黒バス長編
□久しぶり♪
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結成から一年近くが経ち黒子と火神が加入した誠凛はある程度定期的に依頼が来るようになり活動も波に乗っていた。
もともと近くにチームも無かったので霧崎以降他のチームとの争いもなく、着実に実績をあげていた。
今日の仕事はモンスターの群れ討伐である。
個体は弱いが数が多いのが難点で村の畑を荒らしていくため村人から依頼が来たのだ。
「火神!右の奴が群れのボスだ!日向と黒子は左側を頼む!」
伊月が的確に指示を出す。
3人もその指示に従い群れを確実に追い詰めていった。
「グギャァ!」
モンスターの一匹が伊月の死角である後ろから飛びかかった。
しかし伊月はそれを分かっていたかのように振り向きざまに切り払う。
モンスターはそのまま地に沈み絶命した。
「これで最後か…。」
伊月が刀に着いた血を振り払う 。
日向達も全部仕留めた事を確認し武器をしまう。
伊月のところに集まりながら沈みかけた太陽を見る。
「もうこんな時間か…。思ったより時間がかかったな。」
「でも伊月先輩の指示がなければもっとかかっていたと思います。」
群れはボスによりとても統制がとれていてまるで人間のように連携をとっていた。
黒子の言うとおり伊月が相手の陣形を把握し的確な指示を出していたからこそ全員無傷だったのだろう。
「そろそろ帰るか…。ッッ!」
伊月がいきなり頭を手で押さえ顔をしかめた。
「伊月先輩!?」
「伊月!お前また鷲の眼使いすぎたのか!?」
いきなりのことで焦る火神と黒子に対し日向は原因をわかっているのか直ぐに横になるよう促した。
しかし伊月は首を横に振る。
「いや…ここから誠凛まで近いし帰ってから休むよ…。
それに今回は軽い頭痛だけだ。」
「そうか…。でも無理するなよ?」
伊月の言葉通り頭痛だけなのか歩くのはたいしてしんどそうではない。
「あの…。伊月先輩大丈夫ですか?
それに使い過ぎってどういう…。」
黒子が日向にこわごわと尋ねる。
チームメイトとして伊月になにか負担がかかることがあるのなら知っておきたいと思うのは当然だ。
「あぁ…。言って無かったか。
伊月の鷲の目は視界がとても広くなる術だがそれだけ脳で処理する情報量も多い。
特にこいつは戦略も考えるからな。
だから脳や目にでかい負荷がかかるんだ。
軽かったら頭痛程度だが酷ければ身体に異常をきたすかもしれない。」
「身体に異常って…!?」
火神が怒ってるかのように言う。
そんな大事なことを黙って今まで使っていたことが許せないのかも知れない。
「今まででも身体がダルいなー、ぐらいにしかなってないからそんな心配するな火神」
俺は大丈夫だからさ、と笑った。
しかし日向にはその笑顔が痛みを隠しているように見えた。