黒子のバスケ
□せいりんぐらし!
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ペロペロと顔を舐められる感覚がする。
「う〜ん…」
それが2号の舌だと気づいた俺はがばりと布団から飛び起きた。
左右3つの布団はもうもぬけの殻で既に皆が起きている事を俺は理解した。
「今何時!?」
時計は短針が7、長身が5の辺りを指している。
「ヤバイ!」
俺は布団を脱出しジャージから制服に着替えた。
そして足元でじゃれついている2号を抱え寝室代わりの資料室を飛び出す。
今日も楽しい一日になりそう。
そんな予感に心を踊らせながら皆が待っているであろう生徒会室を目指して廊下を走る。
「おはよー!」
現在部室として使っている生徒会室の扉を勢い良く開けた。
「おはようございます。」
6人掛けの大きなテーブルの奥の席で読書をしていた黒子が一番に俺に挨拶を返した。
唯一の後輩だけど、こういう礼儀作法的なことは一番しっかりしてる気がする。
「おー、やっと起きたか」
一番ドアに近くに居た日向は俺には視線すら向けずに肌身離さず持っている愛刀の手入れをしている。
愛刀といっても摸造刀だけどね。
「今日も寝坊したな、コガ」
奥の調理場から朝食らしき良い香りのする皿を持って伊月がやって来た。
俺が毎日を寝坊するから朝ごはんは伊月担当だ。
「えへへ、って今日の朝ごはん何?」
伊月はミートパスタだよ。と答えながら四人分のパスタを食卓に並べていく。
もっちりとしてそうな黄色いパスタに香ばしい香りを放つ赤いミートソースが良く映えて俺はごくりと喉を鳴らした。
全員に皿がいきわたるのを確認するとみんな一斉に食べ始めた。
簡単な料理だけど伊月の料理スキルが上がってきたのか最近のご飯はとてもおいしい。
いつか水戸部と同じくらいになりそうだな。
「そういえば昨日、うっかり家に帰りそうになってさ〜」
日向がぎょっと驚いてフォークを落としかけた。
「えっ!?あぶねぇな…」
何も無かったかと伊月も慌てたように訊いてくる。
二人ともこういう時ちょっと過保護だよな。
「うん、水戸部が止めてくれなかったら家に帰っちゃうとこだったよー」
水戸部、と聞いて何故か日向や黒子が視線を逸らしたような気がしたけど気のせいかな。
「ちゃんと水戸部にお礼いっとけよ。」
一瞬の気まずい空気を拭うように伊月が言ったのも多分気のせい。
水戸部といえば昨日他にもなにか注意してくれたような。
たしか早く来いって言ってたような・・・。
「あっ、そうだ日直!」
ふと、時計を見ると時計は既に8時半を回っている。
「うわぁぁ!ヤバい!」
今日は俺が日直の筈だ。
水戸部が帰る前に教えてくれた。
早くいかないと始業までにやらなきゃいけないことが間に合わない。
ごちそうさま、と使っていた食器を片付け、足元の鞄を掴むと俺は生徒会室を飛び出した。