パロ
□武器と職人で喧嘩なう
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「ここが聖剣のある洞窟か」
宮地が手元の本をと目の前の洞窟を見比べた。
空気や足下の水は清んでおり、ちらほらと妖精すら見掛けるその洞窟はまさに神聖な空気に溢れていた。
「洞窟というか鍾乳洞ですね…」
黒子が辺りを珍しそうに観察している。
職人達に死武専教師から出された課題は【聖剣をとってくること】だった。
そんな課題に武器も無しで無謀ではないかと思った面々だが、この洞窟に来るまで全く聖剣を狙う敵などには遭遇せず少し気が抜けた。
「この本によれば『聖剣はとても美しく、その刀身には傷一つ無い。聖剣を手にしたものは光の翼を纏い、富と名誉が手に入る』って書いてますけど嘘臭くなってきましたね。」
宮地から聖剣に書かれた本を受け取った日向がページを捲るが聖剣を賞賛した記述しか見当たらない 。
もし真実ならば何故そんな剣をこんな洞窟に放置しているのだろう。
「まぁ、実物を見てみないと何とも言えないしな。行くぞ」
罠がある可能性も考えて気配に聡い笠松を先頭に奥へと進んだがやはり罠など無かった。
そのままあっさりと最深部へとたどり着く。
「ほんとにあるんだよな…?聖剣」
無駄に神経を尖らせていた笠松が疲れたように言った。
教師達の話では今まで聖剣を手に入れて帰ってきたものは居ないと聞いていたのだが。
最深部には祭壇のようなものがあり、そこには装飾の豪華な両刃の剣が刺さっていた。
「これですね。」
黒子が祭壇に突き刺さる剣を指さす。
笠松が近づき剣を抜くことを試みる。
本に寄れば聖剣は選ばれた勇者にしか抜けないという。
(今まで誰ももって帰って来なかったのは誰一人抜けなかったからなのか?)
笠松は手に力をこめ剣を引き抜いた。