夢視

□03 転校生
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朝、登校してから職員室に行くと担任だという教師に声をかけられた。

三年F組の担任だそうだ。

まじでか、柳と同じクラスじゃんよ。




「担任の倉岡だ。みんないい生徒ばかりだから緊張しなくていいぞ」

『はい、ありがとうございます』




倉岡先生と並んで歩いていると爽やかな笑顔を向けられた。

この人絶対女子生徒から人気のある先生じゃん。

教室に着くと、呼んだら入ってきてくれと言い、彼は中に入って行った。




転校生が来るぞーと先生が言うと途端に教室がざわつく。

そうだよね、転校生が来るときってそういう反応だよね。




「神永ー、入ってきていいぞー」




呼ばれたので返事をしてドアを開ける。

ざわついていた教室内は静かになり、私が入ってくるのを見ていた。

先生の隣、黒板の前に立ち顔を上げる。

生徒の中に彼がいた。




後列の二番目、窓側の席だ。

意外といい席にいるな君。

柳は予想していたのか驚いた風もない。




「じゃ、自己紹介してくれ」

『神永司です。よろしく』




礼をしてクラスを見渡すと全員から視線を向けられている。

何か変なこと言っただろうか。

内心首を傾げる。




「おーおー、美少女が来てみんな声も出ないか。その気持ち分かるぞ。神永の席は柳の後ろだからな」




美少女とか、ないわー先生。

私が美少女だったら世の中の女の子みんな美少女だから。

そんなことを思っていると柳が手を上げて場所を示してくれる。

席と席の間を通って柳の手前まで歩いて行く。




「やはり同じクラスだったな」

『二日ぶり。お得意のデータ?』

「何故知って「おっなんだお前らー知り合いか?」…」




先生…間が悪すぎるよ。

柳喋ろうとしてたよ。

壇上の先生は何故か楽しそうな表情をしている。




『知り合いというか、一回会ったことがあるだけです』

「何だつまらんな」




何を期待してたんだアンタ。

あれだろ、生徒が色恋に悩んでると相談に乗りたがるタイプの教師だろアンタ。

私は柳の後ろの席についた。




倉岡先生の間延びしたHRは意外とすぐ終わり、その後の一時間目まで質問攻めにあったのだった。
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