舞桜
□錠剤?粉?いえ、ジェルでつるん派です
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ダッダッダッダッダッ!!!!
斎「待て!!」
『それはそれ、これはこれだァァァア』
山「言い訳しないでください!!」
沖「ほら、僕が塗ってあげるからこっちおいでよ」
『だから尚更嫌だっての!!』
土「桜!屯所ん中で走り回るんじゃねぇっ!!」
『トッシーも含めて全員走ってんだろーがよ!!てめぇの目は節穴かコルァア』
土「んだと!?待ちやがれ桜!!おい山崎、石田散薬かせ!!」
『何でそーなるのォォォ!?』
敵増えたよ!!!!すっげぇ勢いでイケメン四人が追いかけてきてるよ!!!!いや、ね?普通なら
“うふふ♡私って罪なお・ん・な♡”
みたいなカンジになるんだろうけど…この状況は…
土「待ちやがれ!!!!」←鬼の形相
山「いい加減にしないと石田散薬口の中に突っ込みますよ!!」←激物を構えている男
斎「そんな聞き分けのない子に育てた覚えはないぞ!!」←育てられた覚えねーよ
沖「ほら、総司お兄ちゃんが優しく塗ってあげるよ」←いや…あの……うん、色々となんかヤバい奴
いくらイケメンだからと言ってな?…こんな状況……
『1ミリたりとも嬉しくねええええええええええ!!!!』
何このイケメンズ!?個性強すぎんだろオイ!!思ってたんだけどさ!最近あんたら銀魂キャラに似てきたよね!!!!斎藤さんとかもう最初の自分のキャラ見失ってるよね!?もう手遅れだよね!?だって一ママノリノリだもん!!
斎「お母さんの言うことは聞くんだろう桜!!」
『ホラね!!もうお母さんキャラから抜け出せずにいるもん!!どっぷりハマってるもん!!』
私はそう言いながら出口、イコール玄関へ向かおうと廊下を全速力で曲がった。そのとき黒い影が目の前に広がった。
ドンッ
『ぎゃっ!!』
新「わっ!!!!」
どうやら黒い影の招待は新八くんだったらしい。私は新八くんにぶつかってそのまま尻餅をついた。
新「ちょっ…え?桜さ『オイコラ眼鏡ぇ…誰の許可を得て廊下歩いてんだよ…あぁん?』
新「何か知らないけどキレてる!?」
『こちとら今日死ぬか生きるかの瀬戸際なんだよォ…それなのに、え?何?お前そんなときに廊下歩いちゃってあげくの果てに私とぶつかっちゃってんの?あのこれさ責任とってくれるんだよね?だよね?分かったら慰謝料寄越せよ』
新「いや意味わかんないッス!!そしてとても理不尽!?慰謝料って、お前はどこのチンピラだ!!」
『チンピラ警察24時のチンピラですけどぉ〜?何か文句あんのかコラぁ〜?』
新「もうお願いだから警察やめてください!!!!…って後ろォォ!!」
『は?後ろって……あ、』
ガシッ
土「ちょこまか逃げやがって!!」
もう気づいたときには遅かった。眉間にシワを寄せた土方さんがしゃがんで、私の襟首を掴んで持ち上げていた。
『はっ…はろぉ〜ごっ、ゴキゲンイカガ?』
土「これが機嫌よく見えんのか?」
いや…あの…めっさ後ろから怒りのオーラを感じますです、はい。
そろぉ〜っと顔だけ後ろを振り向くと、正しく鬼と言われるにふさわしい土方さんが私を睨んでいた。
『トシお父さん!?瞳孔!!瞳孔開いてる!!!!瞳孔かっぴらいてるから!!!!向こうの土方みたいになってるから!!!!!!そんな目全開にしてるとドライアイになっちゃうよ!?』
土「俺が親父だとしたらたっぷり説教してやんねぇとなぁ…なぁ?斎藤母さん」
斎「桜、お父さんの部屋へ来るんだ。今日という今日は許さんぞ」
『何勝手に夫婦キャラ演じてんのォォ!?』
沖「じゃあ兄である僕も付き合ってあげるよ。トシお父さん縄いります?」
土「たまには良いこと言うじゃねぇか。よし、それで縛って連れてけ」
山「もう観念してください」
『ちょっ…えぇっ!?ツッコミどころありすぎて訳わかんなっ!!つーか土方ァ!お前はツッコミ担当だろ!!何でボケにまわってんだよ!!』
土「山崎、そいつ縛り上げろ」
山「御意」
『御意…じゃない!!!!山崎さん裏切るんですか!?』
山「俺は元から副長の味方です」
『忠犬ハチ公かっての!!』
私は土方さんの分までツッコミながら抵抗する。前からは縄を持った山崎さんが迫ってくる。
こんな…こんな所で……こんな所で!!!!
『負けてたまるかァァァア燃えろォォ燃えろ俺の中の小宇宙ォォォォ』
ドタバタドタバタッ!!
土「あ!オイッ暴れるんじゃねぇ!!」
斎「大人しくしろ!!」
沖「あははっ、桜ちゃん変な格好」
山「あなたは子供ですか!!」
『まだ子供だコンチクショー!!』
でも…無理だ。いくら私が馬鹿力だからといって男四人相手に勝てるわけがない。特にこの四人には。
『あぁぁあぁあぁぁああっ!!皆して私を苛めるんだぁぁぁ!!ヘルペルミーッあ、間違った。ヘルプミーッヘルプミーッ!!千鶴ちゃぁぁん神楽ちゃぁぁぁん!!』
雪「呼びましたか?」
・・・・・・・・え?
私が千鶴ちゃんの名前を呼んだ瞬間、頭上から返事があった。
『千鶴ちゃん…どこから現れた?』
雪「え?その、今巡察が終わって帰ってきたところですけど……ところで…何かあったんですか?」
『うっ…うぅっ……千鶴ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!』
ダキーッ
雪「えっ!?えっ!?」
雪「斎藤さん山崎さん…石田散薬は直に傷口に塗るものではないと思います…」
『そーだそーだ!!』
あれから私たちは千鶴ちゃんのお部屋にお邪魔した。そして今は“ザッ!雪村千鶴のお説教タイム”なのです。
雪「沖田さんも悪戯にしてはやりすぎですよ。桜ちゃん傷だらけじゃないですか!」
沖「こういうときの千鶴ちゃんには敵わないね」
雪「土方さんも桜ちゃんに対して少し扱いが酷いと思います!!」
ほんとうに…この子は……なんてええ子なんやろ…千鶴ちゃん…お姉さん感激だよ…
雪「それから石田散薬はこうやって使うんですよ」
『……うーん…ん?』
千鶴ちゃんはそう言いながら手際よく石田散薬を準備した。そしてどこからともなく出てきた水に石田散薬を混ぜた。
雪「じっとしてくださいね」
『いや…あの、ね?じっとするとかしないとかじゃなくて……その…』
雪「じゃあ塗りますよ」
そう言ってじりじり近づいてくる千鶴ちゃん。
『ちっ…千鶴…さん?……ちょっ、私の話を聞いてほしいなぁ〜…なぁーんて…………ねぇ!!千鶴ちゃん!?』
ザラッ
『ぎぃやぁぁあぁあぁぁああぁぁあぁあぁぁああぁぁあぁあぁぁああ』
人生初――顔に石田散薬を塗られた日であった――