ベイカー街の亡霊と迷宮の十字路
□ベイカー町の亡霊
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「樫村!」
荒々しく扉を開けた時には、既に樫村は収納袋に入れられていた。
そしてそのまま運び出された。
「樫村さんとは長いお付き合いと聞きました。彼に恨みを持つ者に何か心当たりはありませんか?」
「一緒ではないのですか?
あのメガネの少年と」
「え?ああ、コナンですか?」
「キーボードのダイイングメッセージを見た後、何やら血相を変えて」
「ダイイングメッセージ…!?」
キーボードを覗いて見ると、3つのキーに血の跡が付いている。
「JTR!?」
「何じゃと!?
まさかコナンくん<ワシのお土産を使ったんじゃ」
「行きましょう、博士!」
博士とともに急いで部屋から出ようとしたとき、目暮警部に止められた。
「ちょっと待ってくれ!3ぬ
つのアルファベットはどういう意味なんだね!?」
「JTR、それはゲームに登場する、ある人物の略称です。
私と樫村の間では彼の事をこう呼んでいました。
Jack The Ripper」
「き、切り裂きジャック!?」
「そう、19世紀末のロンドンに実際に存在した殺人鬼です」
「5人の女性をナイフで殺害し、ロンドンを恐怖に陥れたサイコキラー。
結局ロンドン警視庁は逮捕できず、連続殺人事件は迷宮入りとなりました。
樫村のダイイングメッセージから、ゲームの中に犯人の手掛かりがあるとコナンくんは確信したのでしょう」
勇作たちは地下室から出た。
そしてシンドラー社長がいるであろう、モニタリング室へ向かう。
部屋に入ると、既にゲームは始まっていた。
「シンドラー社長、こちら警視庁の目暮警部です」
紫のスーツに身を包んだ、背の高い男性…シンドラー社長に声をかけた。
「警視庁?警察が何の用だね?」
「一時、ゲームの中止をお願いします」
「中止!?バカバカしい!!」
警部の申告を一蹴した瞬間、部屋の明かりが落ちた。
「シンドラー社長!!
システムに異常です!!」
「何っ!?」
「制御が出来ません!!」
「・・・・・・・・・・・・」
何やら忠ならぬ状況に、優作は冷や汗が頬を伝った
「ちょっと失礼!!」
博士は一台のコンピュータを借り、何かを操作し始めた
「何だぁ!?」
そんな博士を見守っていると、ふと別の画面に映った自分の娘を見付け、おもわず画面に向かって小五郎は話し掛けていた
「奈々美、お前まで何やってんだ」
もちろん返事があるわけはない
だが、その代わり聞き慣れぬ声が部屋中に響き渡った
≪名はアーク。
我が名はノアズ・アーク≫
「なっ!?」
しばらく博士がコンピュータを操作していると、スピーカーからノイズと共に声が聞こえてきた。
≪我が名はノアズ・アーク!!
ゲームはもう止められない。
体感シミュレーションゲーム、コクーンは、ボクが占領した≫
どうやらこの声は会場にも聞こえているらしく、会場が騒つき始めていた
「な、何です?
ノアズ・アークって」
「確か、1年で人間の5年分成長する人工頭脳ですね」
「そうだ。
2年前、私が息子同然に可愛がっていたヒロキが完成させた。
だから今はヒロキと同じ年齢だ」
「ノアズ・アーク。
子供たちのゲームを選挙してどうするつもりだ」
【我が目的は日本という国のリセットだ!!】
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