黒バス長編

□助けるから
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(どこだ…?ここ…)

伊月が目を覚ましたのは全く知らない場所だった。
壁は灰色の石で窓が無い。
いわゆるコンクリート造りの打ちっぱなしの建物だ。

手は頭上で拘束されていて,足はギリギリ地面に届かない高さだ。

(捕まったってことか…)

日向達は大丈夫だろうか。そんな事が頭をよぎる。

「あっ!伊月君起きた?」

伊月が起きた事に花宮が気づいたようだ。
花宮を見て伊月が術を使おうとした。
しかし身体に激痛が走る。

「う゛っ…!」

「あー駄目だよその手に着いてる鎖が力を封じてるから。」

花宮を睨みつける。

「俺になんの用だ。」

「実はね伊月君を欲しいっていうチームがあるからさ。」

花宮が粘着質な笑みを浮かべる。

「俺は誠凛だ。
他のチームにはいかない。」

伊月がそう答えると花宮が伊月の鳩尾を殴った。

「ガッッ!?ゴボゴホッ…」

「クズ虫がいちいち口答えしてんじゃねーよ。
俺の手に落ちた時点でお前は既に“商品”なんだからな。」

反抗的な目で花宮を睨む。
その目は花宮に屈服していないことを強く主張していた。

「ッッ!腹立つんだよ!その眼がッ!」

伊月の胸ぐらを掴み顔を殴る。たらりと口元から血が流れる。
至近距離で花宮に睨まれても伊月の瞳の中の鋭さは変わらない。
花宮はチッと舌打ちしつつ何か思いついたのか笑みを浮かべた。

「ちょっと躾が必要だな…!」
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