黒子のバスケ
□意外な彼らの勉強会
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「あーーっもう!わかんねー!」
青峰はシャーペンを教科書の上に転がした。
あれから一向に課題は終わる気配を見せない。
青峰も黄瀬も勉強が得意では無いのだそんな2人が力を合わせたところでたかが知れている。
「青峰っちー!どうすんッスか〜!これじゃあ黒子っちとバスケ出来ないッスよー?」
「そんなこと言ったって解んないもんはしょーがないだろ!」
ギャーギャーと騒ぐ彼らの周りの人が顔をしかめた。
テスト前に図書館で勉強しているのは黄瀬と青峰だけでは無いそんな事など気にとめていない2人のケンカは徐々にエスカレートしていきそうだ。
「ってか黄瀬!お前手伝うとか言ったくせに全然役に立ってねーんだよ!」
「一緒にやるとは言ったけど、もともとそれは青峰っちの課題ッス!終わらないのは青峰っちの所為ッスよ!」
遂に立ち上がって殴り合いになりそうという時、2人の頭からパンッと小気味よい音が響いた。
「こらっ!周りの人の迷惑も考えなさい!こはこ図書館だぞ。」
誰かと思い振り返るてそこには誠凛高校2年の小金井慎二が立っていた。
両手に教科書を持っており、それで叩いたようだ。
「あぁ?誰だお前?」
よく笠松と試合を見に行っていた黄瀬と違い青峰は小金井が誰かわかっていないようだ。
「黒子っちの先輩ッスよ。誠凛の6番さんッス」
「ふーん。てことはベンチか。ベンチが何か用かよ?」
再び青峰の頭に教科書が落とされた。
因みに黄瀬と青峰は座って居るので小金井も彼らの頭に手が届くのだ。
「いたっ!?」
「先輩には敬語!あと俺には小金井慎二ってちゃんと名前があんの!」
若松を思い出し面倒くさいと思った青峰だがまだ教科書を構えている小金井を見て大人しくした方が賢明だと判断した。
「で、なんか用かよ小金井センパイ」
「用とかじゃなくて、図書館では静かにしろってこと!
他にも利用者は居るんだから。」
そう言われて2人は初めて辺りの人間に気づいた様だ。
「あっ…。ごめんなさいッス。」
「…悪かったな。」
迷惑だった事を自覚した2人は素直に謝罪の言葉を口にした。
「うん。じゃあちゃんと静かに勉強しろよ?」
小金井は2人の頭をわしゃわしゃと撫でた。
誠凛ではよくある光景だが、この2人には馴染みがない。
「えっあっ、ありがとうございますッス。」
「…おう」
2人が照れている間に小金井は、じゃーな!と言って背を向けていた。
「…なんかいい人だったッスね」
「…そうだな。」
去りゆく小金井の背を見て黄瀬があることを思いついた。
「そうだ!あの先輩なら勉強教えてくれるじゃないッスか!?」
「いや、流石にそれはなくね?」
いくら何でも特に親しくない他校生にいきなり勉強を教えてくれと言われて頷く者はいないだろうと青峰は考えた。
「いや、ものは試しッスよ。」
そう言うと同時に黄瀬は小金井を追いかけて走り出した。
「おい!?黄瀬!」
青峰も黄瀬を追いかけた。