パロ

□幽霊船 前半
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青く澄んだ海にぽつりと小舟が浮いている。
そこに乗っていた四人の内の1人、日向順平は悲鳴をあげた。

「幽霊船だぁぁぁあ!?」

顔を真っ青にしてわなわなと震える日向とは対照的に彼の武器の1人である伊月俊は落ち着いた声で言った。

「うん。この辺で目撃情報があったんだって。
船を襲ってどこかに消える幽霊船が。
その正体を掴んで魂を刈るのが今回の授業だって出発前に言ったじゃん。」

確かに言っていたような気がする。
いつも伊月は自分達の実力にぴったりの授業を選んでいたから今回も安心して任せっきりでいた自分に非があるだろう。
だけども、

「俺がそういうの苦手だってわかってるだろ!!」

「でも他に面白そうなの無かったし、今回コガも居るし大丈夫かなって」

そう言って伊月は小舟のオールをせっせと動かしている小金井を見た。
最近魔女が出たとかで襲われる可能性がある為一人では危ないと一緒に来たのだ。
視線に気付いた小金井がにっこり笑う。

「伊月!!漕ぐの交代!!」

漕ぐの疲れたよー、と愚痴をこぼしながら伊月にオールを手渡す。

「はいはい…。コガ、もし日向がびびって使い物にならなくなったら頼むぞ」

「任せといてよ!!」

小金井は自信満々に頷いた。

「おい伊月、自分の職人を信頼してないとはどういうことだ。」

日向が不満そうに伊月を睨む。

「別に信頼してないわけじゃないよ。ただ日向は…木吉もだけど不安定なところがあるから…」

「ん?そうか?」

いきなり名前を出された木吉は驚きつつもいつもと変わらぬ笑顔を浮かべている。

そのときだった

「…っ!?なんだこれ!?」

なんの前兆もなくさっきまで青く澄んでいた空が曇天へと変わり、辺りに霧が立ち込める。
しかし水面に変化はなく波はとても静かだった。
心なしか空気も重い。

「天候が悪くなったとかじゃなさそうだね…」

あまりにも不自然な変化に四人は戸惑う。
霧のおかげで自分たちの現在地もわからなくなってしまった。

「何か近づいてこないか…?」

木吉の発言に四人は耳を澄まし目を凝らした。
次第に向こうから大型船が現れる。
間違いなく今回の授業の幽霊船とはこれのことだろう。
金属部分は錆びていて塗装も剥げている。
そのいかにもといった雰囲気に日向は息を呑む。

「…乗り込むぞ」

思ったよりやばい授業かも知れない。伊月はそう思いながら船に足を踏み入れた
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