蜂蜜果蜜

□蜜十二滴
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「あー五番隊はァー……特に無いな」

「特に無いじゃないですよ。一応五番隊の隊長なんですから」

「しゃーから一応てなんやねん」

そう言いながら執務室の襖を開ける。

「普段は隊長と副隊長以外入れないんだけど、今日は特別に入室が許可されています。入ってください」

藍染さんがそう言うと順にゾロゾロ入っていく院生達。

え……てゆーか…

『隊長…執務室って隊長と副隊長の以外入っちゃ駄目なんですか?』

「特例がない限り駄目やで」

『じゃあ私は…?』

「桜チャンはその特例や。総隊長サンからよろしく頼まれたしなァ。俺のそば置いてなあかんやろ」

『えぇー…』

「えーって何やねん」

えーはえーだよ。そんな理由で私をそばに置いてたのか。山じいめ…余計なこと言いやがって…

私と平子隊長が部屋の隅で話していると、藍染さんは説明をはじめる。

って…結局隊長仕事してないじゃんか。

「執務室は各隊に存在し、隊によって中にある家具は異なります。ですが使う目的は大体一緒で主に書類仕事をする際に使います。先程も言ったように隊長のと副隊長以外は入室できませんが、五番隊は月ノ瀬三席も入室を許可されています」

「あの、何で五番隊は三席も入室が許可されているのですか?」

『……………』

……桜ちゃんピーンチ。

私が入室ができるのは…と言うか、護廷十三隊にいれるのは山じいのおかげ。つまり特例だ。

それをどう説明するか…

私が悩んでいるとどうやら藍染さんも同じようで説明に困っていた。するとそこで平子隊長が口を開いた。

「桜チャン書類整理得意やから俺が手伝ってもろてんねん。なァ桜チャン?」

『あ、…はい。そうです…』

私と藍染さんが頭を悩ませているなか、平子隊長はしれっと嘘をついた。

いや…実際嘘でもないけど…

「そ、そうなんです。護廷十三隊は虚討伐だけではなく書類仕事も多いので五番隊では第三席の月ノ瀬君にも手伝ってもらっているんです」

そう言うと納得したように声を揃えて“へぇ〜”と言う院生達。そして続けて説明をする藍染さん。そんなとき平子隊長がかがんで小声で話しかけてきた。

「ナイスフォローやったろ?お礼はハグでええで」

『あんま調子乗んないでください』


















やっと…ここで最後だ。

私達はやっと最後まできた。最後は九番隊だ。

「最後は九番隊です。ここは六車隊長が率いる男気あふれる隊士達が日々訓練をしています」

「男気あふれる言うてもなァー。あの背中に書かれた六車九番隊の文字はセンス疑うで」

『なんかどっかの暴走族みたいですよね』

「二人とも…マイナスイメージ与えないでください」

あ、つい……前から思ってたことが。別にバカにしてる訳じゃないけどあれはインパクトでかいよね。つーか始めてみると怖いよね。まぁ六車隊長は似合ってるから良いんだけど。

「九番隊は護廷十三隊の中でもチームワークがよく、虚討伐でいくつも名を挙げてきました。そして六車隊長の斬魄刀は断地風と言って――」

「なァ桜チャーン」

『ちょ…静かにしててくださいよ』

藍染さんが隊長の代わりに分かりやすく院生に説明していると言うのに、隊長はもう飽きてるようだ。

「もう俺疲れたわァ〜」

ドシッ

『いたっ!』

隊長は脱力したように私に寄りかかってきた。と言うか、私の頭に顎をのせてきた。

『何すんですか……痛いんですけど』

「あ〜丁度ええ高さやァ〜」

『ちょっ…喋んないでください。頭から振動してくる』

「こうかァー?」

ガクガクガク

『痛い痛い痛い!!』

そう言ってわざと顎をガクガクさせる隊長。

この男……アッパーでもかましたろか…

そう思ったとき平子隊長は口に人差し指をあてた。

「静かにせなあかんのやろ?シィー、や」

『……誰のせいだ』

私はそう言いつつ声のボリュームを下げた。すると満足したように隊長はニヤッと笑って、顎を私の頭にのせたまま頭を撫でてきた。

「ええ子やなァ〜」

……このままジャンプしてもいいかな?

「悪い事したらアカンでェー」

………忘れてた。こいつは妖怪サトリだった。

「悪口もアカンで」

『……妖怪サトリパッツンロン毛が…』

「なんやその生きモン」

『平子隊長です』

「生き生きとした顔で言うなや」











「あの…藍染副隊長」

「何ですか?」

「平子隊長と…月ノ瀬三席は……付き合っているんですか?」

「それ僕も思いました…」

「あぁ……あの二人はー…」

ガクガクガク

『痛いって言ってんじゃないですか!!つーかくっつかないでください!!!!パッツンがうつる!!』

「しゃーからうつらへん言うてるやろが!!そーゆー訳わからんこと言う子ォにはお仕置きするで!?」

『どーせセクハラまがいの事するんでしょ!!ちょっ!寄らないでください!!!!』

「セクハラちゃうわ!!可愛がってんねん!!」

『それがセクハラだ!!藍染さーん!このパッツンどうにかしてください!!!!てかもうしょっ引いていいですか!?』

「セクハラ男扱いすんなや!!ええ加減なこと言うてると襲うぞ!!!!」

『だァァァァァ寄るなァァァァァアア!!!!』

ギャーギャーギャーギャーッ!!

「……あれは隊長が一方的に遊んでいるだけだよ」

「な、なるほど……」

「とてもな、仲が良いんですね…『藍染さァァァァァん!!これどうにかしてくださいっ!!』

「お前っ桜コラァ!隊長をこれ扱いとはええ根性しとるやんけ!!」

『隊長なんてこれで十分ですよ!!』

「二人とも……仕事放置しないでください……」


この日を境に霊術院では、五番隊に行くと漫才が見れるという噂が広がったそうだが…

「桜チャーン一緒にお昼寝しようやァ〜」

『寝言はどうぞ布団の中で』

「何やえらい冷たいなァー。そんなんじゃー彼氏一生でけへんで?」

『隊長もそんな顔してたら一生女が寄り付きませんよ』

「気にしてるとこをグサグサ言うなや」



満更嘘でもないらしい。
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