パロ

□武器と職人で喧嘩なう
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人通りの少ない道をましてやこんな星明かりすら無い夜に通るんじゃなかったと女は後悔した。
目の前には目をギラギラさせて凶悪そうな刃物を持った男が自分に狙いを定めている。
後ろは冷たい石の壁。

「あっ…、っ――」

声を出そうと試みるが恐怖で身体が凍りつきうまく出せない。
ニタリと男が笑う。
刃物が振り上げられる。

「―――!!」

目を瞑った女の耳に誰かがこちらに駆けて来る音と銃声が聞こえた。
弾は男の手に当り握っていた刃物を落とす。

「ナイスオン、日向!」

小金井が走りながら日向に賞賛を送った。
人が来たことに気づいた男は刃物を拾うと一目瞭然に逃げ出した。

「逃がすかよ!森山、モード手裏剣!!」

先頭を走っていた笠松の忍者刀が大きな手裏剣に変化すると笠松はそれを男に向かって投げた。
投げられた手裏剣は男の背後へと迫る…筈が大きく逸れ、恐怖で座り込んだままの女のもとへ向かう。

「は?」

投げた本人である笠松も間抜けな声を出した。
森山は人間の姿に戻り女に話かける。

「こんばんは、美しいお嬢さん。怪我は無いですか。あぁ!良かった。こんな美しい女性に怪我なんてしてほしくない…ッボフォ!!」

笠松が走って来たスピードのまま森山を蹴飛ばす。
男は小金井や宮地が既に追っている。

「なにやってんだ!!こんな時に…!」

男の走った方を見るとその姿は既に小さくなっている。

「笠松さん!その女性をお願いします。僕らはターゲットを追いますので。」

足が遅い故に少々皆より後ろを走っていた黒子が笠松にそれだけ告げると走りだした。

「えっ、え!?おう?」

笠松は走り去った黒子にらしくない返事を返して、今だ現状を理解しきれていない女を見た。
相棒は笠松の足元でのびている。

「えっと…。大丈夫か?」

笠松幸男は女性が苦手である。
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