黒バス長編

□そんな感じだっただろ
1ページ/5ページ

草で覆われた地面を踏みしめる。
顔を上げれば深緑の葉が空の青さを隠している。

「広すぎだろ…この森…」

火神大我は一週間程前からこの森をさ迷っていた。
運良く食料は手には入るものの、それがいつまでもつかは解らない。

「まず地図を持たずに旅して来たのが失敗だったな…」

火神は歩みを進めながらこうなった経緯を思い返した。


ここよりももっと遠い地で育て親にも等しい師匠のもとで修行に励んでいたのだが、ある日師匠か「もっと世界を見てこい!」と僅かな金額を持たせ送り出したのだ。
とりあえず船に乗り大陸を渡り、モンスター討伐などで旅費をまかない、旅をしていた。
そんな道中で迷い込んだのがこの森だった。

「とりあえず道を探すか…っておっ!あった!」

火神が辺りを見渡しながら進むと明らかに人が通っているであろう道を見つけた。
そこだけ草が生えておらず頻繁に人が通っているのは確実だ。

「なんで今まで見つかんなかったんだ…?」

そう疑問に思うほどに簡単に見つかった。
とりあえずその道を進んでいく。

「ん?あれは…?」

道の先に小型モンスターのウリボアと黒いコートにフードを被った少年らしき誰かが戦っているのが見えた。
ウリボアは弱いモンスターだが、戦っている黒いコートの少年は苦戦しているようだ。
少年は短い刀のようなものを使っているが、見ていてどこか危なっかしいものを感じる。


「ちっ、しょうがねぇなぁ…」

火神は己の大剣を握り駆け出した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ