パロ
□古代遺跡!
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「う〜ん…」
ボードに貼り出されている何枚もの紙を見ながら小金井は唸った。
ここはEATの生徒が自分が受ける課外授業を選ぶ課外授業受付だ。
授業の内容は犯罪者や怪物の討伐や怪しい場所の調査、某国大統領の浮気相手の調査まで多岐に渡る。
犯罪者の討伐などは魂を手に入れることが出来る貴重な授業だが、その分難易度や危険度も高い。
「やっぱしばらくは調査系にしとくかなぁ…」
小金井も早く魂を食べて自分を強くしたいという気持ちはあるのだが、一つ星職人の自分が実力に会わない授業を受けて命を落としたりしたら洒落にならない。
「あっ、小金井先輩。課外授業ですか?」
唸っていた小金井に話しかけてきたのは薄茶の髪と小金井に似た猫目が特徴の降旗光樹だ。
彼はNOTクラスの武器で小金井が武器の授業で知り合った後輩だ。
「いや、今日は近々課外授業があるからその下見。」
「そうなんですか。やっぱりEATって大変ですね。」
降旗が尊敬の眼差しで小金井を見つめる。
彼はEATに憧れているのだ。
「そういえばフリは何でこんなところに?」
「俺は委員会活動です。」
言いながら手元の課外授業発注票をボードに貼り付けていく。
「フリって課外授業発注票作成委員会だったんだ。」
「そうですよー。俺とフクとカワも委員会です。」
しばらく何気ない雑談に花を咲かせていると勢い良く二人の所に人が走ってきた。
ぶつかりそうな位置にいた降旗を自分の横に引っ張ってやるがその走ってきた人物は小金井達の前で綺麗に止まった。
よほどダッシュしたのか両手を膝についてぜーはーと呼吸を整えている。
「福井さんどうしたんですか?」
小金井は目の前で呼吸を整えている男を知っている。
魔角灯(ランプ)で小金井の先輩のEATクラス福井健介だ。
「小金井…。ちょうどいいや一緒に来てくれ、緊急の課外授業だ。」
緊急、という言葉に小金井は緊張を走らせる。
「何かあったんですか?」
「古代遺跡から大量のミイラが発生した。既に近くの村が襲われてる。」
大変だ、と降旗は顔を青くする。
その声で福井は初めて降旗に気づいたようだ。
「こいつは?」
「NOTクラスの降旗光樹です!」
敬礼までする降旗の大袈裟な自己紹介に小金井は吹き出しそうになるが緊急事態だということを思い出す。
「福井さん、急がないと」
「そうだな。宮地の奴が詳しい話を知ってるから移動しながら話す。行くぞ!」
走り出した福井の後を追いかける様に小金井も駆け出した。
「お気をつけて!」
残された降旗はその二人を憧れの目で見送った。