黒子のバスケ

□衝動的な恋
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その時の胸を過ぎったのは、困惑や恐怖などを押し退けるほどの興奮だった。
厳密にいえば興奮とは違うのかもしれない、歓喜とか驚愕とか。
狂喜乱舞とかがあってるかもしれない。

しかし、そんな感情が暴れまわっている胸中とは裏腹に自分の態度は酷く冷静だった。
複雑な感情の対象になんの接触も図らずその場に立ち尽くしたまま感情の整理を行ったのだから。

静かな図書館で静かに立ち尽くす自分を邪魔だと思うものは殆ど居ない。
これが天下の往来でなくて本当によかった。

未だに対象は自分に気付くことなく本のページを捲り続けている。
午後の柔らかい日射しが差し込むなかでのその姿はなんと絵になることか。
美しいとか綺麗とか本来は男子高校生(厳密には卒業しているはずなので違うだろうが)に当てはまるはずの無い形容詞が頭に浮かぶ。

そういえば何故ここに居るのだろうか。
彼の学校は京都なのだからここにいるのは不自然だ。
進学先が此方だとか、実家が近くにあるとかそういう理由があるのだろうか。

もしそうなら良い。
そうすればここに来ればこの美しさが毎日のように見れるのだから。

そこまで考えて黒子テツヤは自分が黛千尋に恋をしたことを理解した

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