黒バス長編

□認めてもらえない
2ページ/5ページ

伊月と高尾が激しく斬り結んでいる。
あれから10分ほどやり合っているが、まだどちらも傷を受けていない。

「……」

銃口を高尾に向けてはいるものの日向は引き金を引くのを躊躇っていた。
自分がこの引き金を引く事によってこの均衡が崩れるのが怖いのだ。
撃たなければいけないのは判っているのに。

「ーッ!」

高尾の刀に弾かれて伊月がバランスを大きく崩した。

「いただき!」

高尾がその隙を見逃すまいと刀を振りかぶる。

「伊月!」

小金井が叫んだ。
木吉が木の防御壁を作るのより早く日向が迷いを振り切り引き金を引いた。
高尾の頬を銃弾が掠め血が飛んだ。

「痛ッ〜!っておわ!」

隙ありと木吉と小金井が高尾に肉薄し攻撃を仕掛ける。
水戸部も水弾を放った。

「ッッ!1人を複数でボコるって恥ずかしくないわけ!?」

攻撃をギリギリでかわしながら軽口を叩く高尾に日向は

「それを承知で挑んで来たのはお前だろ!だアホ!」

連射し大量の銃弾を浴びせる。
それでも高尾は弾丸を見切り、木吉の背後からの不意打ちすらもかわして見せた。

「あいつまるで死角が無いみたいだ…。」

次々と来る攻撃を余裕でよける高尾を見て小金井が呟いた。

「あいつも俺と同じ眼を持ってるんだ。」

いつの間にか隣りに居た伊月が応えた。

「えっ…同じ眼って…?」

「そのままの意味さ。俺のは鷲の目、あいつのは鷹の眼って呼んでるけど。」

「じゃあ…やっぱりあいつは伊月の幼なじみ…」

小金井が言い終えるより先に伊月が高尾に斬りかかった。

(あの和成って奴が前に言ってた伊月と同じ眼を持つ存在…。そして幼なじみって事かな…。)

伊月からの肯定は無かったが、2人の会話や互いの太刀筋を知っているような戦い方を見る限りきっとそうなのだろう。

「幼なじみなら…、戦う事辛くないのかな…」

小金井の呟きは2人の刀がぶつかる音に掻き消された。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ