真撰組物語

□少年はカブト虫を通し生命の尊さを知る
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近「……結構前から気になっていたんだが、何で皆そんなにボロボロなんだ?」

『ちょっと一晩鬼ごっこしていただけですよ。楽しかったですよね皆さん』

「「「はいっ!!楽しかったです桜副隊長ォォオオオ」」」

『ほらね』

土「ぜってーウソだろ。全員泣いてんじゃねーかよ」

『それは嬉し涙です』

土「どんな嬉し涙だ」

近藤さんの頭の上に?が出ているがそこは気にしない。

近「…ところで。よろず屋たちはどうだった?」

土「駄目だった」

近「…そうか。やはり一筋縄ではいかん連中だな。こっちも成果ナシだ。つかまるのは普通のカブトばかりでな」

近藤さんの後ろにいた数人の隊士の体はハチミツだらけだった。
まぁ塗ったのは私だけど。つーかぶっかけた。腹いせに。

土「オイ みんな別に局長の言ったことでも嫌なことは嫌といっていいんだぞ」

「いや でもハニー大作戦なんで」

土「いや だからなんで身体に塗るんだよ」

「いや 副隊長が恐かったんで」

土「そっちが本音だな お前ら」

人の睡眠の妨害をする方が悪い。
するとさっきまで困惑状態だった近藤さんが話し出した。

近「将軍様はこの森の別邸に御静養の折、瑠璃丸と生き別れてしまったらしい。拾われた可能性も考え、市中も探索したがこれもアタリナシ。一体どこにいるのか瑠璃丸は…。……ん?そういえば総悟はどうした?」

『また単独行動です』

土「ありゃダメだ。ガキどもからカブトまきあげたりやり方が無茶苦茶だ」

『また苦情が増える…総悟ヤロー』

近「そういうな二人とも。なにせ瑠璃丸は陽の下で見れば黄金色に輝く生きた宝石のような出で立ちをしているらしいが…」

『パッと見は普通のカブトと見分けつかないんですよね?』

近「あぁ。総悟のように手当たりしだいやっていかんと見つけられんかもしれん」

土「黄金色に輝く生きた宝石ねェ。そんなもん本当に…」

神「銀ちゃん!新八ィィ!!」

その時突然神楽ちゃんの声が聞こえた。声がした方を見てみると少し離れたところによろず屋の3人がいて、神楽ちゃんが何やら一本の木を指差していた。静かにその様子を伺っていると

神「見て見てアレ。あそこに変なのがいるアル」

銀「あー?変なのって お前また毒キノコとかじゃねーだろうな。変なもんばっか見つけんだもんよお前」

神「違う違うアレ。
金ピかピンのカブトムシアル」

『あら』

近・土(え゛えええええ?!あっさり見つけやがったァァ!!)

近藤さんが立ち上がり止めに行こうとするが土方さんがそれをとめる。

近「いかん!それは…」

土「待て!おちつけ。ここで騒ぎ立てれば奴ら瑠璃丸の価値に気づくぞ。様子を見よう」

草むらに隠れて様子を見ることにした私達。

新「オモチャかなんかじゃないですか?」

銀「違げーよ。アレはアレだよ。銀蝿の一種だ、汚ねーから触るな」

その様子を見て土方さんが

土「ホラみろ。バカだろバカだろ」

神「えーでもォカッケーアルヨ。キラキラしてて」

銀「ダメだって。ウンコにブンブンたかってるような連中だぞ。自然界でも人間界でもあーいういやらしく派手に着飾ってる奴にロクな奴はいねーんだよ」

新「頭が銀色の人に言われたくありませんよ」

そんな会話をしながら場所を移動したよろず屋。

銀「俺は違うよ。これは白髪だから、それに生活も素朴だろ」

新「ハイハイ」

白髪っていわゆるシラガだよね。そこら辺のババァと変わらないよね。まぁいいや。3人が遠ざかってから私たちは瑠璃丸捕獲に向かった。

近「しめた!行ったぞアイツらホントバカだ!!」

土「今だ!早く瑠璃丸を!!」

だが、一斉に走り出したせいで瑠璃丸は飛んでいってしまった。

バササ

近「げっ!!」

土「瑠璃丸が!!」

『飛んでった』

その飛んでった先を見ると…神楽ちゃんの麦わら帽子の上にとまった。

近・土(げェェェェ!!最悪だァァ!!)

瑠璃丸が神楽ちゃんの頭の上にいるのに気がついた銀さんが

銀「うおっ 汚ねっ!!お前頭金蝿乗ってんぞ!!」

神「え?」

新「うわっ!!」

銀「ちょちょちょ動くな動くなよ!」

銀さんは自分の麦わら帽子を手にもって瑠璃丸目掛けて叩いた。


銀「うおらァァァァァァ!!」

スパン

神「いだっ!!」

近(やめてェェェェ!!それ将軍のペットォォォォォォ!!)

それを見た近藤さんと土方さんも私は走り出した。

銀「おらァァ死ねェ!!ちくしょすばしっこいな!」

スパンパンパンッ

神「いたい!いたいアル!」

銀「動くなってお前!金蝿乗ってんだって!お前はウンコと見なされてんだぞ!!」

近「待てェェェ!!待てェ待てェ!!」

『銀さんストップー』

近「それヤバイんだって!!それっ…」

ガッ

『あ、』

近藤さんが隣で木の根に足を引っかけて体勢を崩した。その時丁度近藤さんの手が瑠璃丸に直撃した。

ドゴォ

神「ふごォ!!」

土「え゛えええええ!!」

瑠璃丸はペシッと音をたてて地面に落ちた。
つーかやばくね?!将軍のペット地面に叩きつけちゃってんじゃんんん!!

『瑠璃丸がァァァ!!』

すると神楽ちゃんが殴られた頭を片手で押さえながらもう片手で瑠璃丸を拾う。

神「いったいなァー!!ひどいヨみんな!!金蝿だって生きてるアルヨ!!かわいそーと思わないアルか?!あー、よかったアル。大丈夫みたい」

近「待てェェェェ!!金蝿じゃないんだそれっ…それ実は…」

神「この子 私を慕って飛んできてくれたネ」

近「おい ちょっときいてる?!」

神「この子こそ定春28号の跡をつぐ者ネ」

『神楽ちゃん、お願いだから話聞いて。一人で暴走しないで』

神「今こそ先代の仇を討つときアル!いくぜ定春29号!!」

そう叫んで瑠璃丸をもってどこかに走ってく神楽ちゃん。

土「オイぃぃ!!待てェそれは将軍の…」

その時銀さんが土方さんの首根っこをつかんで

銀「将軍の…何?」

土「…。」

『土方さんのバカ』











新「はァァァァァァァァァ?!将軍のペットぉぉ?!」

『そーだよコノヤロー』

近「俺達は幕府の命により、将軍様の愛玩ペット“瑠璃丸”を捕獲しにきたんだ」

新「どうりでおかしいと思いましたよ」

銀「オイオイたかだか虫のためにこんな所まで来たの?大変ですね〜お役人様も」

『黙ってろ銀蝿。アンタらがいなければいなければ全てうまくいっていたんだ。責任とれ』

銀「銀さん銀蝿じゃないからね?つーかこの刀おろしてください桜さん」

近「まぁまぁ桜ちゃん。事はここまでにおよんだんだ。こいつらにも協力してもらおう」

銀「協力?今そのロリ丸は俺達一派の手の内にあるんだぜ『瑠璃丸だから』

銀「こいつはとり引きだ。ポリ丸を返してほしいならそれ相応の頼み方ってんのがあんだろ」

近「瑠璃丸だ」

銀「六割だ。そいつをつかまえた暁にはお前らも色々もらえんだろ?その内六割で手を打ってやる」

土「だから言いたくなかったんだ」

近「俺もそう思う」

銀「よし決まりだ。新八こいつァしばらく家賃の心配しなくてよさそーだぜ」

新「そうですね!」

銀「ブハハハ」

『近藤さん、こいつら斬っていいですか。大丈夫です。一瞬で片付けますから』

近「よし、やれ」

土「二度と無駄口叩けねーようにしてやれ」

刀を抜こうとするとすぐ目の前の崖の上に立っている総悟をと神楽ちゃんがいた。

『近藤さんアレ…』

近「総悟?!」

銀「アレ?何やってんの?嫌な予感がするんですけど」

『総悟ー何やってんのー!』

銀「神楽ァァァ」

私と銀さんが声をかけるけど見向きもしない二人。

神「定春28号の仇討たせてもらうネ。お前に決闘を申し込む」

沖「来ると思ってたぜィ、この時のためにとっておきの上玉を用意した」

神「いざ、じんじょうに勝負アル!!」

神楽ちゃんがしゃがんで瑠璃丸を目の前に出す。

新「ちょっとォォォ!!カブト相撲やるつもりですよっ!」

銀「神楽ァきけェ!そいつは将軍のペットだ!傷つけたらエライことになるぞ!」

『私達と仲良く切腹しなきゃだよー』

近「トシィ!!」

土「まァ待て。総悟が勝てば労せず瑠璃丸が手に入る。ここは奴に任せよう。総悟も全て計算ずくで話に乗ってるんだろう。手荒なマネはしねーよ。そこまでバカな奴じゃねェ」

崖の上を見てみると総悟の後ろから黒い物体が出てきた。

沖「凶悪肉食怪虫カブトーンキング。サド丸22号に勝てるかな?」

『でっか。総悟より断然でかいじゃん』

土・銀・新・近(そこまでバカですけどォォォ!!)

土「おいィィィィ!!ちょっと待てェェェェ!お…お前そんなもんで相撲とったら瑠璃丸がどうなると思ってんだァ?!」

沖「粉々にしてやるぜィ」

銀「そう!粉々になっちゃうから神楽ちゃん!定春29号粉々になっちゃうよ」

神「ケンカはガタイじゃねェ!度胸じゃー!!」

銀「度胸があるのはお前だけだから!ボンボンなんだよロリ丸は将軍に甘やかされて育てられたただのボンボンなの!」

『瑠璃丸っつてんだろ』

近「止めねば!早く二人を止めねば!」

新「無理ィ!!こんな高いガケあがれませんよ!」

近「力をあわせるんだァ!!侍五人が協力すれば越えられぬ壁などない!」

そう言って近藤さんがふりかえると

銀「よしお前が土台になれ!俺が登ってなんとかする!」

土「ふざけるなお前がなれ!」

銀「なら桜がなれ!!」

『なんで私がお前に踏まれなきゃなんないんだよ、嫌だ』

銀「いってる場合じゃねーだろ!今為すべきことを考えやがれ!大人になれ!俺は絶対土台なんてイヤだ!」

新「お前が大人になれェェ!!」

すると近藤さんがいきなり四つん這いになった。

近「もういい俺がやる!早くお前らあがるんだ!!」

銀「あがれってオメー!こんなヌルヌルの土台あがれるかァァ!!気持ちワリーんだよ!」

『ちょ、その格好でよってこないでください。ベタベタしてて気持ち悪い』

するとそのズズゥンっと大きな音がした。

沖「いけェェェサド丸ぅぅ!!」

サド丸が瑠璃丸に向かって攻撃しようとしていた。

近「あああいかん!!」

その瞬間、私達5人は目を合わせて素早く土台を作った。近藤さんと土方さんと新八が土台になり、銀さんがその上を登のぼり続いて私がのぼった。

「「「「『おおおおおおおおおおおお!!』」」」」

銀さんが崖の上までジャンプした。

銀「カーブートー狩りじゃああああああ!!」

ドォゴンッゴドォン

沖「サド丸ぅ!!」

銀さんの蹴りがサド丸にヒットしサド丸は飛んでった。瑠璃丸はなんとか無事だった…今は。

近「よっしゃあああ!!やりやがった!!」

沖「旦那ァ!何しやがんでェ俺のサド丸が!!」

神「銀ちゃんひどいヨー!!真剣勝負の邪魔するなんて!」

すると銀さんは二人の頭を殴った。

バキゴッッ

沖・神「い゛っ!!」

銀「バッキャロォォォ!喧嘩ってもんはなァ!てめーら自身で土俵に上がっててめーの拳でやるもんです!」

銀さんの説教をムスッとした顔で正座で聞いている二人。
いやいや…説教すんのはいいんだけどさ…瑠璃丸がー…

『ちょ銀さん、足少しどけて』

銀「桜は黙ってろォォ!!」

『いや、黙ってるから足どけてって。瑠璃丸が…』

銀「遊び半分で生き物の命もて遊ぶんじゃねーよ!殺すぞコノヤロー!!」

きーてねーよ この天パ…

『もう…知らね』

そして私はその場から少し遠ざかった。

銀「カブトだってミミズだってアメンボだって みんなみんな……」

メキッ

何か踏んだような音がしてゆっくり足をどける銀さん。その下にはペチャンコに潰れた瑠璃丸がいた。

銀「……みんなみんな死んじゃったけど友達なんだ………だから連帯責任でお願いします」

『個人の責任だろ』

―――後日―――

松「よォ今回は御苦労だったな。わざわざカブトムシ如きのために色々迷惑かけちまってよう」

後日、私と土方さんと近藤さんで松平さんのところに来ていた。

松「で 見つかったのか?」

『……えぇ見つかるには見つかりましたよ…立派に成長してました』

そして瑠璃丸…に見立てた近藤さんを出した。ハチミツをヌッテ金色にしてかぶとをかぶせて。

土「あの……突然変異で「腹切れ」
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