真撰組物語

□少年はカブト虫を通し生命の尊さを知る
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【一寸の虫にも五分の魂】


近「まったくとんだ邪魔が入ったものだ。ただでさえこの広い森の中で一匹の虫を探すなんて、至難の技だというのに」

あれから時間は過ぎ今は夜。私たちはキャンプファイアを囲み作戦をたてていた。そして私は今現在とても眠くてイライラしていて少し不機嫌だ。

近「どうしたものかトシ…」

土「とにかく奴らにアレの存在をしられねーように気を配ることだ。奴等のことだ。アレに勘づいたら間違いなくよからぬことを考えるはずだ。なんせ価値にしたら国宝級の代物だ」

近「うむ!なんとしても見つけださねば。みんな今のうちに腹ごしらえしておけ。今日は夜通し探索を行うぞ」

……え?夜通し?

近「一刻も早く“瑠璃丸”を将軍様の元へ返すのだ」

「「「オオー!!」」」

『ちょっと待てゴリラ』

近「ゴ…ゴリラ?!」

『こちとら遅番ぷらす総悟の苦情のせいでまともに寝てねーのに夜通しでカブト探し?ふざけてんのかゴリラ。殺すぞ』

近「トシィィイ桜ちゃんがご機嫌斜めぇぇぇえ!!」

土「かなり機嫌悪ィな」

近「お父さんどうしたらいいィ?!」

『誰がお父さんだ。こんなゴリラ野郎身内にいねーよ。ふざけてんじゃねーぞ。殺すぞ』

土「荒れてんなァ…まぁもう少しの辛抱だ。飯食ったら桜は少し仮眠とってこい」

『飯要らない、寝る。殺すぞ』

土「二言目に殺すぞ言うのやめろォ?!」

『もしも私を起こしたら…殺すぞ。じゃ、お休みなさい』

そう言い残して私はテントへ向かった。ここから桜ちゃんは寝るので第3者目線になります。そんじゃー寝る。お休みなさい。

―――第3者目線―――

土「アイツ…もしも起こしたりなんかしたら本気で殺す気だな」

冷や汗をかきながらタバコに火をつける土方。

土「オイ 山崎はいるか」

山「はい、いますよ」

土「さっき言っておいたやつは集まったか?」

山「こんぐらい集まりましたけど」

山崎が右手に持っていた透明な箱を土方に見せた。その中身は蚊だった。どうやらこの蚊を使ってよろず屋をこの森から追い出す作戦のようだ。

土「こんぐれーあれば十分だ。行くぞ山崎」

山「へい」

そして二人はよろず屋がいるであろうテントへ向かっていった。数分後、パァンッやらドゴッやらバキッやらよろず屋のテントから聞こえてきた。そして満足したような顔の土方と山崎が、蚊の入っていた透明な箱を空にして戻ってきた。その様子だと、蚊をよろず屋たちのまわりにぶちまけて来たのであろう。さっき聞こえてきた音は蚊を手で叩く音と誰が誰かを殴ったり蹴ったりした音であろう。そしてよろず屋のテントの前には無惨にぶち巻かれたカレーがあった。

近「おーい!トシ ザキ飯にするぞー」

土「オイおめーら。よろず屋連中は今晩の飯がねー。当然腹は減る。できるだけうまそーに楽しそーに食えよ」

「「「はいィィ!!」」」

そしからしばらくするとこんがりと焼けたバーベキューの良い香りがしてきた。そのにおいに反応したよろず屋が起きて真選組のテントの方をみた。そこにはワハハハハ ガハハハハと笑いながら美味しそうにバーベキューを食べる真選組がいた。

「うめェェェェ!!やっぱキャンプにはバーベキューだよな!」

山「カレーなんて家でも食えるしィ!福神漬けもってくるのめんどくせーしィ!」

土「オイ マヨネーズはどうした?」

山「副長 これはおいしそうに食べてる姿を見せつける作戦です。マヨネーズはちょっと」

土「てめェェェェ!マヨネーズなめてんのかァ!!マヨネーズはなんにでも合うように作られてるんだよ!!」

そんな光景を見ながらヨダレを垂らすよろず屋の3人。その3人の前に沖田がバーベキューの串を一本の持って食いながらよろず屋の前まで来た。

沖「よォ旦那方。まだいたんですかィ?」

いかにもわざとらしく、そして食い物を見せつけて話す沖田。

沖「そんな粗末なテントで寝てたら蚊に刺されますよ」

ゴロ

沖「あっ。いっけね。落としちまった」

すると沖田の後ろから一人の平隊士が

「オーイ沖田隊長そんなのもういいって。こっちにいっぱいあるから戻ってこいよう」

沖「おーう」

返事をしながらよろず屋に背を向けて歩き出す沖田。

沖「じゃっ、俺はこれで。あっ それ別に食べてもいいですぜ」

そして沖田は真選組のテントへ戻ってきた。

沖「クク…見なせェ奴らのあの顔」

土「腹減らして森から出てくのも時間の問題………………ん!」

突然土方が目の色を変えた。その先にはよろず屋が3人仲良く焚き火を囲っている姿があった。

銀「ワハハ キャンプにはやっぱり酢昆布だよな〜」

神「バーベキューだって!恥ずかしくない?ベタじゃない?ダサくない?シティー派は酢昆布アルヨネ」

土「なっ?!酢昆布焼いて食ってる!」

山「いたいたしい!いたいたしいよ!」

そこに神楽が酢昆布片手に真選組のところへ行った。

くちゃくちゃ

神「おーう税金泥棒。お前らまだいたアルか?」

土「誰が税金泥棒だ。言っとくがバーベキューはやらんぞ」

神「お前らアレだヨ。こんな所でバーベキューやってたらアレだヨ」

すると神楽がいきなり片手を口の中へ突っ込みのどの奥を指でつつきだした。

神「大変なこと…うっぷ大変…おっぷ」

土「オイ 何やってんだ?お前何を…」

神「おぼろろろろろろろろ!!」

ビチャビチャヒチャ

「「「ギャアアアアアアア!!」」」

神楽の細い体から大量のドシャ物がバーベキューの上へにかかった。

「最悪だァァァ!コイツ吐きやがったよォ!うわっ くっさ!!」

「なんて事しやがんだァ!何も食う気しねーよ!うっぷ」

山「あ ヤベなんか俺 うぼェェ!!」

「ギャアアアア!山崎がもらいゲロををを!!」

『やっかましいわァァァア!!黙れゴルァァア全員ぶち殺してやらああああ!!死ねェェェェ!!』

「ギャアアアアアアア桜ちゃんが起きたああああ!!」

土「ヤベーぞ!!全員逃げろォォオ」

「「「オォー!!」」」

『逃がすかァァァ人の睡眠を妨害する者これすなわち悪だアアアアア!!待てやコノヤロォォ全員斬るまで一生追いかけ続けっからな野郎どもォォォォオオオ』

「「「ぎぃやアアアアアアアアアアアアアアア」」」
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