【 夢霧の扉 】 

□あの時…
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行きなり飛び出してきた。


11月の真夜中なのに薄着で。



ほんとに今日はついてない。
いつもより風が強いような気がする。




いくあてもなく
近くの公園のベンチに座った。




「寒いなぁ」



手に息を吹きかけながら空を見上げた。



さっきまですごく幸せだった。
記念日だけど家でゴロゴロしながら過ごして…
たわいもないことで笑いあって…

お互いの愛を確かめあったりもして…


「綺麗だなぁ…空気もすんでるから星も月も輝いてる。あいつと見たいな…」


なんで俺はあんなこと言ったのかな…

後悔しても遅い…のに…

((ポロッ))





さっきまでと今までの記憶が突然、フラッシュバックしてきた。
初めての出会った時も
喧嘩した時も
笑いあった時も


思い出したら涙がいつのまにか
頬をぬらしていた。




泣いちゃいけない…
あいつが来るかもしれないのに…

そう思えば
さらに涙が出てきて…





「(これ以上は無理かもな)」





これ以上、泣くことも
あいつを困らせることもしたくない。

最後まで強がりでわがままだけど
最後のわがままだな。




あいつのとこに戻ろう。

そして…
最後のわがまま…
聞いてもらおう。


きっとお前は笑顔になれるはず








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