突発文置き場

□幸せ過ぎた女子高生
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寒いです……

とても、寒いです

目の前が、霞みます


体中の何かが、抜けてく様です

たゆたゆと。

たゆたゆと。





ああ……血が、


抜けてるんですね。


殺し屋に、両腕を食べられちゃいましたからですかね。

両腕を……


曲弦師にとっての、命。


その両腕を食べられちゃいました。


これで姫ちゃんは闘えないと思ったですかね?


これで姫ちゃんが闘いをやめると、本気で思ってたんですかね?

腕が何ですか


姫ちゃんにはまだ、


脚があります

胴があります

頭があります




萩原さんのように《得策》は浮かびません


だって姫ちゃんはばかですから


どうしようもないほど、ばかですから


でも、ばかでも、ばかなりに出来ることはあるはずです

















血が、止まらないです

血が、留まらないです


それでも良いです。



姫ちゃんがここで死ぬことは、覚悟してました。



師匠に、お別れも……しました


師匠は嘘つきなのに鈍感だから、姫ちゃんの嘘には気付かないはずです



姫ちゃんはばかですが、嘘をつくのは、人を欺くのは、得意です








ああ、もう目もろくに見えなくなりました




結局、姫ちゃんは師匠を護れたですかね……?

立派な、ボディーガードになれたですかね……?

師匠


何で師匠、て呼ぶのかはずっと秘密です

だって師匠は姫ちゃんの師匠ですから









あの殺し屋が、向かってくるです


もう姫ちゃんの脚も言うことをきいてくれません


これで、死ぬんですね

死、ぬんですか

これで……終わりですか


師匠

みい姉さん

崩子ちゃん

萌太くん

奈波さん

高校のみんな

潤さん





姫ちゃんは……贅沢をし過ぎちゃいました


毎日が楽しすぎました

この身に、人を殺しすぎたこの身には有り余る幸福でした。


姫ちゃんはとても――幸せでした


だからこそ、
死ぬのが怖いです
とっても、とっても、とってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとっても、怖いです



死にたく――――ないです


潤さん
友達になってくれてありがとうです

みい姉さん
いつも遊んでくれてありがとうです

崩子さん
姫ねえ様……と呼んでくれてありがとうです


奈波さん
相談に乗ってくれてありがとうです



師匠
助けてくれて、ありがとうです


師匠は本当に鈍感です。
むかつく位に鈍感です。
全てを達観したような顔でニヒリスト気取ってるのに鈍感です。
姫ちゃんのことは……路傍の石と同じ様にみているんでしょうね。
でも。
それでも。
それでも。


姫ちゃんは師匠がとても、すごく、好きです。



あのとき……最後に。
師匠は姫ちゃんが好きだと思うと言ってくれました。


それが嘘なのか、本当なのか、姫ちゃんには最期までわかりませんが
姫ちゃんは本当だと、信じてます。



最期に。
師匠には絶対に言えない言葉。
絶対に言わないと決めた言葉。






「し、しょ……」


……姫ちゃんの声もろくにでてくれません





でも、これだけは。


この言葉だけは。


音で紡ぎたいです。




これが、最期、ですから。












「×××××……ししょう」



ばいばい。
さようなら。
おやすみなさい。
×××××。







Zigzag's life is HAPPY END?

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