○〜○○〜】
あ、ついた。
私は握っていたつり革を離して出口へ向かった。暫くすると電車はゆっくりと止まった。そして出入口がプシューといいながら開いた。
降りる人はけっこう多くて、出遅れないように少し強引に前へ足を踏み入れた。
ホームへ足がついた、その瞬間、
ユラッ…
『え?』
目の前の景色が揺れた。
あれ?頭痛?と、軽くそう思った。
だけどそれは私の勘違いだった。
なんといっても―――
今日は最悪な日なのだから。