黒バス長編

□認めてもらえない
1ページ/5ページ

俺と俊の眼は特別だった。

死角がとても狭く遠方まで見ることができ、使い方次第ではとても正確に距離を目測出来る。

月属性中でもレアな能力だと、有能な若手が不足して困っていた大人達は喜んだ。
周りから過剰な期待をされて、それに応えようと俺も毎日修行した。

その時から俊とは常にライバルだった。
同じ能力となれば当たり前に比べられ優劣がつけられる。
辺りを把握するのが得意な俊の能力を鷲の目、目測能力に長けた俺の能力を鷹の眼と名付けたのは比べられる事への反発心かも知れない。

同じ月属性でも少し浮いた存在にだった俺と俊は一緒に居ることが多かった。
俊はライバルでもあり友であり俺の良き理解者だったから。
その関係に変化があったのは俺が9歳の時に俊が日属性の奴と組んだ頃だろう。

俊は日属性の奴や大人達と外に魔物を狩りに出掛けるようになり俺と一緒にいる時間が少なくなった。
気になった俺はこっそりと俊達の後をついて行った。
どんな風に俊達が戦っているか見てみたかった。
単純に寂しかっただけかもしれないけど。

そこで見た俊は大人達より断然強かった。
俊敏な動きで次々と魔物を斬り伏せ、相棒へのフォローも忘れない。
すごいと思うと同時に幻滅した。
あんなに強いのに相手にしている魔物は俺でも1人で倒せるレベルだ。
俊以外の奴らが弱すぎる。
鷲の眼で見ていると大人達無駄な動きが多かったり単純に技術がなかったり。
俊の相棒なんて銃の命中率が悪過ぎて見ていられない。

10歳になり実際に戦ってみて確信した。
この村の奴らはレベルが低すぎる。
相棒となった日属性とはまともに連携もとれずさっさとコンビを解消した。
と同時に実力はあるのに「俺は1人じゃ戦えない。」と未だ命中率の低い日属性と組んでいる俊にも苛ついていった。


そして14歳の時俺は村を飛び出した。
都市に憧れて、強いチームで最高の相棒と出会える事を夢見て。

我ながら幼稚な考えだったと思う。
でも、
俺はそこで天才と出会った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ